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『モアナと伝説の海2』

【作品情報】

原題:Moana2

製作:2024年/99分/アメリカ

監督:デイブ・デリック・ジュニア/ジェイソン・ハンド

出演:アウリイ・クラヴァーリョ/ドウェイン・ジョンソン/アフィマイ・フレーザー

ジャンル:もはや少年マンガな海洋アドベンチャー

(参考文献:『モアナと伝説の海2』パンフレット)



【ざっくりあらすじ】

3年前に女神テ・フェティに心を返却し、故郷モトゥヌイを救ったモアナ。

現在はモトゥヌイ周辺の無人島を船で巡っては、自分たち以外の住民がいないかと調べていた。


そんなある日、見慣れぬ意匠が施された壺をついに発見する。

次期村長ってかトレジャーハンターと化したモアナに、パパのトゥイはタウタイという称号を与えることにした。曰く村長よりも偉い、陸と海を司るスゲー奴への称号だそうだ。


タウタイを授与する儀式の途中、突然モアナに雷が落ちる。

室内だというのに、屋根をぶち破っての落雷です。迷惑!

気絶した彼女は、先代のタウタイであり村の英雄でもあるタウタイ・ヴァサの霊とご対面。


モアナは彼から、人類はかつてモトゥフェトゥという島に集まっては、仲良く交流していたことを教えられた。

だが、和気あいあいと過ごす人類に嫉妬した嵐の神ナロが、千年前にモトゥフェトゥに呪いをかけてしまった。

そのせいで人類は、離れ離れになってしまったのだという。


これはモトゥフェトゥを見つけるしかねぇな!と決意したモアナは、村の仲間+ペットを連れて大海原へと繰り出すことに。

「マウイもいてくれたら心強いのになぁ」などと考えながら。


一方その頃、オレたちのマウイはというと――

諸悪の根源であるナロの手下の、マタンギという半神半人に早速捕まっていた。

タイミング良すぎん?



【登場人物】

モアナ:

前作より明らかにたくましくなった主人公。特に二の腕の、雄々しいラインが素敵。

女神テ・フェティと村を救ったことで、故郷ではモアナ総受け状況な皆のアイドルでもある。

今回はクレイジー鶏以外にも、村の一般人ズとキューティー豚を連れての船出。

その結果、前半はスタートアップ企業で頑張る新米社長のよう。


マウイ:

半神半人の俺様英雄だしツンデレだし、ここぞという時だけモアナを名前呼びする超あざとい半裸マッチョ。メタ視点でのツッコミも相変わらず。

ビジュアルは全くイケメンじゃないのに、今作でも無茶苦茶カッコいい。推しです。

ただ今回は自分の過激派ファンに迫られ、割と困惑している。いや、ドン引きしていた。

ついでにタトゥーのミニ・マウイに、乳首を紫色にもされていた。


マタンギ:

マウイを捕まえた、嵐の神ナロの手下 (らしい)の女性。ただ本人はナロを好いてはいないようで、まだまだ未熟で勇み足なモアナを手助けして、大人なものの見方を教えてくれる。

吹き替えだとソニンさんが演じられているのですが、歌唱シーンがSo Coolです。

個人的に今作で一番好きな曲。

どうでもいいのですが、彼女の名前を見ると伝説のキノコ映画『マタンゴ』を思い出すンゴねぇ……


ケレ:

モアナの旅に同行する、一般人その1の農夫じいちゃん。

農夫なので地に足がついてないと落ち着かない性分なうえ、カナヅチでもある。

完全にモアナの人選ミスなのだが、逆境下で頑張るおじいちゃんの雄姿にはグッと来るものがあるので観客的にはヨシ!


ロト:

モアナに同行する一般人その2の、船の設計士。

そして科学にも精通しているという、知識チートで好奇心の塊な頼れるお姉さん。

ただ全く落ち着きがなく、航海中にもかかわらず船を解体・改造しようとする。や、やめろーっ!


モニ:

モアナに同行する一般人その3にして、今作のクレイジー担当。

村の歴史や神話・伝説を絵にまとめる語り部的な仕事をしている朗らか青年な一方、マウイガチ勢でもある。

どれぐらいガチかというと、上記の村の歴史絵巻にしれっと自分とマウイのツーショット画像を何枚も紛れ込ませるレベル。つまり夢男子です。

ポリコレと正面から向き合い続けた、ディズニーの出した答えがコイツだと思うと色々感慨深い……かもしれない。


ヘイヘイ:

まさかの続投、前作のクレイジー担当。まだ生きとったんか、ワレェ!

もちろん今作でも目がイッたままではあるのですが、上記のモニの積極性溢れるヤバさの方が際立っているので、相対的にヘイヘイが愛すべきお馬鹿さん程度に思える不思議。


プア:

前作では旅のマスコットポジションをヘイヘイに譲った、鶏よりもチキンな子ブタちゃん。

今作ではビビりつつも、モアナの旅に同行。可愛い。

そしてマウイから付けられたあだ名はベーコン。露骨だが必然である。


コトゥ:

ココナッツの化身みたいな、カカモラの族長の息子さんがまさかのパーティーイン!

もちろん全く喋らないけど、小さいのに強いし妙にカッコいい。そしてヘイヘイとも何故か仲良し。

この映画、異形のイケメン祭りやん。



【感想など】

ディズニープリンセスの映画を観に行ったつもりが、いつの間にか少年ジャンプの映画を観ていたようだ……

何言ってるか分かんないでしょうけれど、観たら分かります。

これはディズニー版の『週刊少年ジャンプ』です。

少年ジャンプの概念映画です。


物語の前半は先述のとおり、不慣れな新入社員と共に新規事業へまい進する若き社長の奮闘記であり。

そして後半は、相棒の半神半人に背を預けて自ら敵陣へ突撃するヒーローの英雄譚です。モアナ姐さん、かっけぇぇぇー!!


当然ながら、1作目である『モアナの伝説の海』の大ファンでございます。

色恋ゼロだし旅の仲間も華やかさゼロだし、ないない尽くしだけどド根性と友情と情熱みなぎる泥臭いストーリーが大変好みで。

あと、マウイの捻くれたキャラがとにかくツボでもあります。

たぶん『天元突破グレンラガン』とか『キルラキル』が好きな人、『モアナ』も好きじゃなかろうか。


なので今の色々紆余曲折・まあまあ迷走中なディズニーに老害ファンとして思うところはあれど、

「前作は大好きですし? 一応、映画館まで行っといてやるかー」

と偉そうに観てみたら、見事にツボのど真ん中を撃ち抜かれました。今回もドストライクです。

ド根性も友情も情熱も、前作より増量です。ついでにモアナの筋肉量も増量です。Fooh!


また続編でしか味わえない、主要人物の関係性の変化もよきですね。

前作ではマウイがそもそもの原因でもあったので、当初モアナとはギスギスな仲でしたが。

今回は3年間会わなくても変わらない、兄妹のような師弟のような熟年夫婦のような尊いバディっぷりを披露していただきましてマジご褒美。


自画自賛ソングを歌っていたあのマウイが、モアナの応援鼓舞ソングを歌ってるんですぜ。ありがてぇ、ありがてぇ……


そんなあったけぇミュージカルパートは、多種多様な曲も魅力的。

いかにもミュージカル!な曲もあれば、ポップなオシャレ曲もあり、そして上記の応援鼓舞ソングはラップ調だったり。

これ、サントラも絶対楽しいヤツだ!


パンフレットによると、本作の制作にあたって太平洋諸島の文化や伝承をまとめる研究チームまで立ち上げたそうで……その研究内容も、ぜひ本にまとめていただきたい。読みたい。何卒。

ちなみにこちらのパンフレット、各キャラの初期デザインなんかも掲載されていて読み応えも半端なくあります。本作が好きな方は、ご購入することを強めにお勧めいたします。


なお、これは完全に余談なのですが。

私は推しの家の壁のシミになって、推しの幸せをそっと見守りたいオタクだったりします。

なので自分がモトゥヌイの村民だった場合、解釈違いでモニと殴り合いの喧嘩になっていたかもしれません。


マウイを巡っての、なんとも醜い地獄絵図――ナロの人間嫌いに拍車がかかること間違いなしです。私、村民じゃなくてよかった。

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