【作品情報】
原題:Super Mario Bros.
制作:1993年/105分/アメリカ
監督:ロッキー・モートン/アナベル・ヤンケン
出演:ボブ・ホスキンス/ジョン・レグイザモ/デニス・ホッパー
ジャンル:やりたい放題な実写マリオ
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
太古の地球で生物の頂点に立っていた恐竜たち。
しかしある日落ちてきた巨大隕石によってあっけなく絶滅した――と思われていたのだが、ほんとはちょっと違った。
実は隕石の余波で地上世界と地下世界、二つの世界が生み出されたのだ。
生き残った一部の恐竜たちはその後、過酷な地下世界で独自の文明を築いていくことに。
そして現代のアメリカ・ブルックリンにて。
配管工事業者をするマリオとルイージの兄弟は、近くで化石の発掘調査を行っている大学生のデイジーという女性と知り合った。速攻で一目惚れしちゃうルイージ。
しかし実はデイジーは、地下世界のプリンセスだった。
20年前にクッパの起こしたクーデターから逃れるため、生母によって地上世界に連れ出され、そのまま人間の孤児として生きてきた。
デイジーの血筋と、そして彼女の母が託した形見のペンダントが、どうやら地上世界への侵略に必要らしく。
クッパは20年間彼女の行方を追っていたようだ。ご苦労様です。
彼の従弟であるイギーとスパイク (両方アホ)により、デイジーは地下世界へさらわれる。
偶然彼女のペンダントを手にしたルイージとマリオも、それを追って地下へと飛び込んだ。
クッパが独裁政権を振るう地下世界で、マリオ兄弟はデイジーを救うことが出来るのか。
【登場人物】
マリオ:
本作では名字もマリオらしい。名づけ親ェ……
ビジュアルは原作通りの小太り・ヒゲの配管工ですが、割と年食ってるし、結構女性慣れしている節もある。
もちろんダニエラという、美人の彼女もいる。
さすがイタリア人だぜ。
ルイージとは実の兄弟でなく、孤児だった彼を引き取って育てた模様。なのでもちろん、年齢も親子ほど離れている。
なおルイージ曰く、「母親であり父親であり全て」な兄貴らしい。愛が重い。
ルイージ:
うさん臭いオカルト番組大好きな、朗らか青年。マリオの養子?みたいなので、もちろん名字はマリオ。
そのため作中で「お前ら2人合わせて、何回”マリオ”出てくんだよ!」とツッコまれている。
マリオと違って女性に不慣れな様子だが、兄であり母でもあるマリオのアシストを受けて、デイジーといい仲になる。マザコン君め!
ちなみに字幕版だと、彼の喋り方がとっても軽薄っぽいので、個人的には吹き替え版での視聴をオススメいたします。
デイジー:
ピーチじゃないよ、デイジーだよ!
常にもっさい……いえ、ボーイッシュな出で立ちの、化石に情熱を注ぐ才女。
実は地下世界を元々治めていた、王族の末裔さん。
クッパのご自宅に連れ去られてからのドレス姿は、結構可愛い。
天井からぶら下がってる粘菌を「これがあなたのパパだよ」と言われても、あっさり信じてくれる度量の持ち主。
クッパ:
デイジーの父を粘菌に変えて、クーデターを起こした現独裁者。
原作だとイカつい亀ですが、こちらのクッパはインテリヤクザ風。祖先もティラノサウルスらしい。
トゲトゲした髪型に、亀の名残があるような。
通貨やカクテルの名前にも、いちいち「クッパ」と付けちゃうとんでもねぇナルシスト。あと超潔癖症。
イギーとスパイク:
クッパの従弟で、デイジー奪還の任を受けて地上に潜伏していた。
が、おそらく作中一のアホ。身内とはいえ、こいつらだけでデイジー連れ去りをやらせた時点で「クッパ詰んどるやん」レベルのおバカさん。実際だいぶ詰んでたしな。
でもなんか憎めない。個人的に一番好きなコンビ。
最終的に機械で強制進化させられてお利口さんになるのですが、その時に何故か二人ともオネエ口調になる。
進化の果てには、ジェンダーフリーが待っている……?
ヨッシー:
実写なので、超リアルな恐竜ペット。でも仕草がめっちゃ可愛い。欲しい。
大きさも大型犬サイズなので、乗るのがためらわれるどころか、申し訳なさすぎて無理!ってなる。
クッパの持ちビルに監禁されていたデイジーと仲良くなり、彼女のピンチを助けてくれたこともある。忠犬やん。
【感想など】
世間的には黒歴史扱いな本作。
我が家では超人気作だったんですけどねぇ……
2023年4月現在、アニメ版のマリオの映画が大変好評なようなので、せっかくなのでこちらも再視聴してみました。
改めて観ると、「めっちゃ真面目にバカやってる映画」でした。
まあうん、人を選ぶわこれ。
まず「マリオの実写やで」と言いつつ、『ブレードランナー』やバーホーベン版『トータルリコール』を彷彿とさせるマッドでディストピアな地下世界を作っちゃってますからね。思い切りよすぎやろ。
マリオはチョイワル風なモテる小太りおじさんで、ルイージはオタク気質な口下手ボーイで。
で、ピーチでなくデイジーがヒロインで。彼女の恋のお相手もルイージで。
クッパはシュッとしたデキる系悪役で、なんかレナとかいうバリキャリ嫁がいて。
コクッパであるイギーとスパイクは、クッパのバカすぎる従弟で。
ヨッシーは大型犬サイズの、クッパの座敷犬ならぬ座敷恐竜で。
……やりたい放題過ぎんかね!当時の任天堂、よく許したな!
そんなやりたい放題が仇となり、当時も今も基本的に叩かれているようなのですが。
要所要所で、「ほほう、マリオじゃん」な要素もあるんですよねぇ。
マリオの恋人のダニエラの、ミドルネームは「ポリーン」だし。
お助けアイテム(本当はデイジーの父)がキノコだし。
色々あって刑務所から逃げ出すマリオ兄弟に、火の玉ランチャーが飛んでくるシーンなんて、『ワールド』等の砦ステージを彷彿とさせるし。
クッパ軍団が使う逆進化銃のビジュアルが、当時任天堂から発売されていたスーパースコープだし。
ちゃんとヨッシーの舌は伸びるし。
デイジーが監視カメラを操る時の操作音が、原作のSEっぽいし。
クッパとマリオが対決する時に、クッパの乗ってる謎のドラム缶もどきのシルエットが、まんまピエロ顔のアレだし。
ところで……あのピエロ顔の乗り物、何と呼べばいいんですかね。底部ブレード設置型ヘリコプターとか……?
ピエロの名称の謎は、ともかくとして。
終盤で兄弟が着るのはやっぱり、赤と緑の衣装でありました。
「ウェーイwww」と言わんばかりの自由奔放さのせいで、よくよく見ないと気付かない部分もあるのですが。ちゃんと原作リスペクトがあったりするんですよね。
そして前述の通り、全力 (バカ)少年な映画なのでマリオ云々を切り離してみても、テンポがよくて能天気で面白い。
これはこれで、原作ありの映画作品における一つの解なのでは、とも思います。
だって原作、ストーリーなんてあってないようなものですやん。『マリオRPG』シリーズなどはともかくとして。
だったら原作のアイテムやエッセンスをあちこちに散りばめて、映画そのものの面白さに重点を置いて、「ファンは原作要素を必死こいて宝探ししてくれーい!」という開き直りも、これはこれでアリかなと。
まあ世間的には「ナシだよ馬鹿!」だったので、大コケしちゃったのですが。
でもコクッパコンビのようになんか憎めない、必死こいて底抜けのバカを貫いている、愛すべきカルト映画だと思います。