【作品情報】
原題:Dungeons & Dragons: Honor Among Thieves
製作:2023年/134分/アメリカ
監督:ジョナサン・ゴールドスタイン
出演:クリス・パイン/ミシェル・ロドリゲス/レゲ=ジャン・ペイジ
ジャンル:ちょいちょいお馬鹿な、古き良きファンタジー
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
ハーパーという非営利組織に属していた、吟遊詩人のエドガン。
しかし世界平和を優先するため生活は苦しく、ついでに捕らえた犯罪者レッド・ウィザード (めちゃ怖いアンデッドの魔術師。触ったら死ぬ系)の仲間によって妻も殺されてしまう。
幼い娘を育てるため、エドガンはハーパーを脱退。
駆け落ち婚によって部族から追い出されて飲んだくれていた、戦闘民族のホルガ姐さんと出会った彼は、二人で義賊的な活動をスタート。
詐欺師のフォージや、ポンコツ魔術師のサイモンらとも組んで一時は順調であったが、ソフィーナという魔術師にハメられて、エドガンとホルガは逮捕&収監されてしまう。
恩赦が貰えたのに無理くり脱獄した二人は、フォージに託した娘を探すことに。
しかし実はソフィーナとフォージは結託しており、エドガンたちが捕まったのも彼らの差し金。またフォージに可愛がられていた娘も、「自分は父に捨てられた」と信じ込んでいてパパを断固拒否。
自分たちがムショ暮らしをしている間に、まさかの領主様になっていたフォージをギャフンと言わせようと決めた二人は、サイモンとも合流。
そしてフォージの悪政に恨みを持つ、ドリックという女の子も仲間に。
フォージの宝物庫に侵入する秘密道具を探す過程で、みんな大好きセクシーパラディンこと生真面目聖騎士のゼンクとも一時共闘し、妻の死後荒み続けていたエドガンの心に小さな変化が芽生える。
こうして気持ちも新たに、失敗だらけの人生を送るはみ出し者集団が、成金裏切者への反撃を始めた。
エドガンは無事、娘と仲直りできるのか。
そしてフォージに協力している、ソフィーナの真の目的は何なのか。
【登場人物】
エドガン:
主人公だけど、職業が吟遊詩人なので武器は楽器と己の頭脳のみ。つまりnot 戦力!
ハーパー時代の失敗によって喪った奥さんと、その後でまたやらかして距離が出来ちゃった娘を取り戻すために頑張るよ。
割と口八丁でその場を切り抜けているので、詐欺師のフォージより詐欺師っぽい。
ホルガ:
大酒呑みのかっけぇミシェル・ロドリゲスさん。
いや、ミシェル女史はいつも格好いいか。
どうやら小人族の男性がお好きであるらしい。バブみ、的なアレかしら。
エドガンの娘が赤ん坊の頃から面倒を見ていたので、彼女の母的存在 (であり、エドガンにとっては姉貴的存在であろう)。母性と暴力を擬人化した女傑、とも言えます。
あとジャガイモがよく似合う。
サイモン:
ハーフエルフのポンコツ魔術師。しかし追いつめられるととんでもない魔術を繰り出すらしく、エドガンからはその土壇場パワーを頼りにされている。キン肉マンかよ。
しかしその一方、ホルガとドリックからは全然頼りにされていない。世知辛い。
あとエドガンからは、貴重品もよく預けられている。ポンコツ魔術師だけど、その辺は意外と几帳面な性格なのかもしれない。
ドリック:
モンスターと人間との間に生まれた女の子。可愛い。
角が生えて赤毛で、変身が得意。とにかく可愛い。
儚げなビジュアルなのに、初登場時から暴力の権化とばかりにフォージの手下を殴る・ぶん投げる・突き飛ばすとやりたい放題。ギャップがまた可愛い。
ゼンク:
マジでセクシーな、品行方正過ぎる聖騎士。
なのでジョークの類が一切通じず、ちょいちょい『魔法陣グルグル』に出てくる草の精霊モゲルみたいになっていた。下手なことを言うと大地の治療を施されそう。
取り扱い注意なイケメンだけど、さすがは聖騎士。めっちゃ強い。
フォージ:
エドガンたちの元仲間の詐欺師。
彼らを裏切って獲物を独り占めし、とある街の領主になっていた。金の力ってすげぇや。
嫌な奴ではあるけれど、エドガンの娘を大事に育ててたり、ソフィーナの正体を知っても「頭巾は外で脱がない方がいいと思うよ」とあっさり流したり、なんか憎めない。
ソフィーナ:
目の周りが真っ黒で、第一印象が「コイツやばい」一択な、頭巾を被った魔術師。
エドガンたちをハメて投獄させた張本人。
なお現在はフォージと手を組んでおり、彼から割とリスペクトされているものの、本人はフォージをうざったく思っていたことが終盤で明かされる。
この映画、塩対応の美女が多すぎないか。
【感想など】
ジャーナサーン!
もうお前、恩赦の審議会に出ない方がいいよ!
未見の方に知っていただきたいのは、ジャーナサンという哀れな男性が酷い目に遭って始まり、そして酷い目に遭って終わる作品だということ。
ジャーナサン……
ジャーナサンは登場時間おそらく5分足らずの、超々脇役なんですけどね。ハイ。
でもあまりにも不憫でして。
不憫すぎて、めっちゃ笑った。オチも担ってるし。
冒頭のジャーナサンの不憫ぶりから薄々「さてはこの映画、バカ映画だな?」と察してはいたのですが、思った以上にバカでした。
本筋は「かつての仲間に裏切られた主人公エドガンが、奪われた娘を救い出してついでに世界を救って大団円!」という、ゴリッゴリの王道です。
が、主人公がまるで戦闘能力を持たない吟遊詩人なもので、冴えわたる閃きで窮地を抜け出すものの、ちょいちょい詰めが甘くて痛い目見てるんですね。バカ可愛い。
マンガ『モブサイコ100』の霊幻師匠や、小説『
ただ他のメンツも、才能はあるのにバカ揃い (脳みそっぽいキモかわモンスターにも、バカ認定されていた)なので、見せ場とやらかしを同時並行してくれます。
才能あふれる残念集団なので、愛着もひとしお。
ビジュアルがド好みということもあり、個人的にドリックちゃんがめっちゃ好きです。
バリバリの武闘派なので、彼女がピンチに遭いかけるたびに「あ゛ーッ!」と絶叫しっぱなしでした。
もちろん公開当時に世間 (の一部)を騒がせていた、セクシーパラディンことゼンクも大変よかったです。
エドガン一行との出会いのシーンではラフな白シャツ姿なのですが、けしからんぐらいに胸元がはだけています。色気のリーサルウェポンやで。
思った以上に出番が少なくて割と残念でしたが、あの色気で終始出ずっぱりだと、観客の色気許容量を超えて鼻血噴出者や失神者が続出だったかもしれないので、あれぐらいが適切な用量用法だったのかも。
そんな具合で基本的にバカ格好いいがメインではありますが、随所で泣かせるシーンもあったり。
エドガンと亡き妻との回想はもちろんのこと、個人的に一番グッと来たのが、ホルガが元夫の家を訪ねた場面。
夫が再婚していたことを知り、しょんぼり出てきたホルガを出迎えるのが、一番付き合いの長いエドガンだけなんですよ。
他の二人は、ちょっと離れたところで待ってもらっていて。
なのでホルガは情けない姿を、気心が知れたエドガンにだけ晒すことが出来て。
そういうさり気ないところに、エドガンの優しさが見て取れていいなぁと。
だからこそラストの展開がまた、泣かせてくれます。
私含め、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』シリーズ初見勢は「サーイとかザス・タムとか、よう分からん!」と専門用語の波状攻撃によって頭がパンクしかけますが、そこはセクシーパラディンがとっても分かりやすく説明してくれるので、ご安心ください。
そしてみんなで、ジャーナサンの悲劇を見守ってあげてください。笑えるので。