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『プライドと偏見』

【作品情報】

原題:Pride & Prejudice

製作:2005年/127分/イギリス・フランス・アメリカ

監督: ジョー・ライト

出演:キーラ・ナイトレイ/マシュー・マクファディン/ドナルド・サザーランド

ジャンル:ザ・ロマコメ

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

18世紀イギリスのとある田舎町で暮らす、ベネット家の5人姉妹。

当時は女性に相続権がなく、ベネット夫人はプリプリしながら娘たちの嫁入り先探しに日々奮闘中。


そんな時、ご近所さんにお金持ちのビングリー氏が引っ越して来た。

「玉の輿チャンスキター!」と、ビングリー氏も参加する町の舞踏会へ出席したベネット家のアマゾネスたち。

ちょっとお馬鹿っぽいが好青年なビングリー氏は、長女の美女ジェーンに一目惚れ。ジェーンも優しい彼に好印象で、早速いい感じ。


姉と仲良しの次女エリザベスもホクホク顔だったが、ビングリー氏の友人であるダーシー氏 (不愛想金持ちイケメン)のすかした態度にムッ。

しかし一方のダーシー氏は、勝気に自分へ噛みついてくるエリザベスに興味津々のご様子。


その後、ビングリー氏のお宅に招かれたジェーンは、体調不良によってそのまま数日滞在することになり、怪我の功名でビングリー氏とますます仲を深める。

見舞いに来たエリザベスは相変わらずなダーシー氏に「こいつマジ愛想ないし、偉そう」と敵認定を下しているものの、ダーシー氏からは露骨に熱い視線を注がれていた。


しかしダーシー氏と因縁があるっぽい、爽やかイケメンのウィッカムが現れたり、エリザベスたちの従兄――つまり将来ベネット家の遺産を総取りするであろう、コリンズ氏が現れてエリザベスに求婚したりと、てんやわんや。


挙句の果てに周囲の要らぬお節介から、ビングリー氏はジェーンに好かれていないと勘違いして町を離れることに。

エリザベスはジェーンのロンドン傷心旅行を見送った後、自分の代わりにコリンズ氏と結婚してくれた友人の元へお泊りに。


そこで偶然ダーシー氏と再会したエリザベスは、彼こそがビングリー氏に要らんお節介を焼いた張本人だと知る。

「あいつ、姉貴の幸せを奪いやがって!」とむかっ腹な彼女を、何故か追いかけて来たダーシー氏。

なんやねん、と振り返った彼女へダーシー氏が言った。


「愛してます」

よせダーシー! 今一番言ったらダメなタイミングだから!



【登場人物】

エリザベス:

口の減らない勝気な美人。相手が偉そうであればあるほど燃えて、容赦なく噛みつくタイプっぽい。

実際、人当たりのいいビングリー氏とかには常時爽やか淑女対応でしたし、主な被害者はダーシー氏です。

顔はともかく、内面はお父さん似でお父さんっ子でもある。ただ顔はほんとに似てないし、そもそも大きさが倍ぐらい違う。

あと、健脚で俊足の持ち主。コリンズ氏のプロポーズを断った後の、母が全く追いつけない猛ダッシュシーンがお気に入りです。


ダーシー氏:

常時眉間にしわを寄せて、小難しい顔の金持ちイケメン。

作中では全然ファーストネームが出てきませんが、原作によるとフィッツウィリアム君だそうです。名前も偉そうだねぇ。

ただ不愛想なせいで偉そうと思われがちな、本当は奥手で生真面目なお兄さん。いわゆるコミュ障だ!

実際、エリザベスに一度プロポーズしてからは、それまでの一見塩対応が嘘のようにガンガン距離を詰めに走る。この距離感バグり具合は、正にコミュ障のそれ。


ジェーン:

『ゴーン・ガール』ではイカれた妻を熱演されてたロザムンド・パイクさんが演じる、善性の塊みたいな美女。超お人好し。

この映画もイカれた登場人物が多いので、貴重な良識人枠である。

だがエリザベスによると、ダメ男に惚れやすい模様。あーっ!


ビングリー氏:

お金持ちのザ・お坊ちゃんな感じの、割とアホそうな紳士。

でもいいヤツそう。ジェーンも超絶お人好しなので、将来変な詐欺に引っかからないかだけ心配。

ちなみに妹は、だいぶ嫌味。兄妹でもっとバランス取れんかったんか?


ベネット氏:

ラノベの主人公がそのままオッサンになったみたいな、気怠い皮肉屋なみんなのパッパ。

自分似のエリザベスが可愛いらしく、明らかに彼女に対して甘い。

そんな愛娘の、熱烈な恋心を聞いた後の泣き笑い顔が可愛いんだわ。


ベネット夫人:

もし自分の親がベネット夫人なら、「授業参観には絶対来んでくれ!」と土下座してでも頼み込んでいたと思うみんなのマッマ。

現代だとアイドルに狂ってそうな、恋バナ大好きミーハーおばちゃんです。頼むから、三者面談の時も黙っててくれ。


メアリー:

ちょっと多部未華子さんに似てる、こじらせインテリ風三女。

現代だと立派なオタクになってそうだし、そっちの方が性に合ってそう。

生まれる時代を間違えたのかもしれない。


キティ:

だいたいママと一緒にキャーキャー言ってる四女。五女のリディアと顔が似ていて、正直たまに見分けがつかない。

現代だとママと一緒にLDH系にハマってそう。


リディア:

だいたいママと一緒にキャーキャー言ってる五女。あかん方面に行動力がある。

現代だと変なホストにハマってそうなので、生まれたのが18世紀でよかったね。


コリンズ氏:

ベネット姉妹ズの従兄。ナインティナインの岡村さんにちょっと似ている。

話がクドいし、ぱっと見で面倒くさいヤツだと分かる牧師。

が、自分をこっぴどく振ったエリザベスを普通に家に招待するし、面倒くさいけど案外いいヤツなのかもしれない。



【感想など】

癒されたい時に見る、とっておきの映画です。

初めて映画館で観た時、多幸感が凄すぎてしばらく他の映画が観れなかったほど。


舞台が18世紀なので、作中に出て来る光源は陽光と蝋燭の灯りオンリーなのですが。

おかげで画面がずっと温かな光に包まれていて、観ているだけでセロトニンが分泌されるー!


しかも風光明媚な、イギリスの田舎町が舞台なのですよ。

出て来るお家も、クラシカルでお洒落なのですよ。

そして主演があの、ドレスが恐ろしく似合う古風顔美女のキーラ・ナイトレイさんですよ。

もうね、徒歩で姉のお見舞いに行ってるだけで絵になる!


お話はロマコメの祖 (と私は解釈しております)が原作なので、今となっては大変分かりやすい構造。

一組の男女が出会って、勘違いから仲たがいして、そしてトラブルの末に思いを通じ合わせる――うん、超王道!


ただ舞台が18世紀で、どストレートな物言いよりも婉曲えんきょくな感情表現が好まれていたのか、登場人物たちの会話のキャッチボールは変化球が多め。

特に主人公のエリザベスは頭の回転が速いので、ガンガン皮肉や遠回し表現を多用し、一聴では思いの丈が分かりづらいこともしばしば。


その反面、登場人物の表情はみんなとても豊かです。

あと行間を読ませる演出が多いので、とりあえずエリザベスのくるくる変わる表情を堪能していれば、なんとなーく意図が分かるようになってます。


コリンズ氏に差し出された花を見る時の顔が、特に好きです。

花っていうより、ウンコでも突き出されてるかのような強張り具合で、ちょっと笑っちゃう。


もっとも、表情がうっすいダーシー氏だけは行間に色々詰め込み過ぎた結果、割と奇行多めの面白お兄さんと化している側面もあるのですが。

ただ原作でも早々にエリザベスに陥落してポンコツ化していた記憶があるので、まあ概ね原作準拠ということで。

あとちょっぴり固太りな本作のダーシー氏、私好きです。


なお日本版とアメリカ版では、エンディングが違っているようです。

アメリカ版はエリザベスとダーシー氏がイチャイチャチュッチュするシーンがあります。

が、私は日本版のパパの泣き笑いで終わる方が好きです。


頑固だけどピュアな二人の恋路なので、思い切りのイチャイチャよりも、健気なおでこスリスリで留める方が粋だなぁ、と。

イチャイチャチュッチュをご覧になりたい方は、ぜひDVDまたはBlu-rayをお買い求めくださいまし!

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