【作品情報】
原題:ザ・ファブル 殺さない殺し屋
製作:2021年/131分/日本
監督:江口カン
出演:岡田准一/堤真一/木村文乃
ジャンル:アクションコメディ
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
現役時代、少女を食い物にした売春組織の幹部たちを暗殺していたファブルこと佐藤。
そして彼のターゲットの車に同乗していたため、その後の暴走事故に巻き込まれ、車椅子生活になっちゃった少女ヒナコ。
その後ヒナコは、NPO法人を運営する
表向きは子どもたちを守る活動に精力を注いでいる宇津帆だったが、裏では不良キッズとその保護者から金を巻き上げて、最終的には殺害もするクズ野郎である。
おまけに、ヒナコにも手を出していた。どうしようもないな。
実は宇津帆は、佐藤が壊滅させた売春組織のボスだった。その頃から未成年が好きだったんだね、このドグサレ野郎が!
また、殺害された幹部の中には宇津帆の弟もいた。
彼は弟のかたき討ちのため、ファブルに関する少ない情報をかき集め、彼が一般人として暮らす街を突き止めていた。
その情報収集力だけはマジですごい。まあ、ファブルのお顔までは分かってないんだけどね。
一方の佐藤は、相も変わらずデザイン事務所のアルバイトとして、妙に味のあるヘタウマイラストを絶賛生産中。
ある日、ヒナコが公園の鉄棒で一人リハビリに勤しんでいるところに、配達中の佐藤が通りがかる。
自分が巻き込んでしまった、かつての少女=ヒナコと気付いた佐藤は、不器用ながらも彼女を見守る。
ヒナコも宇津帆の仲間の鈴木に心配されつつも、佐藤との交流を深めていく。
そして宇津帆が次の獲物に選んだのは、佐藤の同僚である貝沼だった。
貝沼は同僚のミサキちゃんの自宅に、盗撮カメラを仕掛けていたのだ。
それを
このことから貝沼はパニックを起こして、ミサキちゃんを逆恨み。包丁を持って、事務所で彼女を亡き者にしようと試みる。
当然、佐藤にあっさり制圧されるのだが、この後のゴタゴタで貝沼は鈴木に拉致され、佐藤はその現場を目撃することに。
佐藤は宇津帆=売春組織の生き残りであると気付き、また宇津帆も佐藤=ファブルであると知る。
佐藤は妹分の洋子 (や前作でお世話になった海老原さんなど)の手も借りて、宇津帆一派との対決に挑む。
しかし、相変わらず殺人はご法度。
だけど宇津帆の人脈はエグいぞ。なんか地雷も持ってるぞ。大丈夫か。
【登場人物】
佐藤:
しかし現在は、小さなデザイン事務所で働く画伯で天然気味なアルバイト君。地味に時給は上がりつつある。
すっごい猫舌なのに、何故か熱々で粘度の高い食べ物を果敢に食べる。ドMかな。
基本無表情だけど、自分のせいで足が不自由になったヒナコちゃんに負い目を感じており、めっちゃ頑張る。
洋子:
ファブル時代からの佐藤の相棒で、現在は妹という身分でもある。
前作では「酒」という印象しかなかったけど、今作では彼女もめちゃめちゃ強い・記憶力もエグいという新しい一面がお目見え。
あとお料理も好きっぽい。一般人ライフをエンジョイしているようで何より。
完全に余談なのですが、彼女の料理中の片足立ちスタイルが、まんまウチの母と同じだったため、なんか複雑な気持ちになった。
宇津帆:
子どもの未来を守るNPO法人を運営しつつ、バカな子どもの未来を絶って金儲けをする超悪人。
弟へのかたき討ちのためファブルを狙っている――のだが、徹頭徹尾うさん臭いので「この『弟』とは、あなたの想像上の存在にすぎないのでは」とか思っちゃいました。
でも、弟は実在しました。疑ってすまん。
いやでも、女の子を食い物にしていたので、やっぱ許せん。
ヒナコ:
家出→売春組織に捕まる→暗殺に巻き込まれて大怪我→両親も死ぬ→オッサンの情婦という、とんでもねぇ転落人生を歩む少女。不憫。
なおフィクションで薄幸の車椅子少女というと、なんか儚げでか弱いイメージがあるけれど、結構憎たらしいしふてぶてしかった。うん、まぁ、そりゃそうなるよねー。
鈴木:
宇津帆の部下で殺し屋。
イケメンなお兄さんっぽいが、実は40代らしい。うーん、アンチエイジング!
宇津帆との付き合いは長いようだけど、彼の怪しい人間性は信用していないっぽい。
また、おそらく宇津帆よりヒナコちゃんを心配してくれている。
殺し屋って、結構いい人多いんか?
井崎:
チーム宇津帆の新入り。
初手でヒナコちゃんにセクハラをかまし、自分が用意したスタンガンにびっくりし、使えなさそう感を全力で振りまく。
そして実際、最後まで使えない。
ミサキ:
佐藤の働く事務所の社員にして、前作でチンピラ柳楽くんにさらわれた美人。
今回は同僚からの盗撮被害に遭う。こちらも十二分に不憫過ぎる。
また前作での一件から、うっすら佐藤に好意を持っているらしく。
髪型を変え、可愛いお洋服でアピールするも、出て来た賞賛の言葉は「毒蛇のカラーリングと一緒」であった。この世に神はおらんのか?
田高田:
事務所の社長で、今作のコミカルシーンの大半を担っている。
また、佐藤画伯のファンでもある。
包丁を持った貝沼を一瞬で倒した佐藤の超身体能力を見ても、たちまち超良心的解釈を下す善性の塊。こんな社長が欲しい。
貝沼:
宇津帆とは違うベクトルでクソな、事務所の社員。
前作でもミサキちゃんの盗撮を狙っていたが、今作では自宅にまで隠しカメラを仕込んでいた。お前……お前……
なお、富豪感をまき散らすご母堂も、貝沼によく似ている。
【感想など】
主演がファイトコレオグラファー(格闘シーンの振付師みたいなもの、らしい)までやっちゃってる、なんか稀有な映画。
『シン・ウルトラマン』の庵野監督といい――日本人、オ仕事大好キネ。
ただ、カリやジークンドーのインストラクターでもある岡田氏も協力されているからか、やっぱりアクションシーンがすっごい。
しょっぱなの連続☆SATSUGAIからの、お車暴走シーン。
「え! ここまで車に、無慈悲になっちゃうんですか!」と嬉しくなりました。
『ストリートファイター』を延々遊んでいた世代なので、車がボッコボコに大破しちゃうと、なんかハッスルします。
好きなキャラは、春麗とエドモンド本田でした。
団地大暴れシーンもすごいですよね。
足場も使った上下移動も練り込んで、四方八方・縦横無尽に戦う佐藤。もはや彼は、トカゲかサルなのかなって考えちゃう。
その足場が、ダララララ!と崩れるのに併せての全力疾走も、いい。いいに決まっている。
予告で散々観たのに、一連の流れで観ると、改めて大興奮でした。
ただアクションだけでなく、コミカルな場面も本気で作ってくれている感じが、好き。
オクトパスでの、社長・ミサキちゃん・佐藤のやり取り大好き。
佐藤と洋子の、遠慮も容赦もない会話のぶつけ合いも愛しい。
佐藤の猫舌鉄板ネタも、「ああ、ちゃんと『お約束』という前提ができた、2作目って感じがするねぇ」と微笑ましくなっちゃう。
宇津帆一派が揃いも揃ってどんより暗いので、前作からの続投組の和気あいあいっぷりに救われたー。
貝沼?知らんな。
でも疑似親子関係にエモさを感じるタイプなので、なんやかんやでヒナコちゃんを心配しまくる鈴木と、そんな彼を鬱陶しそうに思いつつも、ちょっと甘えてるっぽいヒナコちゃんの関係も好きです。
今後も、鈴木の父性をくすぐり続けてくれ、ヒナコちゃん。
いっそ養子になれ。
そして結婚式で手紙を読んで、鈴木を泣かせろ。
ラストは意味ありげにボスも出て来たので、次作もお待ちしています。
そして次作では、安田顕さんの出番ももっと増えておくれ。