【作品情報】
原題:The Suicide Squad
製作:2021年/132分/アメリカ
監督:ジェームズ・ガン
出演:マーゴット・ロビー/イドリス・エルバ/ジョエル・キナマン
ジャンル:血みどろアクション
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
南米のとある独裁小国家で、「スターフィッシュ計画」なる地球外生命体を使った、世界征服計画が進められていた。
我らがメリケンさんはそれを阻止すべく、フラッグ大佐率いる、囚人たちで構成された特殊部隊――通称スーサイド・スクワッドを小国へ向かわせた。
と思ったら、速攻で見つかった。フラッグ大佐とハーレイ・クインを残して、部隊はあっという間に壊滅。駄目じゃん。
だがそれも、腹黒冷徹ウォラー長官の作戦だった。彼らは捨て駒だったのだ。
フラッグ大佐たちがヒーヒー言っている間に、ブラッドスポート率いる別動隊はのんきに上陸。
そして彼らは、なんやかんやで死ななかったフラッグ大佐と合流し、敵のイケオジといい感じになってたハーレイ・クインも救出し、スターフィッシュ計画の壊滅を目指して突き進む。
途中で、味方になるはずの反政府組織をうっかり殺しちゃったりしたけど、仕方ないよね。
そういうこともある!
【登場人物】
ハーレイ・クイン:
原作でもクソ可愛いし、実写になってもクソ可愛い、奇跡のようなギャル系犯罪者。
これでも元精神科医だったりする。
一見無軌道なアホに見えるし、実際そんな感じのシーンが多々見受けられるけれど、「子供も殺す」とほざいたイケオジ(敵のトップ的おっさん)にキレたり、死んでしまった仲間を悼んだり、なんやかんやでいい子。
あと、彼女が暴れるとちょいちょいファンシーになったり、ラブコメ風になったり、作風がブレる。
ブラッドスポート:
DVクソ親父にしごかれて育った、凄腕スナイパー。しかし接近戦もクソ強い。
スーサイド・スクワッド入りを全力で拒んでいたけど、万引きでしょっぴかれた娘を助けるため入隊。
潔癖症っぽいうえにネズミ恐怖症のため、後述のクレオちゃんは天敵と言えるが、持ち前の父性で仲良くなっていく。
あと、装備品がめちゃめちゃカッコいい。ガジェットにガジェットを合体させて、特大バズーカになるロマン。
ちなみに娘は、テレビが観れるらしい謎の腕時計を盗んで逮捕されていたので、「もうちょいマシなもん盗めよ!」と思わず叫んでしまうのであった。
フラッグ大佐:
エリート軍人っぽいのに、あずかり知らぬところで捨て駒にされていた可哀想イケメン。
私の最推しです。
超人スキルや謎技術の武器を持った、ヤベぇ連中だらけの部隊においてただ一人、「普通に鍛えて強い人」。ブラッドスポートとは旧友で、ハーレイ・クインとも仲良しっぽい。
軍人だけど堅物というわけでもなく、命令にないハーレイ・クインの救出を優先したり、スターフィッシュ計画の犠牲者に憤ったり、結構柔軟でいい人。
ただその良識が、後々悲劇を呼ぶことに……
クレオ:
不思議なステッキでネズミを操る、ポルトガル出身の可愛いちゃん。低血圧っぽい。
友達のセバスチャン(リュック背負ったネズミ)とはいつも一緒。
銀行強盗をして捕まったそうだが、ネズミを武器とみなされて武装強盗扱いにされたらしい。若干理不尽。
強面のブラッドスポートとも、後述の陰キャ丸出しなポルカドットマンや、人食いのナナウエとも仲良くなれる、とんでもねぇコミュ力の持ち主。
ポルカドットマン:
ノーマン・ベイツっぽいなと思ったら、作中でも言われてた陰キャな人。
頭おかしい母親のせいで異次元ウィルスに侵された結果、水玉で敵を攻撃するという、よう分からん能力を授かった。
しかしめっちゃ強い。
彼もブラッドスポートもそうだけど、生い立ちが結構悲惨なメンツが多い辺り、なんとも生々しい。
ナナウエ:
スタローンボイスで喋るサメ男。好物は人。頭はアホ。
当初は熟睡中のクレオを食べようとしたけれど、彼女と友達になったことで、部隊のメンツは狙わないようになる。
役に立ってるのか立ってないのか分からないけど、なんか和むからヨシ!
ピースメイカー:
便器みたいな仮面を被った、独善的な正義漢。
ジャングルでの野営中であっても、パンツ一丁で寝る主義らしい。ちなみにパンツは純白のブリーフだ。
ブラッドスポートと生い立ち・能力が被ってて、やや不憫。でもこっちも超強い。
ただフラッグ大佐推しのため、個人的にはクソ野郎だと思っている。ファンの方、申し訳ありません。
ウォラー長官:
アメリカさんのために情け容赦ない鬼と化す、決死部隊のドン。
しかし一方、作戦中にパターの練習をする不真面目さもあったり。
そのパターで後半、痛い目を見ることとなる。
ウィーゼル:
ぶっちゃけ脇役。
しかし変な登場人物だらけの中でも、屈指の意味分からんさを誇るシリアルキラー。
イタチっぽいビジュアルでイッちゃった目の怪人なのだが、言葉も喋れないので「どうしてイタチっぽいのか」すら不明。
登場シーンはめっちゃ少ないのに、インパクトが凄い。そしてラストでまさかの再登場。
スターロ:
スターフィッシュ計画のため、独裁国家で秘密裏に育てられた宇宙生物。
どこでも産気づいて、脇から出産する。
どう見てもデカラビア、またはヒトデマンです。ヘアッ!
【感想など】
ジェームズ・ガン監督、こういうド底辺がドカン!とやらかす映画がお好きなのでしょうか?
私は大好きです。大好物です。これからも撮ってください、監督。
そしてこの映画を撮るまでの、ガン監督とMARVEL――というかディズニーとのいざこざ(SNSで過去に上げてた、不謹慎ギャグで超怒られた)を存じ上げていましたので、「バイオンレンス描写はあっても、結構真面目なのかなぁ」とか思ってたら。
割と不謹慎ギャグ満載。全然懲りてないじゃん監督。
でもいいと思います。好きです。
バイオレンスで尖がったギャグに満ち満ちていますが、社会の落伍者である主人公たちが、戦う術を持たない人々のために、文字通りの巨悪に立ち向かう。王道でいいですよね。熱くて尊い。
巨悪という暴力を打ち倒すのが、それを上回る数の暴力、というオチも個人的に好き。
やはり暴力……暴力は全てを解決する(個人の感想です)。
作中で湿っぽくならない程度に、決死部隊メンバーの交流や過去の事情も挟んでくれているので、ろくでなし達にも感情移入しやすいです。その気遣いも素敵。
バイオレンスにある程度耐性があれば、ぜひぜひ観ていただきたい逸品。
そのバイオレンスも超かっちょいいので。
敵陣に囚われたハーレイ・クインが、急に花を背負って大暴れするシーンなんて、凶暴かつ美麗です。
私もDCコミック原作の映画を、全て追っかけているわけではないのですが、それでも十二分に楽しめました。
同監督の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』もそうですが、単品でも満喫できる心遣いが憎いです。