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『呪詛』

【作品情報】

原題:Incantation

製作:2022年/111分/台湾

監督:ケビン・コー

出演:ツァイ・ガンユエン/ホアン・シンティン/ガオ・インシュアン

ジャンル:ホラー

(参考サイト:映画.com https://eiga.com/)



【ざっくりあらすじ】

撮影中のビデオカメラに話しかける、シングルマザーのルオナン。

彼女は視聴者へ「意志の力で世界は変わる」と訴えながら、一つの告白をする。

「自分はタブーを犯してしまい、そのために周りの人がどんどん死んでいった」と。

現実に彼女の両親は事故死し、その際に彼女が駆け込んだ警察でも、担当の警察官2人が自殺していた。


ルオナンは次いで、その災いに対抗するための呪文を、視聴者に伝える。


ホーホッシオンイーシーセンウーマ――


話はルオナンが、心の病院でご厄介中 (6年間)に里子に出していた、娘のドゥオドゥオを引き取った時までさかのぼる。

里親のチーミンにめちゃ懐いていたドゥオドゥオだったので、ほぼ初対面であろう母とは少しギクシャク。


しかしお互いの気遣い&歩み寄りのおかげで、母娘は案外すんなり打ち解ける。

その夜ルオナンは、「あなたの本当の名前は、チェン・ラートンなのよ」とドゥオドゥオに伝えた日から、怪異が出し惜しみなく次々と発生。


子ども部屋のガラスが割れ、ゴキブリが何故か真っ二つになって死に、ドゥオドゥオの白目には謎の血豆も発生。また、エレベーターから不気味な絶叫が聞こえて来た。


怪異の原因は、冒頭でルオナンが語っていた「タブー」にあった。

6年前に超常現象の謎を解き明かすYouTuber――と言えば聞こえはいいけど、民間信仰やらにもガンガン土足で乗り込むっぽい、軽薄スタンスで動画を配信していたルオナンと恋人のアードン(ドゥオドゥオのパパやね)、アードンの弟アーユエン。


次の撮影地は、アードンたちのおじいちゃんが暮らす山の集落だった。

そこでは変わった風習や宗教が浸透しており、おまけにその宗教の儀式で使うらしい地下道は、原則立ち入り禁止。

そんな謎に満ちた地下道での撮影が、今回の目的だった。


集落へ向かう途中で車のタイヤに、小さめサイズの仏像が挟まるという「あ、これ絶対あかんやつや」と思わずにはいられないハプニングがあったのに、気にせず集落に乗り込んだ三人組。

そして案の定村をあちこち引っ掻き回し、村の人にとって大事な儀式にもお邪魔し、おじいちゃんたちを大激怒させてしまった。


おまけにアーユエンが地下道への入り口を蹴り破って、アードンと共にガンガン侵入。

結果、アードンは血まみれで死亡、アーユエンも発狂して転落死。

そして妊娠中のルオナンは、股から出血するわ恋人が死ぬわ、村人からもぶん殴られるわという、生き地獄の末にどうにか車で脱出。

なお、当時は無免許であった。


その時お腹の中にいたドゥオドゥオは、ルオナンを通じて村の怪異や怪しげな儀式に遭遇していた。

だからなのか、彼女は村で祀られていた邪神「大黒仏母」に魅入られているようだった。


邪神と同じ「顔のない悪者」の存在を察知し、それを幼稚園の友人に話したことで気味悪がられ、喧嘩になったことも。


また無人となっているルオナンの実家に出かけた際に、屋上にあった謎の仏間へ「顔のない悪者」によって誘導され、そこでアーユエンが撮影した地下道での映像を観てしまった。直後、ぶっ倒れるドゥオドゥオ。


呪いによって脳に障害が発生し、ドゥオドゥオは半身不随に。

そしてルオナンも親権をはく奪されることに。


だが、ドゥオドゥオの不幸が過去の己の軽率な行為&そこで引き起こした呪いのせいだと察したルオナンは、ドゥオドゥオの里親だったチーミンの助けも借りて、ドゥオドゥオと共に再び村に突撃する。

娘の呪いを、彼女は解くことが出来るのだろうか。



【登場人物】

ルオナン:

だいたいお前が悪い度80%な主人公。

しかし6年前の事件から現在まで、徹頭徹尾不幸なため、ちょっと同情も。

娘の養育もあるしね。

ただ、娘のしでかした不祥事を賄賂 (ちびっ子へのおもちゃ)でうやむやにするのは、個人的にどうかと。

でもアレ、台湾では割とお馴染みの謝罪スタイルなのだろうか。だったらしゃーない。


ドゥオドゥオ:

巻き込まれ度100%な主人公の愛娘。

パイナップルをこよなく愛し、ウサギのぬいぐるみとは一心同体。あとイヌ派。

生育環境が複雑なためか、基本的に聞き分けもいいし空気も読めるいい子なので、これから幸せになってくれ……


チーミン:

巻き込まれ度80%なドォドゥオの里親。

こざっぱりとしていて爽やかで、血のつながりのないドゥオドゥオにも優しい、おそらく作中一番マトモな大人。

物語後半でルオナンへの裏切り行為を告白するが、あの状態のルオナンとドゥオドゥオを客観的に見ると、彼を責められん。


アードン:

だいたいお前が悪い度90%なルオナンの恋人。

後述のアーユエンよりかは幾分かマシだけど、邪神様の隠されたご尊顔を勝手にチラ見した罪は重い。

主人公の恋人という美味しいポジションのわりに、ぶっちゃけ一番見せ場がない。

そんな影の薄い彼だが、ルオナンの妊娠が思いがけず発覚した際には、即座に子供の名前を考えるなど、なんやかんやで恋人思いだったんだろうな。


アーユエン:

だいたいお前が悪い度120%なアードンの弟。

見た目はナード、行動力と軽薄さはパリピという、ホラー映画で待ち受けているものは「不幸」一択としか思えない歩く死亡フラグボーイ。

おそらく彼が居なければ、ここまで災厄一直線展開にはなっていなかっただろう。



【感想など】

む、虫がぁぁぁぁぁーッ!


小生、家にちょっと大きめのクモが出ただけで過呼吸を起こす虫嫌い故、虫どもが「こんにちは」しているシーンは基本、焦点をぼやけさせていました。

この作品のR指定は、虫ケラども頻出による年齢制限だと受け取っております。


無遠慮な虫ーズの予想外の活躍には「ファーック!!」連呼でしたが、お話自体は面白かったです。

アホな若者が好奇心で、謎の集落の邪教に触れちゃって、その災いに巻き込まれた我が子のために奮闘するという、『ミッドサマー』+『リング』な作品でした。贅沢な味付けだ。


ただ、こちらはアジアンホラーなので、北欧的神秘性や明るさは皆無。

なんだったら『リング』より粘っこいし小汚いし、結構血も出ます。あともちろん虫も沢山います。クソが!


こういう因習モノって、文化圏を問わずウケるんですかね。

私は限界集落でのヤベぇ宗教や風習を扱った物語・怪談にワクワクするタイプなので、『ミッドサマー』や当作のヒットを契機に、もっと増えると嬉しいなぁと思います。

時代は呪われた村 (タタリじゃ!と叫ぶ、やけに物知りな老婆もセットなら最高)を、強く求めているのだ……


また、POV形式の作品に酔いまくって来た苦い記憶があるのですが、当作は手ブレも少なく、画面酔いとは無縁でした。ありがてぇ。

また普通に登場人物のカメラ以外の、「どこから撮ってんの、これ」な映像も挟まれるので、POV独特の、画が狭くて窮屈な印象も薄かったです。


噂によると、次作の製作も決定しているらしく。

次は気持ち悪い芋虫やら何やらの代わりに、トカゲとかヘビを沢山出してくれませんかね。

爬虫類と両生類は、割と平気なので。ヤモリとか可愛い。

もしくはそこだけ、擬人化したバグズライフ的虫さんでも可。むしろ頼みます。

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