目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
『チェンジリング(1980)』

【作品情報】

原題:The Changeling

製作:1980年/107分/カナダ

監督:ピーター・メダック

出演:ジョージ・C・スコット/トリッシュ・ヴァン・ディヴァー/メルヴィン・ダグラス

ジャンル:ミステリー調ホラー。いやホラーっぽいミステリー?

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

旅行中の交通事故によって妻子を失った、作曲家のジョン先生。

メンタル療養も兼ねて、家族と暮らした家を離れて自然豊かなシアトルへと移住した。


そこで友人から、「新居を探してるんだったら、地元の歴史保存協会がいい物件持ってるはずだぜ」という提案を受けることに。


歴史保全協会には街の名士である、カーマイケル財団も出資していた。なので信頼度はグンバツ。

そして協会員のクレアが用意してくれたのは、音楽室も兼ね備えたチェスマン・ハウスという豪邸だった。


長らく借り手が付かなかったということだが、協会が管理していたし、家の状態は良好。

シアトルの大学での職も得たジョンは、慈善コンサートを成功させたりと、なかなか充実した新生活を過ごしていく。


しかし屋敷では、時折奇妙な出来事が起こっていた。

朝六時にどこからともなく、壁でもぶん殴っているかのような騒音が、きっかり三十秒間鳴り響き。

誰もいないのにドアが開いたりもしている。


そして極めつけとばかりに、屋根裏にある窓のガラスが、なんと内側から割れた。

しかし屋根裏の入り口は板が打ち付けられており、更に棚まで設置されていたため、人が入ることは不可能だった。


コレなんかおるってー!とさすがにいぶかしんだジョン先生は、クレアと屋敷の歴史を調べる過程で、コーラという少女が事故死していたことを知る。

コーラの死因も自動車事故であったため、娘を重ねてしんみりするジョン先生。


またダメ押しとばかりに、同僚である心霊学者の伝手つてを辿って、霊媒師夫妻も屋敷に招待。

そしてマジモンだった霊媒師 (妻)のおかげで、屋敷に居座る幽霊の名前をゲットすることに成功。


「僕の名前はジョセフ……」


コーラちゃうんかい!



【登場人物】

ジョン先生:

大学での学生さんたちの集まり具合を見る限り、かなり有名で人気な作曲家さんの模様。

パッと見は初老辺りの、オッサンとジイさんの狭間の存在なのですが……行動力がエグい。

屋根裏の窓が割れたからって、棚と板をベキベキ剥がしてガンガン侵入するし、他人ひと様の家の床もガシュガシュ掘ります。

やべぇなこの紳士!

ちなみに終盤、なんか怒り狂った幽霊のせいで酷い目に遭うのですが、その時に先生が選んだ感情は「ビビる」ではなく「キレ返す」でした。

かっこよすぎんか……?


クレア:

歴史保全協会の会員さん。

ぼっちの先生に、旅館に出来そうな勢いでクソデカいチェスマン・ハウスを紹介した張本人。

しかし先生のぼっちを案じてもいるらしく、ちょいちょいお屋敷に顔を出しては心霊現象に巻き込まれていく。割と自主的に。

そう。彼女もジョン先生ほどではないけれど、まあまあ肝が据わっている。


カーマイケル:

財団の長にして議員さんも務めている、なんか偉いジイさん。

ちょっとアゴがしゃくれており、それで映画後半に赤い薄手のガウンを着るものだから、うっすら漂うアントン感。

なお彼の名前が、実はとある人物と一致しており――



【感想など】

演者の年齢層高ッ!な映画でした。

画面に映るのが、ほぼ中高年。

たぶん平均年齢は50歳ぐらいかと。


ちなみに80年代というと、血のりブシュー!特殊メイクギャーン!な、力技ホラー映画が頑張ってた時代なのですが、そういうのは一切なしです。


ひたひたじわじわと迫りつつ、日常に混ざり込む異物で「ひぇっ」と言わせるオールドスタイルな恐怖表現でした。

しかしオールドでありながら、王道的表現でもあるため。


むしろ一周回って、今でも怖い!ええやん!


とはいえこの映画は、ホラー的演出よりもストーリーを楽しむ映画なので。

怖いのを期待して観ると、ちょっぴり肩透かしかもです。


どこかのレビューサイトで「古い映画だけど、ストーリー展開が面白いからオススメ」というのを見かけて、ずっと観たかった本作。


しかしややマイナー&ちょっと古めのため、レンタルショップにもなく。

同タイトルの、アンジェリーナ・ジョリーさん主演の映画はあちこちにあったんですけどね……

おまけに配信でも一切見かけなかったので、この度プライムビデオ (の恐怖チャンネルへの加入が必要ではありますが)に登場したのがありがてぇ……サンキューAmazon……


こういった経緯のため、十年以上も期待値を積み重ねていたのですが、オールドかつスタンダードな謎解きホラー映画スタイルが今観ても面白かったです。


前述の通り、平均年齢がバカ高で、そういった意味での華は皆無。

しかし画面に映るお屋敷・事務所・カフェ――そのどれもがハイセンス。

また中高年の皆さんも、それぞれが上品に衣装を着こなしているので、どこかノーブルなシャレオツ感もあります。


あれです、ホラー版『かもめ食堂』と思ってください。


また、ここも時代を超えて楽しめた要素だと思うのですが。

主要人物が皆、いも甘いも噛み分けて来た中高年だからか、揃いも揃って決断が早い。これには鱗滝うろこだきさんも、きっと絶賛しちゃう。

おかげでまどろっこしさがなくサクサクお話も進んでいくので、せっかちな私もニッコリでした。


最愛の家族を失ったオッサンが、偶然出くわした心霊現象をギャンギャン容赦なく解き明かしていく様を観たい方に、オススメの逸品です。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?