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『エスター ファースト・キル』

【作品情報】

原題:Orphan: First Kill

製作:2022年/99分/アメリカ

監督:ウィリアム・ブレント・ベル

出演:イザベル・ファーマン/ジュリア・スタイルズ/ロッシフ・サザーランド

ジャンル:サイコ合法ロリ応援スリラー

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

2007年のエストニア。

某精神病院で最凶患者扱いを受けている、見た目は子供・頭脳は大人なリーナさん(31歳)。

その合法ロリビジュアルを巧みに駆使し、警備員たちを山盛り殺して逃げた彼女は、逃亡先のPCで行方不明者リストを調べた。

その中にいたアメリカのエスターという少女が、自分と似ていることに気付く。


リーナはエスターのふりをしてまんまと、彼女の生家であるオブライト家へ引き取られることに。


ロシアまでわざわざエスターを迎えに来てくれた、実業家っぽい母トリシア。

エスターが行方不明になって以来、メンタルが崩壊していた父アレン。

パリピっぽい、フェンシング選手の兄ガナー。

オブライト家のメンツは以上の3人だったが、トリシアとガナーはリーナ扮するエスターに対してしょっぱなから疑惑の目。


エスターの帰還を大喜びしてくれるのは、父アレンだけだった。

芸術家のアレンと、絵が得意なエスターはすぐに打ち解ける。そしてエスターは、アレンに恋心を抱くように。


しかしその頃、エスター失踪をずっと捜査してくれていたドナン刑事も、エスターの正体を疑いだす。

エスターの部屋で、無断で指紋を採取した彼を生かしてはおけぬ、とエスターは刑事の自宅にまで突撃。


だがエスターの正体を暴かれると困るのは、なにも彼女1人だけではなかった。

実は母トリシアにも、たとえ偽物でもエスターという存在を家に置いておきたい理由があったのだ。


ドナン刑事襲撃現場を目撃されたエスターは、諸々弱みを掴まれて、トリシアとついでにガナーの支配下に置かれることに。


不憫だぞ、エスター!

どうか頑張って、ファースト・キルを決めてくれ!



【登場人物】

エスター (リーナ):

前作では悪辣ロリババアとして、観客の殺意を集めまくってたサイコ殺人鬼。

でも今回、特に後半からは応援せずにはいられません。

好みの男性は、ちょっとガタイのいいヒゲの生えたおじさん。


トリシア:

本物のエスターの母。

頻繁にチャリティを開いていたり、自分たちの家を「アメリカ建国以来から続く名家」と自負したり、お金持ち臭が強い。

エスターに「ファック」という言葉を教えた人。教えるな。


アレン:

本物のエスターの父。

前作での父ジョンと同じポジションだけど、今回はエスターが超不憫なため「またしても何も知らないパパ」な彼がむしろ癒し。

エスターに、ブラックライトを使った絵画技法を教えた人。


ガナー:

本物のエスターの兄。

両親がいない隙をついて、家で友達と麻薬キャンプファイヤーを決めたり、友達も総じてガラが悪かったり、パリピみがキツい。

実は本作における諸悪の根源であり、個人的に一番死を望んだ人物でした。

エスターに教えたものは特にないけれど、終盤戦で彼女にうっかり武器を与えていた。グッジョブ。



【感想など】

前作の『エスター』を観た時はエスター (と養父のジョン)に腹立ちまくって、最後のケイトマッマのドロップキックに喝采を上げていた私がまさか、

「エスターかわいそう!」

「頑張れエスター!」

「逃げろエスター!」

「死ぬなエスター!」

と、エスターを全力で応援することになるなんて。


ちなみに前作で一番ブチギレた相手は、もちろんジョンです。あいつだけは今も許さん。


ともかく今回は中盤以降のエスターが、ただただ哀れ。

とんでもねぇ連中に目を付けられちゃったもんだぜ……


映画に限らず、ヒット作の続編ってたいてい「うーん」なクオリティが多いですよね。

「多くねぇよ!」という方もいらっしゃるかと存じますが、この際多いという前提で話を進めます。ご容赦ください。


どうしても前作の感動や驚き、あるいは笑いを超えるのは難しいものです。

前作の『エスター』なんて彼女の正体という、ネタバレ厳禁の驚き要素が作品の面白さにかなり貢献していたので。それを超えるのは、きっと無理ゲーです。


にも関わらず今作は、彼女が忍び込んだブルジョア一家の正体という驚き要素で、前作に真っ向正面から立ち向かうという。

雄々しい……しかも今回もちゃんと驚かせて、夢中にさせてくれるのだから、制作陣マジカッケー。


また「養女がヤバい」前作と「家族がヤバい」今作の、鏡合わせ的な構造は粋であります。

あと今回の家族は、随所で鼻持ちならない金持ちムーヴをかましてくれるため、その辺も観客 (と、恐らくエスター)の神経を逆撫でて下さりました。

おかげで全く心を痛めることなく、彼らの不幸を一心に望めました。ありがたい限りです。


前作で延髄キックを食らったエスターに大喜びした方は、ぜひぜひ今作もご覧になって下さい。

きっと彼女のことを、愛おしく思えますので。

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