目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

『プレステージ』

【作品情報】

原題:The Prestige

製作:2006年/128分/アメリカ

監督:クリストファー・ノーラン

出演:ヒュー・ジャックマン/クリスチャン・ベール/マイケル・ケイン

ジャンル:陰惨騙し合いサスペンス

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

時は19世紀、イギリスのロンドン。

マジシャンのアンジャーが、瞬間移動マジックの際に誤って水槽に落ちて溺死した。

現場に居合わせたライバルのボーデンが殺人容疑で逮捕され、絞首刑を言い渡される。


二人はかつて、とあるマジシャンの助手として一緒に働いていた。

同じく助手をしているアンジャーの奥さんの手足を結んで、脱出マジックの手伝いをするのが二人の仕事だった。

しかしボーデンが凝り性をこじらせてロープを変な結び方で縛ったばっかりに、奥さんが脱出マジックに失敗して溺死してしまったのだ。


おまけに奥さんのお葬式にノコノコ顔を出したボーデンは、アンジャーに

「お前、ロープはどうやって結んだんだよ?」

と訊かれても

「いやー、それが覚えてなくて」

とゆるふわ回答をしたことで二人の仲は完璧に決裂。そりゃそうだ。


その後、変装したアンジャーによってボーデンがショーの途中で左手指を2本失ったり、アンジャーも鳩を殺す羽目になったりと、互いに足を引っ張り合う日々。

いい加減、どっかで折り合い付けようよ……


そして怪我を負ったボーデンが、瞬間移動マジックを引っ提げてショーの世界に見事凱旋。

周りの人間から

「たぶん替え玉がいるんだよ。よくある手口じゃん」

と諭されても

「そんな簡単なタネじゃねぇし!」

とこじらせアンジャーはボーデンのことを嗅ぎ回った挙句、足をへし折ったりしながらも、このマジックにニコラ・テスラが関わっていると踏んだ。


テスラに会うべく渡米したアンジャーは、ボーデンよりも凄い仕掛けを作ってほしい、と彼に頼み込む。



【登場人物】

アンジャー:

冒頭で溺死する方であり、ウルヴァリンでもある方。お貴族様なので実家が極太。

なのでマジシャンとしての仕事がない時も、基本的にいつも身綺麗だし優雅。そしてプライドも高めで負けず嫌い。

ただフロックコートなどを着こなすヒュー・ジャックマンさんの姿には滋養強壮の効果があるので、観客的にはありがたいことこの上なし。

芸名は「偉大なるダントン」とちょっぴり古めかしいものだけれど、亡くなった奥さんが付けた名前なので絶対に変えたくないマン。ラヴじゃん。


ボーデン:

冒頭で溺死を目撃する方であり、バットマンでもある方。こちらは貧民階級出身っぽく、小汚い格好が多め。

この人がお葬式の場面で号泣謝罪とかしてたら、たぶんここまでこじれなかったと思うんだ……野々村元議員ばりの号泣ぢからがあればよかったのにね。

貧民育ちなのでガッツがあり、文字通り自分の全てを手品に捧げている。

にもかかわらず妻子持ちなので、家族からすればかなり迷惑。そこも折り合い付けようよ。


カッター:

別の世界線ではボーデンの執事をしていたおじいちゃん。手品のトリックを考えるエンジニアさんで、アンジャーとボーデンの元師匠でもある。

二人が喧嘩別れして以降は、アンジャーと組んでステージをプロデュースしている。

ただ倫理観がぶっ飛びつつあるアンジャーの行動に、割とヒヤヒヤしていたり。


オリヴィア:

ある時はブラック・ウィドウでもあった、セクシーなマジックの助手役。

この映画、アメコミ関係者が多すぎん?

当初はアンジャーと組んでいたし彼に惚れてもいたけれど、ボーデンへのスパイ行為をさせられた辺りで冷めちゃった。

以降はボーデンと組んだけれど、こっちもこっちで手品狂いの異常者なので、最終的に両方に愛想を尽かす。賢明な判断です。


サラ:

手品バカのボーデンと結婚してしまった、おそらくこの映画で一・二を争う被害者。

情緒不安定なふるまいを続ける夫に翻弄され、酒に逃げていく。

そして最後は……



【感想など】

主人公二人の――性格が、性格があまりにも悪すぎる!

こいつら、限度を知らないトムとジェリーかよ!

げっ歯類の方が節度を守って喧嘩出来るって、どういうこと!?


それぞれ違う方向性での性格の悪さを、抜群の演技力+誇り高い雰囲気でもって表現してくれてるから楽しめるけど、配役ミスでもあろうものなら胸やけ必至な悪辣さです。


あ、あと19世紀という衣装回りが絢爛豪華で、妖しい奇術もキラキラ映える世界を選んでくれてるおかげで、いい年した男二人の場外乱闘ぶりもずっと舞台を眺めているような気持ちにはなれました。

もし現代が舞台だったら、きっとこの客観性が維持できなくなり――やっぱり胸やけしちゃいそう。うへぇっ。


さすがは巨匠クリストファー・ノーラン監督。

絶妙な匙加減で、観客の食道や胃袋を守ってくださっている。


ただ同監督ならではの「ややこしさ」も同梱されていて。

作品が「ボーデンの日記を読んでるアンジャーが書いた日記を、獄中のボーデンが読んでいる」という謎の日記 DE マトリョーシカ状態になっているため、初回だと

「これは誰目線? そして今はいつの出来事?」

と混乱します。私も初回時、ずっと混乱しっぱなしでした。

で、最終的に「なんか死んだ……」で終わりました。


食道や胃袋は守ってくれるけど、観客の脳みそには優しくないドS――それがノーラン監督。

(※個人の感想です)

作品が面白いのは重々承知ですし、実際今作も周回を重ねた甲斐あり思い切り楽しめたのですが、やっぱりノーラン監督は苦手ですぜ。


何故なら私が馬鹿だから!

まっこと申し訳ない!


でもソファに寝ころびながら「ファーwww」と笑えるような映画も、いつか撮っていただけると嬉しいです!

馬鹿からの切実なお願い! 巨匠の本気のバカ映画が、観たいです!

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?