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『ミッドサマー』

【作品情報】

原題:Midsommar

製作:2019年/147分/アメリカ

監督:アリ・アスター

出演:フローレンス・ピュー/ジャック・レイナー/ウィリアム・ジャクソン・ハーパー

ジャンル:ホラー

(参考サイト:映画.com https://eiga.com/)



【ざっくりあらすじ】

パニック障害持ちのダニーは、自分に輪をかけてメンがヘラっている妹の無理心中により、両親と妹を一度に喪った。


おかげでより一層、情緒不安定になるダニー。

彼女の恋人 (付き合って四年目、割とダレる時期だね)であるクリスチャンも、ダニーを心配しつつもやや持て余し気味。


しかし八方美人の気があるクリスチャンは、友人 (ジョシュ、マーク、ペレ)との旅行に彼女を誘う。

「何考えてやがるんだ、コイツ」と若干クリスチャンに引きつつも、ダニーを迎え入れてくれるメンズ。


中でも留学生のペレは、「自分も事故で両親を亡くしたから」とダニーに同情的。


そして旅行先は、そんなペレの生まれ故郷であった。

スウェーデンにある小さなその集落――ホルガ村では、九十年に一度、大々的なお祭りが行われるという。

ペレは友人たちに、そのお祭りを是非見てもらいたいのだという。


白夜と豊かな自然に包まれたホルガ村を訪れると、穏やかな住人達に温かく出迎えられる。

早速アレなキノコを決めてトリップしたりしつつ、ホルガ村に馴染んでいく一行――と、思われたのだが。


九十年に一度の祝祭は、老人二人による投身自殺によって幕を開けたのだ。



【登場人物】

ダニー:

クリスチャンや友人の反応を見る限り、無理心中事件が起きる前から結構面倒くさそうな性格っぽい女の子。

そしてなんというか、すごく普通なビジュアル。

ちょっとポチャっとしており、表情も素朴で、その辺の大学生を引っ掴まえて来たかのような印象の女の子。

彼女の「どこにでもいそう」感が、常軌を逸した映画の世界観にリアリティを与えている、気がする。

ちなみに泣き声が結構野太い。


クリスチャン:

八方美人でAV男優並みの胆力を持った男。ある意味傑物。

彼をウザいなぁ、と感じたら、割とラストで爽快感を味わえます。

私がそうでした。

いや、あの誕生日ケーキとか、論文のテーマの決め方はないわ。

こいつ、人生舐めてらっしゃるだろ。


ペレ:

皆が持て余し気味のダニーに寄り添う、全ての元凶系男子。

しかし本人に、罪の意識はなさそう。

「村の役に立ててよかったなぁ」ぐらいに思ってそう。

そんな感じで、悪気ゼロっぽいのでなんか憎めない。


ジョシュ:

博士号の論文のため、ペレの故郷のお祭りに並々ならぬ興味を抱く青年。

ぶっちゃけそれが仇となった。合掌。


マーク:

下半身に従って生きてそうな男の子。

しかし残念ながら、女の子と一戦交えることはない。

むしろその下半身のやらかしによって、ひでぇ目に遭う。自業自得。



【感想など】

これはホラー……だったんだろうか。


観終わっての第一声は「妙な映画だなぁ」だった。

ホラーというか、イリーガルなおクスリを決めた監督とスタッフと俳優さんによる、満開お花畑なパーティーを見せられた気分。


いや、グロシーンもあるんですよ。

あらすじでも書いた、ご老体二人の投身自殺シーンがその極み。うげぇってなりました。


しかしグロければホラーなのか?

アクションやバイオレンス映画だって、グロシーンは割とある。


では何を以てしてホラーなんだろう、とホラーの定義について考えてしまったのです。


ざっくりした定義は、きっと、「恐怖表現があるかどうか」だろう。

ではこの映画は、恐怖表現をはらんでいるのだろうか。

個人的には、そこが微妙だった。


主人公のダニーは困惑しつつも、結構村に馴染んでいるし。

最終的に、超ハッピーなスマイルで終わるし。

なんだったら、この村に移住して、新たな家族でも設けそうな勢いだ。


そして村の人たちも、揃いも揃って悪気ゼロでいらっしゃる。

悪気のない人たちが、一般的な倫理観からズレまくっているものの、本人たちにとっては大事な風習を守り抜いている――そう考えると、ちょっと怖がるのをためらってしまうのだ。


そう。

ホラーというよりも、変な風習を持つ村で繰り広げられる、ハードコア版『ウルルン滞在記』な匂いを感じたのですよ。


(※『ウルルン滞在記』をご存知でない方へ:昔テレビで放送されていた、異国の地に芸能人がホームステイして、最終的に泣いて別れる様をお届けする番組です)


しかしこんな感想を持つということは、ホルガ村をリアルに感じているからであり。


実在する奇妙な村・奇妙な風習のように魅せる、監督の手腕に思い至ると、ついにゾッとした。

あっ……あってたまるか、こんな村!


でも、村人のエプロンドレスやブラウスが超々好みなので、売ってください。

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