【作品情報】
製作:2021年/78分/日本
監督:松浦弥太郎
出演:各地で出会った、現地在住の皆様
ジャンル:よく眠れるドキュメンタリー
(参考サイト:映画.com https://eiga.com/movie/95101/)
【ざっくりあらすじ】
雑誌『暮らしの手帳』元編集長、現エッセイストの松浦監督が自身のエッセイをベースに、サンフランシスコ (アメリカ)・シギリア (スリランカ)・マルセイユ (フランス)・台北/台南 (台湾)・メルボルン(オーストラリア)で暮らす人々の、朝と夜の姿を、素敵な映像でお届けする副交感神経活性化ムービー。
【登場人物】
語り手:
姿は出ないけど、一応主人公ということで。
ストレスがたまると、どうやら数日旅に出てボーッとしたくなる人らしい。ここはちょっと分かる。
そして現地民の集うカフェや食堂に滞在し、現地民と目が合えばガンガン話しかけて友達になるらしい。この点については生涯分かり合えなさそうで、自分のようなコミュ障の敵でもある。
頼む、こっち見んといて!
上記の5ヶ国・6都市で出会った、面白ピープル:
老若男女問わず、色んな方が出てきます。
それぞれにそれぞれの生活があり、日々を真摯に生きていらっしゃる。
サンフランシスコの24時間営業のドーナツ屋さんで、数時間に渡ってカウンターで居眠りしてるおじいちゃんがイイネ!と思いました。くつろぎまくり!
【感想など】
観る睡眠導入剤です。
退屈なのではなく、のんびりとした綺麗な映像+穏やかなナレーションの波状攻撃で途方もなくリラックスできるためです。台北パートで、私も一瞬意識を持って行かれました。
リラックスした結果眠くなったのは、映画『アース』以来だと思います。
よほど難解 or 退屈でない限り眠くならないタイプの自分が上映開始3~40分辺りでカクンと落ちたので、眠れない夜のお供にオススメです。
ただ画面にちらほらと映る各国の料理が美味しそうなため、眠剤でありつつ飯テロでもある諸刃の剣ムービーです。食欲が刺激されたらごめんなさい。
眠剤と飯テロ要素以外としましては、前述したとおり映像がとにかく美しいです。ついでに地方色も豊か。
各国で出会った方と一時だけ時間を共にして、深入りせずに次の場所へと移っていくので、視聴者に憂いをもたらす要素もさほどありません (シギリアの悪魔祓いだけは、その後大丈夫だったのか不安ですが)。
また音声は基本的にオシャなBGMとナレーションってか朗読のみです。
各国で出会った方がお喋りしてくれますが、常にノー字幕です。潔い。
この朗読は監督の自伝エッセイをベースにされているようで、そのためちょいちょい強めのポエム波に圧されて「うっ……」となる場面があります。
ワシのような陰キャには、この圧は強すぎるのじゃ……キラキラ人生……うう……
ただ朗読担当の小林賢太郎さんのお声が穏やかなので、8割方はいい感じに受け流すことが出来、美しい日常の1コマを眺めてポケーッとなります。
そして、やっぱり眠くなります。
なお、あちこちの観光地を巡っているのに、人気の観光スポット的なものはほぼ出てきません。
マルセイユパートでノートルダム大聖堂――に続く坂道が映ったぐらいです。
ただひたすら、そこで暮らす人々の早朝と深夜の風景だけを切り取っています。この生活臭がね、いいんです。
キラッキラな観光地だと、ちょっと胸やけも覚える映像になっていた気もしますので、ほんのり気の抜けた被写体がピッタリ。
ポエム波への耐性がある方は、ぜひお部屋を少し暗めにして観てみてください。
めっちゃ気持ちよく寝落ちできます。
……ただ一つだけ、「なんだこれ」と気になったことがありまして。
メルボルンの朝市で映ったメニュー表に、「COMB-CHA」なる文言を発見したのです。
おかげで眠気が吹き飛び、「ファ!? 昆布茶!?」となった次第です。オシャレ映画に最もふさわしくない人選、いや茶選ではなかろうか。
気になって気になって鑑賞後に調べたところ、オーストラリアのコンブチャは日本の昆布茶とは別物らしく。日本での通称「紅茶キノコ」なるものをコンブチャと呼んでいるそうです。
紅茶キノコという更に謎のワードも飛び出して、私の頭は混乱の極みです。
更に調べたところ、どうやらモンゴルやロシアで飲まれる発酵させた紅茶だそうです。
ふふ……観終わってからの方が、頭使ってる……