【作品情報】
原題:Beetlejuice
製作:1988年/92分/アメリカ
監督:ティム・バートン
出演:アレック・ボールドウィン/ジーナ・デイヴィス/ジェフリー・ジョーンズ
ジャンル:カリプソ系ホラーコメディ
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
コネチカット州の田舎町で大きな一軒家に住む、新婚のメイトランド夫妻。
しかしある日、道を横切る犬を避けようとして自動車事故を起こし、二人は車ごと川へドボン。
二人が気が付いた時にはびしょ濡れで家に戻っていたが、どうも様子がおかしい。
暖炉の火に当たっていると妻バーバラの指先に火が点いたり、夫アダムが家の外に出るとサンドワームという謎生物に襲われたり。サンドワームって何。
また、いつの間にか家に『新人死者ハンドブック』なる胡散臭い本が置かれていることから、二人はどうやらあの事故で死んだっぽいと悟る。冷静すぎん?
夫妻が憑いてるものの世間一般的には無人となった家は、ニューヨークに住むディーツ一家によって早速購入された。
田舎暮らしに憧れがある旦那はともかく、前衛芸術にかぶれまくってる嫁に危機感を覚えたメイトランド夫妻は追い出しにかかる。
早くしないとマイホームが、嫁のセンスによって狂った美術館と化してしまう。
が、幽霊を信じていない彼らはメイトランド夫妻の姿が見えない。
役に立たないハンドブック片手に困った二人だったが、ディーツ一家の一人娘であるリディアとひょんなことがきっかけで打ち解け、仲良くなる。
メイトランド夫妻の現状に同情してくれたリディアが両親に幽霊のことを訴えるも、汚ぇ大人な彼らはむしろ面白がる始末。
「幽霊を使ったテーマパークとか建てようぜ!」とか言い出す。怖いものなしかよ。
しかしリディアのパッパとマッマ以上にヤバい奴が、実は死者サイドにいた。
メイトランド夫妻が、成仏するまでの間にお世話になる (らしい)ケースワーカーのジュノーから「こいつだけは関わるな!」と釘を刺されていた、ビートルジュースなる全体的に埃っぽくてまだらにGReeeeNな死者だ。
もちろんタイトル通り、このビートルジュースがメイトランド夫妻とディーツ一家の、マイホームを巡る地味な小競り合いへ乱入することに。
逃げろ、両家!
【登場人物】
アダム・メイトランド:
コネチカット州でキュートな模型店を営み、キュートなお家に住む、キュートな眼鏡の旦那さん。
妻のバーバラのことが大ちゅきらしく、「外出られんし、このままずっと家に二人かも……」と思い悩む彼女へ「それって天国やん」と呑気に返していた。
なんかずっとニコニコしてる印象だけど、ビートルジュースに抱き着かれた時は、おもろいぐらいに顔が引きつってる。
バーバラ・メイトランド:
アダムの奥さんで、お洋服も壁紙も花柄がお好きな模様。
変わり者なリディアを「変人ちゃうよ、普通の子よ」と断言して猫っ可愛がりしてる。優しさの化身。バーバラ命な旦那と比べ、割と常にクール。
色々あって、ビートルジュースすらビビっているサンドワームという化け物を従えることになる。
リディア・ディーツ:
お金儲け大好きな父と、イカれたセンスの継母との関係がギクシャクしがちな、割と根暗な女の子。欲しいものは暗室。
最初は反抗期丸出しな態度を貫いてるが、バーバラと知り合ってからはむちゃくちゃ甘えてる。全体的に猫っぽくて可愛い。
この“On the”どころか“Above the”眉毛な前髪が似合う人間、絶対限られてるやろ。
チャールス・ディーツ:
リディアのパパ。ニューヨークではブイブイ金儲けをしていたけれど、ちょっと疲れちゃったらしい。作中でも不憫枠担当。
アンティーク風のお家に住むのが夢だった模様。
ウキウキで紅茶を淹れようとしていたら、窓から嫁の作った巨大彫刻が突っ込んでくるシーンの「ワァーッ!」なリアクションが大好きです。
デリア・ディーツ:
リディアの継母で、どうやら売れないアーティストでもあるらしい。
常に勝気な態度だけど、睡眠薬を服用してたり、メイトランド夫妻が家から逃げたと思った時には申し訳なさそうにしてたし、根は割といい人そう。
継子のリディアとの関係が、一番ギクシャクしがち。でもビートルジュースから彼女を守ろうとしたり、しっかり愛情はある様子。
最後にチョロっと本棚に、彼女が表紙のアート雑誌らしきものが映るので、紆余曲折の末に一花咲かせたようで何より。
ビートルジュース:
あらすじでも分かる通り、タイトルになってる割には本筋にはほとんど絡んで来ず、ずっと横道でやりたい放題してるはた迷惑なオッサンだったりする。
『ドラえもん』で言うとジャイアンに相当かと。
ちなみにドスケベ。
オーソ:
なんかディーツ一家の周りをずっとウロチョロしてる角刈りのデブ。
基本的に余計なことしかしない。つまり生者サイドのビートルジュース。ただビートルジュースよりアホ感が強いので、こちらは『キテレツ大百科』のブタゴリラに近いかも。らっしゃい!
ジュノー:
死者たちの管理をしている、死後の世界の役所的なところのケースワーカー。
割と横柄で仕事が雑なババ――マダムです。
犬:
冒頭に出て来る。もちろん無事です。
代わりにメイトランド夫妻が死にます。つまり死因。
【感想など】
この映画、ほんっと好きなんです。
子どもの頃から、親や祖父母に呆れられるぐらい繰り返し観ています。『ポルターガイスト』もそうなのですが、幼少期から好きな作品をエンドレスリピートする辺りにオタクとしての素質を感じます。
我ながら、生まれついてのオタクですわ。打つ手なし。
本筋としては、お人好しな田舎住みの故メイトランド夫妻がNYから来た尖りまくりのディーツ一家に困惑しながらも、一人娘のリディアと打ち解けた結果、最終的にはいい感じの共生を果たす――という筋書きなんですが。
ちょいちょい「要るんかこれ?」というシュールシーンが挟まれたり、誰かが不意に余計なことをやらかしたりと、わりと右へ左へ蛇行しがち。
また作中では問題児扱いのビートルジュースですが、迷惑度合いの瞬間最大風速がクソ強いだけで、累計迷惑回数で言えば生者のオーソもたいがい酷い。いい勝負。
あと死者サイドも、死んだ自覚すらないメイトランド夫妻への説明が不十分だったり、そのくせ無断で押しつけたガイドブックを上記のオーソが盗難した途端「はよ取り戻せや!」と怒ってきたり、まあまあ理不尽で身勝手。
作中では自殺者が死後、他の死者のお世話をする役所的なトコで働く羽目になる模様。
人生が嫌でドロップアウトした方々に高い就業意欲があるワケないので、やる気ないのも致し方なしかもです。
――ということなので自殺をご検討中の方は、死後もタダ働き義務がある可能性をご考慮くださいませ!
この感想同様に寄り道が多めかつ、性格に難アリな登場人物も過半数を超える本作。
このデカめのオモチャ箱のようなワチャワチャ具合が、かえって何度も観たくなるごった煮感になってて好きなんです。
ティム・バートンが原色バリバリで決めた絵の中で、生者・死者・クリーチャーが常時ごちゃごちゃ何かしているので、飽きないです。
死者の世界と、生者の世界をつなぐ回廊?的な場所なんてもう、何度見てもオシャレー。建築基準法ガン無視ですけれど!
そして全員が好き放題に振舞い、誰かの歩調に誰も合わせようとしない彼らの生き様からは
「別に無理して、空気読まなくていいんだよ。好きに生きろ。どうせ全員死ぬんだし」
というティム・バートン監督からのメッセージが感じられたり――は、さすがに勘ぐり過ぎですかね。
コメディ映画だし、監督もそこまで考えてないかも。とにかく「楽しい」を詰め込みまくった結果、いい具合のフワフワクッションが出来た的な作品かも。
それでもいい。好きです。
なお狂ったように周回したおかげで、1周目では気付かないどうでもいい発見もあったりします。
今回はメイトランド夫妻がジュノーのオフィスに呼ばれた際、窓の向こう側にタモリさんみたいな謎のオッサンがいることに気付きました。
あれ、誰だったんだろう……
おかげでずっとタモさん (仮)に目が行ってて、話がすっぽ抜けちゃったよ。