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『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

【作品情報】

原題:鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

製作:2023年/104分/日本

監督:古賀豪

出演:関俊彦/木内秀信/種﨑敦美

ジャンル:ほぼほぼ絶望な因習ホラー

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

哭倉村なぐらむらという廃村を訪れた、鬼太郎親子と猫娘ちゃん。

鬼太郎への取材狙いで (死にたいんか?)彼らを追う雑誌記者・山田も廃村に足を踏み入れたところ、誤って地下道へ迷い込む羽目に。

古ぼけたメスやベッド、そして大量の鳥居が放棄されたそこで、記者は異形に襲われ――


時は遡って昭和31年。

血液銀行で働く戦場帰りの水木みずきは、取引先である龍賀りゅうが製薬を牛耳る、龍賀家当主の時貞ときさだが死去したことを知る。


現在の龍賀製薬社長である入り婿の克典かつのりと仲良しだった水木は、上司から下されたある使命を果たすため、龍賀一族が牛耳る哭倉村へ。


次の龍賀家当主は克典だと信じて疑わない水木は

「克典に恩を売って、上司の要望も叶えて、絶対成り上がってやるぜ!」

と意気揚々。


もちろん世の中というかホラー映画は、そんなに甘くない。

実際に当主に指名されたのは、いかにもヤバそうな公家メイクの長男・時麿ときまろだった。

アテが外れた水木は、せめて上司命令である、龍賀製薬の秘蔵っ子「血液製剤M」の精製方法だけでも調べようとするも――その夜、不幸が起きた。


新当主となった公家メイクおじさんが、惨殺死体で発見されたのだ。

入婿の克典によれば怪しい民間信仰を行っているらしい龍賀家内に、「たたりじゃ!」ムードが漂い始める。


そんな時、怪しい侵入者として着流し姿のとぼけた男性が捕まえられる。

早速男を斬首しようとする龍賀家および哭倉村村民のバイオレンスぶりに、「ここは法治国家ですぜ!」と思わずツッコんでしまった水木がなし崩しで、男の監視役となることに。


ノリでゲゲ郎と名付けられた男と、名付けちゃった水木による即興バディがこうして結成され、村の暗部に探りを入れ始める。

しかしそれが、悲劇の始まりであった。



【登場人物】

水木:

戦場で体と心に大きな傷を負い、帰って来た日本でも人間のクソっぷりを見せつけられて成り上がり思考がつよつよになった、高度経済成長期の象徴みたいなイケメン。

顔の傷跡がセクシーです。

ヘビースモーカーだが、葉巻は苦手っぽい。

ゲゲ郎の自由人っぷりに振り回されつつ、いい感じにほだされていく。根っこは絶対めっちゃいい人。私の好きなタイプです。


ゲゲ郎 (仮):

どう見ても鬼太郎パッパだし、実際パッパ。本名は不明。

目玉のおやじの全体図、こうなってたんか……タッパもあって、割とカッコいいぞ。

なおマッマは猫娘ちゃんっぽい目尻の上がった美人で、「親子で、顔と女性の好みがそっくりなんかい」とちょっと思ったり。


龍賀時貞:

いかにもあかんビジュアルの、立身出世の象徴ジジイ。だいたいこいつが悪い。

龍賀家がクソの精鋭揃いになったのも、たぶんこいつが原因。

Mという、超サイヤ人メーカーみたいな激ヤバ血液製剤の生みの親でもある。

絶対原材料もヤバいと思ってたし、思ってた以上にヤバかった。

マジで何がどうなって「よし、アレを原材料にしよう!」と思ったのだろうか。頭大丈夫か?


龍賀紗代さよ

黒髪ロングヘアの美少女で、時貞の孫。和装も洋装も愛らしい。

水木との出会いシーンがなんともロマンティックで、「ホラーでの甘酸っぱい恋は、だいたい不幸に終わるよね……」という訓練された我々の予想はもちろん当たるよ!クソが!

あまりの薄幸ぶりに、この世に慈悲はないのかと天を仰ぎたくなる次第。


龍賀克典:

紗代ちゃんのパッパで入り婿。

なんとも金満家・成金なビジュアルだし本人の性格もその通りなんだろうけど、他の龍賀の民 (子ども除く)がクソ揃いなため、相対的にまともな印象。

というか、思考が本当に普通の「よくいるちょっと偉そうなオッサン」でしかない。

つまり貰い事故枠。私は割とこのオッサン、好きです。紗代ちゃんも懐いてるっぽいし。


龍賀時麿:

時貞の長男で、次期当主。

ビジュアルも中身もキモい。そしてビジュアルがトンチキ過ぎて、龍賀家の中で一番出番も少ないのにインパクトだけは鬼強い。

あと自室の闇も深い。


長田時弥ときや

紗代の従弟で病弱ショタ。可愛い。

薄幸枠その2。

マジで不憫過ぎて、この子の再登場シーンは号泣不可避。ゲゲ郎パッパとの会話シーンが、時間差でブスブスと刺さって参ります。



【感想など】

前評判通り、ほぼほぼ救いがない!

特に紗代ちゃんと時弥くんが、あまりにも可哀想過ぎる!そんな……そんなぁぁー!


観終わっても涙が止まらず打ちのめされるのですが、絶望だけでなく。小さいけれど、たしかな救いも残されていて。

結果、絶望しつつも「うむ……これはいい映画だった」という感想がまろび出る次第でした。

これはパンドラの箱か?


ただ映画として、飽きる暇がないほど

「日本の夏の原風景→横溝正史テイスト→エグめ死体☆登場→ゲゲ郎さんの鬼カッコよきアクション→無慈悲な生き地獄→そして……」

と、畳みかけるように見どころてんこ盛りですしね。パンドラの箱も致し方なし。


鬼太郎誕生のエピソードは、たしか原作とアニメ『墓場鬼太郎』で履修済みでございました。

なのであの殺伐・猥雑シーンと、この因習ドロドロ殺戮劇がどうつながって行くんだろうと思ってたら……あーあーあー!こんなん泣くやん!泣きますやん!


ずるい、ずるいよ……『墓場鬼太郎』につながる契機となった、映画終盤の水木のあの行動にも彼の人のよさがにじみ出ていて、そのせいで悲しさが増してしまって……もう、こんなの……もぉぉー!


『墓場鬼太郎』において、鬼太郎親子と水木は最後にたもとを分かってしまったけれど。

きっと『ゲゲゲの鬼太郎』における3人には、たしかな絆が芽生えたのだと思ってます。

だって鬼太郎、いい子ですし。

目玉のおやじだけでなく、水木の影響も絶対にあったに違いない、と信じています。

きっと水木、あの後禁煙もしてる。ワシには分かる。


そんなわけで『ゲゲゲの鬼太郎』6期も観たいです。

今は猫娘ちゃんがめちゃくちゃ可愛くて、ただただ羨ましい。

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