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『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

【作品情報】

原題:The Super Mario Bros. Movie

公開:2023年/93分/アメリカ・日本

監督:アーロン・ホーバス/マイケル・イェレニック

出演:クリス・プラット/チャーリー・デイ/アニャ・テイラー=ジョイ

ジャンル:アクションコメディ

(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)



【ざっくりあらすじ】

ブルックリンで配管工を営むマリオとルイージ兄弟。

しかしルイージの不運属性が災いするのか、なかなか仕事が上手くいかない。

両親を含めた親族一同からバカにされ、鬱屈するマリオ。


そんな時ブルックリンの地下水道で大規模な水漏れが発生し、町が水浸しに。

功名チャンス到来とばかりに、いそいそと現場へ赴いた二人は謎の土管を発見。

そしてダイソンばりの吸引力を魅せる土管に吸い込まれ、二人は異世界に飛ばされた。なんでや。


しかし途中で二人は離れ離れになり、ルイージはクッパの支配するダークランドへ落とされた。

キノコ王国に到着したマリオは、CV:風柱あるいはスネ夫のキノピオに出会う。

そして彼から、クッパという巨大カメがこの国を狙っていること、ルイージもおそらくクッパに捕まっていることを教えられる。


二人でキノコ王国のリーダーである、ピーチ姫へ謁見というかアポなし突撃を敢行。


クッパの脅威を危惧していたピーチ姫は、これ幸いとマリオを鍛え上げて、キノピオも交えた三人でジャングル王国に向かった。

狙いはクランキーコングが治めるその国と同盟を結び、クッパに対抗すること。


一方のルイージは当然のように捕まり、クッパ城の捕虜となっていた。


またクッパはキノコ王国侵攻前にスーパースターを手に入れており、これを手土産にピーチ姫へプロポーズするつもりだった。

そう、彼はピーチ姫ガチ恋勢だったのです。


果たしてクッパの、種族を超えた愛は成就するのか。

うん、するわけないんですけどね。



【登場人物】

マリオ:

兄弟の小さい方、あるいは赤い方。口癖は「マンマミーア」なイタリア系アメリカ人。

イタリア系らしく、お夕飯は親戚も交えての大所帯で摂る派。

夢はデカいが、なかなかそれに実力や運が伴っておらず、色々と心折れそうになっていた。

しかし偶然キノコ王国に迷い込み、可愛い弟のために大奮闘。

なおキノコ全般が苦手らしい。


ルイージ:

兄弟の背が高い方、あるいは緑の方。とにかく運が悪くて、ついでにちょっと頼りない。

小さい頃からマリオに助けられていたため、お兄ちゃん全肯定な可愛い弟。ヒゲ生えてるけど。

ただクッパに「お前の兄貴に、ピーチ姫が惚れると思うか?」と凄まれた時は「見る目があれば惚れるかも」的な回答をしていた。

お兄ちゃん全肯定ではあるものの、一般的にはマリオは「ちょっとない」だと判断できるドライさもあるらしい。

今回はというか今回も出番は少なめだけど、終盤の彼はいいぞ。


ピーチ姫:

おそろしくフィジカルの強いプリンセス。

おまけにリーダーシップもあり、面倒なことを率先してやってくれる、理想の上司でもある。弊社にも欲しい逸材。

本家ゲームの『USA』で披露していた、空中歩行もちょっとだけ使う。

ゲームを遊んだ人間が一度は考えるであろう、「なんでピーチ姫はキノコじゃないん?」という疑問に対して、ちゃんと答えがあったのもよき。


キノピオ:

まさかのキノコ王国の住人全員が「キノピオ」という名前だった。

え、菌糸が祖先だから、なんか意識が粘菌ネットワーク的なのでつながってるとか……?こわっ。

なおマリオとピーチ姫の旅に同行する、アクティブなキノピオは若干サイコパスっぽい。

ただ他のキノピオも自分のことを堂々と「可愛い」とか言っちゃうので、全員ヤバいのかも。


クッパ:

異種族間恋愛に悩む暴君カメ。

ピーチを想って自分で作ったであろう歌を、ピアノを弾きつつ披露してくれる。

そのシーンでは私含め、観客は爆笑。

キノコ王国を攻める前に、キュートなペンギンたちが治める氷の国でスーパースターを手に入れており、それを携えてピーチへのプロポーズ大作戦を敢行。


ドンキーコング:

ジャングル王国の王子様。DKと書かれた赤ネクタイがオシャレだね!

まさか彼まで出てくれるとは思わず、劇場でちょっと興奮しちゃった。

ゲーム版より調子こきの陽キャになっていて、やっぱりディディーとも仲良しっぽい。

当初はマリオと反発し合うが、徐々に息の合ったコンビネーションを披露してくれる。



【感想など】

以前にTwitterで見かけた、どなたかの「マリオの映画は、町の中華屋さんに入って、思った通りのチャーハンがちゃんと出て来た感じだった」的なツイートに全面同意しかない作品でした。


「前評判もいいし、面白いに決まってるよね」などと高い期待値を抱いて観に行って、希望通りのチャーハンをお腹いっぱい食べれてもう、満足しかない。


この「希望通り」が出て来るって、実はとても素晴らしいことなんだなぁ……としみじみ。

「予想通り」ではないんです、「希望通り」なんです。

ただもちろん、この2つは重なる部分も多いのですが。


自分も趣味で小説を書いているから、ちょっとだけ分かるんです。

ついつい「予想外の展開に持って行ったら、絶対喜ばれるやろ!」などと、浅はかに考えちゃうわけですよ。

でも予想外の展開は、お客さんの希望と合致しない場合も、もちろん多々あるわけで。


お客さんの希望から大きく離れれば、単なる独りよがりなブツが出来上がるんですよねぇ……自分も気を付けます。


その点こちらの映画は、「きっとこういう展開になるよね」という予想であり希望を的確に察して、小さな「予想外」を交えつつ、お客さんの希望をドーン!と提供してくれるのですよ。

これぞエンタメじゃん。職人技じゃん。

ドンキーコングまで出してくれるとか、ほんと嬉しい予想外。

そして映画の終盤でスーパースターが使われるまでの展開なんて、我々の要望を完全先読みじゃん。マーベラス。


何か高尚なテーマやメッセージ性がある小難しい作品こそが名作と、考えてしまうこともありますが。


改めて、面白いエンタメを作る過程に思いをはせると、お客さんのニーズをすくい取って生み出される大衆向け作品も、別ベクトルでめちゃ尊い。

薬膳料理も素敵ですが、食べ慣れた味のご飯があってこそ、そういう非日常料理も輝くというものです。


なお実写版の (数少ないであろう)ファンとしては、マリオ兄弟がブルックリン在住で、そこの地下からキノコ王国に迷い込むという冒頭の流れに、五体投地で感謝したい所存です。

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