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『ポルターガイスト』

【作品情報】

原題:Poltergeist

製作:1982年/115分/アメリカ

監督:トビー・フーパー

出演:クレイグ・T・ネルソン/ジョベス・ウィリアムズ/ビアトリス・ストレイト

ジャンル:サービス満点なホラー

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

新興住宅地であるクエスタ・ベルデに住むフリーリング一家は、絵に描いたようなほっこり幸せ家族。

ご近所さんとも仲がよく (お隣とは若干ギスギスだけど)、両親も子ども3人も犬とカナリアも健やか――と思ったら、カナリア死んじゃった。

これが全ての始まりだった。


カナリアことトゥイーティーが死んだ日の夜、点けっぱなしになっていたテレビの画面から謎のもやが漂い始めたその直後、フリーリング家だけ局地的地震に見舞われた。

ぽかんとなる両親に、末娘でテレビの砂嵐画面に話しかけるというクセつよな趣味を持つキャロル・アンが「あの人たちよ」と言った。


翌日、台所にある椅子が組体操よろしくテーブルの上に積み上げられたり、床に置いたものや人が何もしてないのに動き出すという、不思議な現象が起きだした。

のんきな夫妻は「調べてもらった方がいいのかなー」とナメた態度でいたのだが、その晩に到来した嵐によって事態は一変。


長男のロビーが何故か庭の木に触手プレイをかまされている間に、キャロル・アンが姿を消したのだ。

そしてキャロル・アンの声は、テレビの中から聞こえて来ていた。

どうやら「あの人たち」こと「テレビの人たち」によって、キャロル・アンはテレビの中に引きずり込まれてしまったらしい。


父のスティーブは、大学で超心理学を研究しているレシュ博士と愉快な助手たちに調査を依頼。

しかし今まで、家鳴り等が原因の勘違い心霊事案ばかり取り扱っていた博士たちでは、激ヤバ現象だらけの家に太刀打ちできず。助っ人を呼ぶべく一時退避。


その間にスティーブは、自分たちの住んでるエリアが元々墓場だったと知った。

「引っ越そう」と即決意。


そしてレシュ博士は、霊能者であるタンジーナというちっちゃいオバチャンを招集。

彼女によると、キャロル・アンは霊界側に連れて行かれているそうな。

ちょいちょい偉そうだが実力は確かなタンジーナの助力と、母ダイアンの覚悟完了によってキャロル・アンは汚い現世に舞い戻ることに成功。


これにてめでたしめでたし。皆で新天地に引っ越しして、元の楽しい家庭に戻ってHappy End!

――なんて都合のいい話ではありません。ホラーなので、はい。



【登場人物】

スティーブ:

フリーリング家のお父さん。クエスタ・ベルデの住宅販売を行う、不動産会社の敏腕セールスマンでもある。声がちょっと、三谷幸喜さん似。

家族が主役のホラーにおいて、お父さんって役立たず or ストレス要因であることが多い印象ですが、スティーブに関してはちょっと様子が違います。

ホラー要素が全然関係ない、日常パートでのドジっ子ぶりがえげつないです。

電話しながらネクタイを結べば、電話線も一緒にくくってしまい。

自宅前のゴミ箱が倒れていたので起こしていると妻に呼ばれ、そのままゴミ箱持参で家に戻り。

荷造りした段ボールをトラックに運び入れる際、自転車に激突し。

……お前、大丈夫か!?


ダイアン:

フリーリング家のお母さん。御年32歳で長女のダナが16歳のため、16歳でダナを出産したことになる。あのさぁ、スティーブ……

夫婦そろって脱法くさい葉っぱをキメたり、冒頭で死んだカナリアを便所に流して証拠隠滅を図ったりと、ちょいちょいアナーキーな部分はあるものの、基本的には愛情深くて明るい素敵なお母さんです。

最終的に髪の毛は、『X-MEN』のローグみたいになっちゃうけど。


ダナ:

フリーリング家で犬よりも影の薄い長女。

キャロル・アン失踪後は基本的に友人宅でご厄介になっており、出番も少なめ。

なお終盤で再登場した時は、首の両側にデカめのキスマークを付けている。

そしてそれに誰も触れないため、視聴者だけがモヤモヤするという。


ロビー:

いつもなんか哀愁が漂っている、フリーリング家の長男。

部屋の中が『スター・ウォーズ』のグッズだらけで、キャプテンアメリカのコミックらしきものも読んでいるため、将来は哀愁漂うオタク君になってそう。

ベッドの前にはいつもクッソ怖いピエロの人形が置かれており、彼自身もビビっているし、実際コイツのせいで酷い目に遭う。ねえ、誰が置いたの……?


キャロル・アン:

プラチナブロンドが愛くるしい、フリーリング家の次女。

可愛い5歳児なのですが、首のもげた人形を愛用していたり、カナリアを埋葬した直後に「次は金魚が欲しい!」と言ったり、割と残酷仕草が目立つ。

白々しいあくびをする演技が、ほんとに白々しくてかえって可愛かったです。


レシュ博士:

心理学者から超心理学者へ転職した変わり者の女性。中盤でのダイアンの心の支えポジ。

ヤバめな幽霊の対処方法は持ち合わせていなかったけど、義理人情に篤く人脈も広いおかげで、フリーリング家はどうにか持ち直せた。本作の功労者。


タンジーナ:

マジもんのちっちゃい霊能者。オシャレさんでもある。

本当に凄い人なんだろうけど、割と言葉が足りなかったり偉そうだったり、クセが強め。

キャロル・アンの救出に成功した時のドヤ顔が結構好きです。



【感想など】

この映画と『シャイニング』は、定期的に観返しております。だいたい年1回ペースで。

我ながらキモ。


終盤で登場する死体が本物というエピソードや、出演者がその後何人もお亡くなりになっていることも存じているのですが、妙に癖になるんです。

ひとえに、制作にスティーヴン・スピルバーグ監督が携わっているからであろう、サービス精神もりもりっぷりがツボなのかも。


お父さんであるスティーブの一連のドジっ子要素とか、「要らんやん!ホラーに要りませんやん!」というところまで具がみっちみちなんですわ。まるで551の豚まんのよう。

関西圏以外の方には分かりづらいたとえで、大変申し訳ありません。とにかく具沢山なのね、とお思い下さい。


そしてキャロル・アンが姿を消すまで、フリーリング家は誰もが夢見る理想像のような幸せ家族なんですよ。

まあ、夫婦で夜な夜な葉っぱをキメてたりと、ちょっとアレな部分はありますが。基本的には家族で仲良し。


このほのぼの一家がワーギャーと右往左往する様子がね、いいんです!


ワーギャーはするけど、家族間はずっと仲良しなままなんですよ。全員が全員を心配している、危機的状況下でもちゃんと理想的な家族像を維持しているんです。

サービス特盛+仲良し家族の奮闘のおかげで、ホラーというよりもエンタメ映画に仕上がっています。


もちろん映像の特殊効果などは、今観るとショボショボです。むしろほっこりです。

ただ一周回って、それが家族のほっこり感とシンクロしているので、本人たちのあずかり知らぬところで時代が追いついた感じの映画でもあります。


……本物の死体も出て来るし、いわく付きだけどね!

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