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『羊たちの沈黙』

【作品情報】

原題:The Silence of the Lambs

製作:1991年/118分/アメリカ

監督:ジョナサン・デミ

出演:ジョディ・フォスター/アンソニー・ホプキンス/スコット・グレン

ジャンル:おサイコなホラーでミステリー

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

”バッファロー・ビル”という通り名の犯人による、若くて大柄な女性の連続殺人&皮剥ぎ事件が続いている、今日この頃 in アメリカ。


FBIの実習生であるクラリスは、訓練中に上司クロフォードから

「今、バッファロー・ビル事件が起きてるやん? 女の人、めっちゃ死んでるやん? その事件の解決につながるかもしれない、激ヤバ殺人鬼のオッサンと面会してくんない? 僕嫌われててさ。まあ、ひよっこのクラリスたんでも無理だと思うけどー」

と、若干ナメた指示を受けた。


それでも大人なクラリスは、シャレオツなスーツで収監中の激ヤバ殺人鬼のハンニバル博士と面談。

「おやおや? 靴、安物じゃん」と小馬鹿にされちゃったクラリスであるものの、下ネタハプニングによりハンニバルからヒントを得ることに成功。


彼の言葉遊びヒントを巧みに解決したクラリスは、ハンニバルによる犯人像のプロファイリングも入手。


その一方でバッファロー・ビルは、またしても若くて大柄女性のキャサリンをゲッツ。

しかし彼女のママは上院議員様だったため、クラリスはこれを利用。

ママ上の名前を使ってブラフをかまし、ハンニバルから更に情報を引き出す。


その対価としてハンニバルも、クラリスが抱えるトラウマ――最愛の父の死と、その後で引き取られた親戚一家での悲しい経験を共有する。


なんかいいムーディになる二人だったが、ハンニバルを収監していた病院の院長であるチルトンが余計なことをしたばっかりに、ハンニバルが大暴れ&脱獄。


一方、イケイケなママを持つキャサリンも、バッファロー・ビルの愛犬を人質、いえ犬質に取って犯人を脅し返すという暴挙に。


あっちもこっちもやりたい放題な中、脱獄直前にハンニバルから託されたメモを元に、クラリスはバッファロー・ビルへと肉薄していた。

凄いぞクラリス! 一人だけめっちゃ仕事してる!



【登場人物】

クラリス:

ド美人過ぎて、行く先々で男どもの視線をかっさらっていく、頭脳とフィジカルも兼ね備えたパーフェクト超人。

ただまだまだ年若いので、たまに涙目になってる。

守りたい、この安物靴ガールの笑顔。

ハンニバルから2回も「靴が安物」と言われていたけど、どんなの履いてたんだろう……ヒラキで買ったんか?それとも東京靴流通センター?


ハンニバル:

サイコホラー界にAHアフター・ハンニバルという概念を生み出した (※個人の感想です)、元精神科医の紳士サイコキラー。

最初は安物靴のクラリスたんをすげなく追い返すも、小汚ぇオッサンにおイタされた彼女の姿で何かスイッチが入ったらしい。

その後はからかい上手なハンニバルおじさんとなって、なんやかんやでクラリスに協力。

ケンカップルかしら。


バッファロー・ビル:

ふくよか女性を完全に衣料品としてしか見ていない、皮剥ぎ職人系殺人鬼。手が器用。

しかも使ってるミシン、足踏みミシンじゃん。マジ職人じゃん。

あと女性への変身願望があるからか、お肌キレイじゃん。

殺人鬼なのに努力の人じゃん。

でもワンちゃんが小太り気味なので、ちゃんとダイエットさせてあげてくださいね。


クロフォード:

クラリスの上司。

露骨にクラリスを贔屓ひいきしている割に、露骨に女性だからと下に見ている節がある、現代だとバッファロー・ビル以上に炎上間違いなしの眼鏡。

つまりセクハラとパワハラの申し子だ。

個人的にイラついたキャラその1。


チルトン:

ハンニバルが収監されている病院の院長。服の趣味がちょっと変。

初手でクラリス相手に結構かまして (そしてすぐにかまし返され)、視聴者に「コイツ、クソ野郎やな」という印象を与えてくれる。

その後も順調にヘイトを溜めまくった結果……

エンドロールは彼への鎮魂歌レクイエムと化しました。ご愁傷様でやんす、ヒーハー!


アーディリア:

クラリスの同期でルームメイト。

ぶっちゃけ脇役なのですが、終盤で行き詰まっていたクラリスを、伝聞と参考資料だけで事件の真相へと導く様はさすがFBI候補生。

むしろクラリスと彼女のバディものが観たい……!


キャサリン:

今回の被害者――なのだけれど、他のサイコホラーものでは見たことないレベルで気が強い。

なんだったらバッファロー・ビルを脅し返している。

さすがは上院議員を母に持つ、恵体なる勝ち組ガール。

ただ最終局面でギャーギャー叫びまくってて、個人的にイラついたキャラその2。



【感想など】

子供時代に鑑賞して以来だったのですが、思った以上にクラリスが男社会で揉まれて「クソどもが」フェイスになられていた……クラリス姐さん、頑張れ、マジ頑張れ……


もちろんだからと言って、この映画自体がクソなわけではなく。

だって33年前の映画ですよ?

価値観が違って当然ですぜ?

むしろ当時の女性捜査官が、どれだけ苦労していたかという1つの資料だなぁ、と思いました。


こういった理不尽に「クソどもが」と思いつつも、クールな笑顔で色ボケ上司を上手くかわし、猟奇殺人鬼とケンカップルしてくれた先人がいらっしゃったお陰で、今があるわけですね。ありがたい話です。

私も、ユアン・マクレガーさん似の猟奇殺人鬼となら喜んでケンカップルいたしますので、是非よろしくお願いいたします。


そんな具合に、女性の職場環境では2020年代と結構乖離かいりがあるものの、捜査官と殺人鬼の心理戦という主軸は、今観てもヒリついていて素敵です。

ずっと目玉かっ開いたままのアンソニー・ホプキンスさん、怖いよぉー。瞳孔も開いてるやーん。

後半の脱獄シーンなんて、グロテスクなはずなのに鮮やか過ぎてむしろ美しいのよ……


なのに登場時間が正味20分程度だなんて、信じられない。存在感が大きすぎて、100分ぐらい出ずっぱりな印象。


この映画の後、サイコなホラー映画がボッコンボッコン生まれたし、なんだったら今も「ハンニバル博士かな?」な天才シリアルキラー造形のキャラは人気ですし。

なんというエポックメイキング映画。


ただ改めて観ると、脇役であるアーディリアの存在感にも強く惹かれまして。

この子も凄くないっすか?

だって彼女はバッファロー・ビル事件担当じゃないから、詳しい情報も知らないだろうし。

もちろんハンニバル博士にも一度も会ってないし。


なのにクラリスが持ち帰った資料と、ハンニバル博士の手書きメモから、あっという間に博士の意図まで読み取ってるんですよ?

クラリスに負けず劣らず超優秀!

いやほんと、この二人のバディもやってほしい!


それで二人の助手が、料理が趣味のダンディな元精神科医だと最高だと思います。

事件も解決して、食料も調達できて、一石二鳥だね!

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