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『スリーピー・ホロウ』

【作品情報】

原題:Sleepy Hollow

製作:1999年/105分/アメリカ

監督:ティム・バートン

出演:ジョニー・デップ/クリスティーナ・リッチ/マイケル・ガンボン

ジャンル:豪華絢爛ゴシック生首ホラー

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

犯罪捜査において、まだまだ容疑者の自白に重きを置き、そのための拷問という蛮族行為も推奨されている1799年のアメリカ・ニューヨーク。

そこで働くイカボット刑事は、「もうちょいちゃんと科学捜査せえや!」と上司や市長に直訴しては煙たがられていた。


イカボットの扱いに困った市長は、ニューヨークから馬車で2日ほどの場所にあるスリーピー・ホロウ村での連続殺人事件を捜査してこい、と彼に命じた。

そこでは村長親子と村民の未亡人が、何者かに首をチョンパされて殺害されたという。


早速村へ赴いたイカボットは、そこで地主バルタスの娘であるカトリーナに一目惚れ。

その後イカボットはバルタスに加え、判事や牧師や公証人や医師といった村の名士である4人のおっさんから、事件のあらましと容疑者候補について訊くことに。

しかし全員が口をそろえ、事件の犯人は20年前に村はずれの森で死んだ首なし騎士だと証言した。


科学大好きマンなイカボットは、首なし騎士の誕生秘話におもくそビビりながらも「幽霊とかいるわけないしん!」とタカを括っていた。

しかしその後、イカボットは判事の殺害現場に遭遇してしまい、首なし騎士が存在すると思い知る羽目に。


初めての心霊現象にガクブルするイカボットだったが、愛するカトリーナと、押しかけ助手なマスバス少年に支えられつつ捜査を続行。森の中で、首なし騎士の墓場を見つけ出すことに成功した。

墓は最近掘り返された形跡があり、おまけに中から頭蓋骨だけが紛失していることも発覚。


誰かが頭蓋骨を持ち出したことで首なし騎士は蘇ったのでは、と考えるイカボット。

また騎士の犯行に再度遭遇したイカボットは、騎士が標的以外の人間に対しては、よほどしつこく粘着されない限り手を出さないと気付く。


首なし騎士の頭を持ち逃げし、お金持ちな村長の関係者をどんどん殺すよう仕向けている首謀者……普通に考えたら、村長の金が目当てよねぇ。

イカボットは地主であるバルタスと村長も、また親戚関係だと知った。このまま順当にいけば、村長の遺産は彼のものになる。


バルタスを容疑者の最有力候補と睨むイカボットだったが、直後に騎士が再登場し、バルタスが殺された。ついでのように、村の名士のおっさんズも内輪揉めであっさり全滅。

生き残ったのはバルタスの娘カトリーナだけで、彼女は騎士襲撃時にも怪しい魔法陣を描いていた。


「もう絶対カトリーナが騎士を操ってんじゃん!」と、ハートブレイクなイカボットは彼女を告発することもなく、ひっそりニューヨークへ帰ろうとした。


が、その道すがらで2つの事実に気付いた。

1つ目はカトリーナの描いていた魔法陣には、魔除けの効果があったこと。

2つ目はとある被害者の首なし死体に、別人の可能性があること。


大慌てで引き返すイカボット。

一方、惚れた男に捨てられたとしょんぼりするカトリーナへ、首謀者の魔の手が伸びようとしていた。



【登場人物】

イカボット:

とにかく顔がいい主人公。あと、とにかくメンタルが打たれ弱い。作中では通算5回、ビビった挙句に気絶している。女子供も、割と盾にしがち。

なおフィジカル面は、肩口を剣でぶっ刺された後も1日寝たらピンピンしてたので、割と頑丈っぽい。

夢見がちで魔女っ子なお母さんとの思い出がトラウマになっているけれど、惚れた女もお母さんに似た夢見がち魔女っ子という。


カトリーナ:

とにかくパツキンが美しいヒロイン。初登場時はキス魔と化していたけれど、その後は楚々とした名家のお嬢さん。

馬の扱いが上手く、二頭立て馬車を操って首なし騎士とのカー?チェイスを披露してくれる。

おまじないを信じるピュアな一面があり、良かれと思って描いた魔法陣のせいで死にかける。なお彼女は作中で2回失神します。


ヤング・マスバス:

犠牲者の一人である、マスバス氏の一人息子にしてイカボットの押しかけ助手。

イカボットに「マスバスさんの息子か」と言われて「元息子です。父、死んだんで」と即座に返す、なかなかブラックな笑いのセンスの持ち主。リアクションに困るやろ!

主要人物の中で最年少だけど、失神回数0どころか首謀者を殴って昏倒させたメンタル強者。


バルタス:

カトリーナのパッパで、村の地主様。成り上がりらしく、カトリーナが幼い頃はなかなか貧乏暮らしだったらしい。

成り上がりの地主なので、むちゃくちゃ嫌な奴ポジかと思いきや、どちらかと言うと「またしても何も知らない大泉洋」的立ち位置の人。

色々アレなイカボットも居候させてくれてたし、普通に可哀想。

本人は50代ぐらいの地味なおっさんだけど、推定30代の美人の後妻がいる。うらやま。


首なし騎士:

フィクションではちょいちょい見かける「歯がキバになってる萌えキャラ」をリアルでやった凄腕騎士。もちろんおっさんです。でも目が綺麗。

生前は「人殺しが大好きなヤベェ奴だった」と言われているけれど、死後は基本的にターゲット以外を傷付けようともしないので、生きてた頃も案外オン・オフは分けて殺すタイプだったのかもしれない。


村の名士ズ:

全体的にヨレた感じのオッサンが4人います。

名前を覚えるのが面倒くさいので、私は「牧師=顔のいいデブ」「判事=無精ひげデブ」「医師=細い奴」「公証人=ジジイ」で覚えています。すまんやで。



【感想など】

オシャンティー!25年前の作品なのに、今観ても美麗ー!

本作を撮られたティム・バートン監督について「ガチオタ勢のギレルモ・デル・トロ監督と違ってなんちゃってファッションオタクだから好かん」というコメントを以前SNSで見かけたことがあるのですが、個人的にはバートン監督はオタク監督ではなく、アーティスト系監督だと思っています。


とにかく絵力が凄い。自身のオタク趣味よりも「俺の考える最強にオシャな絵」作りに心血注いでそう。個人の感想ですが。

あとなんとなく、ちょっとこだわり強めで変わり者っぽいトコが三谷幸喜さんを彷彿とさせる。


そんなバートン監督の作品は、サブカルクソ野郎である私も無論大好きです。

中でも『ビートルジュース』と本作が一・二を争うお気に入り。

本作のスリーピー・ホロウ村の村民の名前や、主人公イカボットのとにかくビビりな性格とかは、拙作『劇場型転生』でも真似しちゃってたりします。へへっ。


お話は金絡みの恨みつらみという、超シンプルなものですが。

村での各シーンがとにかくオシャ。

一つ一つがまるで絵画のよう。全体的に背景が書割っぽく、奥行き感は薄いので余計に絵画的。


ただそれがこの、18世紀末の絢爛豪華なドレスで彩られた血みどろホラーによく似合う。

『白雪姫と鏡の女王』も書割調で超キュートなのですが、いわゆるコスチューム劇と書割の相性ってとんでもなくいいのでしょうか?教えて有識者。


なお本作はWikipediaによると、計18回も首切りシーンがあるらしく、それ以外でもまあまあ血しぶきが上がります。見ようによってはトンデモ映画過ぎ。

イカボットも2回ぐらい血まみれになってますし。

このオシャ感がなかったら、観る人ごっつ選んだやろうなぁ……としみじみ。


モノトーンで統一された映像の美しさに加えて、役者陣の美しさも見どころです。

とにかく失神することで定評のあるイカボット役のジョニー・デップさん、美貌の全盛期過ぎです。たまにアヒル口になってるの、あざとすぎて万病に効きます。


またカトリーナ役のクリスティーナ・リッチさんなんて、「お人形のよう」という褒め言葉の体現者。

終盤、ベッドですやすやお眠りあそばされているお姿なんて、神々しいぐらいでした。人形ってか天使じゃん!

出て来る度にドレスもお着替えしており、その全てがよく似合う!眼福!


本作はアカデミー賞の美術賞を受賞しているらしく、クリスティーナ・リッチさんの美貌も絶対一役買ってんでしょ、と思う次第。


一方で「封蝋の使い方講座」「馬車旅、マジ過酷」「粉塵爆発」「キバっ子とのKissは命がけ」と、オタク的にも美味しいネタがもりもり盛り込まれています。ヒストリカル物がお好きな方にもオススメ。


そして前述通り、イカボットがとにかくメンタル貧弱イケメンです。

作品のゆるゆる要素を、豆腐メンタルな主人公様が一身に背負っております。彼自身はクソ真面目なんですが、やることなすこと、そこはかとないダサさが漂ってるのが可愛い。


綺麗な映像・役者・衣装・残念イケメンを同時摂取できる名作なので、今後も末永く愛していこうと思います。

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