【作品情報】
原題:Tucker and Dale vs Evil
制作:2010年/89分/カナダ・アメリカ
監督:イーライ・クレイグ
出演:タイラー・ラビン/アラン・テュディック/カトリーナ・ボウデン
ジャンル:スプラッター・ラブコメディ
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
とある大学生グループが湖のキャンプ場へ向かってドライブ中、一台のトラックに遭遇する。
トラックの運転席と助手席に乗っていたのは、いかにも地元民な、野暮ったい出で立ちをした男性二人組。
しかし二人とも人相が悪く、おまけにジットリと大学生たちをねめつけていた。
「この二人、絶対カタギじゃない」
そう直感して怯える大学生たちは、自分たちが向かっている湖で二十年前に凄惨な殺人事件があったことを知る。
自分たちのようにグループで遊びに来ていた学生たちが、殺人鬼に襲われ、一人を残して皆殺しにされたというのだ。
昼間に出会った二人組の男を思い出し、ゾッとする一同。
一方その二人組であるタッカーとデイルは――大学生たちのキャンプ地からほど近い、オンボロ山小屋に来ていた。
せっせと貯めたお金で買った、二人の夢の別荘なのだ。
中もボロッボロであるものの、しこたまビールも持ち込んだ二人は大はしゃぎ。
そうこの二人、ただご面相が平和でないだけの、気のいい小市民な幼馴染コンビなのだ。
そんな二人が湖で夜釣りを楽しんでいる時に、思いがけず大学生グループと遭遇。
おまけにタッカーたちにいち早く気付いた、グループの一員であるアリソンがビックリしたはずみで岩場から足を滑らせ、湖で溺れてしまった。ドジ!
慌ててデイルがアリソンを救助し、彼女の友人たちに声をかけるも……
「アリソンが襲われた!」
「オレたちも殺されるんだ!」
殺人鬼と幼馴染コンビを勝手にイコールで結び付けていた大学生どもは、クモの子を散らすように逃亡。
しゃーないので山小屋までアリソンを連れ帰り、手当てをすることにした二人。
翌朝意識を取り戻したアリソンは、二人がただの一般人であり、むしろ「いいヤツ」の部類であるのだと考えを改め、なんだったらデイルと意気投合していい感じに。
そんな平和なアリソンの現状など知らない友人たちは、殺人鬼の魔の手からアリソンを救出しようと決意する。
しかし彼らは、知らなかったのだ。
自分たちがビックリするぐらい不運で、なおかつ幼馴染コンビの間の悪さとの相乗効果によって、エグい死亡フラグが乱立しているということを――
【登場人物】
デイル:
自己肯定感が低めのぽっちゃりさん。
しかし記憶力はよく力持ちで、おまけにパンケーキも作れる。また好きなお茶はアールグレイだそうで。実にいい趣味だ。
ドライブ中に大学生たちをにらんでいたのも、どうやらアリソンがド好みで見惚れていただけの模様。可愛いかよ。
なおWikipediaなどのあらすじでは幼馴染コンビを「中年」と評しているのだが、少なくともデイルは26歳と判明している。
(作中で、20年前の惨殺事件当時は6歳だった、との台詞あり)
幼馴染であるタッカーも同世代と思われるので……20代後半を中年呼ばわりするのは、ちょっと失礼過ぎませんかね。
タッカー:
デイルより社交的だが、デイルより気性が荒い彼のマブダチ。
個人的には、割とイケメンだと思ってる。
劣等感マシマシなデイルを、「お前はいい男だから!」と励まし続けているビッグ・ラブなナイスガイ。
また文句を言いつつ、彼の恋もそっと見守ってくれている。
が、おそろしく間と運が悪い。今回の悲喜劇の火種でもある。
アリソン:
本人曰くファッションセンスが死んでるらしい、美人で真面目な大学生。専攻は心理学。
ちょっとネジの抜けた大学生グループの中で一人だけマトモだし、マジでどういう繋がりで一緒にいるのかが謎。
当初はデイルのこともビビり散らしていたものの、彼が少し気弱で心優しい人物だと気付き、あっという間に打ち解ける。
恋に落ちるのに、時間なんて要らんのですよ。
チャド:
大学生グループの中心人物で、アリソンに言い寄っている。しかし真面目な彼女からは、アプローチを若干ウザがられている模様。
そんな恋するアリソンがさらわれたと勘違いして以降、どんどん思考が過激化していく。
今回の悲喜劇における、圧倒的主犯。だいたいコイツのせい。
【感想など】
Twitter (現X)でも呟いたのですが、これって主軸だけ見れば超々王道ラブストーリーですよね。
自分に自信がなく、また外見から誤解されがちな心優しい青年 (26歳を中年と呼ぶなんて、私には無理だ)と、彼の真の魅力に気付いた女性との恋物語……王道であり鉄板であり、皆大好きなヤツですよね。
もちろん、私も大好きです。
が、今作はそれに「ドジと不運の波状攻撃で、次々と人がエクストリーム事故死を繰り広げていく」という、デカ過ぎる副菜が添えられているワケですが。
死に方が多種多様過ぎて、誰かが死ぬたびに笑えます。不謹慎が不可避。
個人的にはウッドチッパー(木材を粉砕する、『ファーゴ』でも大活躍のあの機械)での死亡シーンが、一番好き。
ヴアーッ!と飛びかかってからの、吸い込まれるように機械へボッシュートされる流れに、一秒も無駄がない。最高。
そんなバカホラーである一方、デイルとアリソンのやり取りは「ティーンエイジャーかよ!」ってぐらい微笑ましいです。
なのでラブコメ好きにもオススメです。全体的によく出血してるけど。
またデイルとタッカーの年季の入った友情も、ブロマンス一歩手前。
いや、両者――というかタッカーサイドの友情は間違いなく激重と見受けられるので、ブロマンス真っ只中です。エモい。
コワモテとぽっちゃりコンビではありますが、案外腐女子の方にもオススメ作品かもしれません。