【作品情報】
原題:The Comeback Trail
製作:2020年/104分/アメリカ
監督:ジョージ・ギャロ
出演:ロバート・デ・ニーロ/トミー・リー・ジョーンズ/モーガン・フリーマン
ジャンル:コメディ
(参考サイト:映画.com https://eiga.com/)
【ざっくりあらすじ】
B級映画ばかり撮っている、プロデューサーのマックス。彼の経営するミラクル映画社含め、割と人生崖っぷち。
ギャングのレジーから借金をして撮影した、『尼さんは殺し屋』が大コケし、「35万ドルをさっさと返せ。でないと首絞めて殺す」と脅され大ピンチなのだ。
そんな中、とある映画の撮影現場で遭遇した、出演者の転落事故から、彼は閃く。
「わざと出演者を事故に遭わせて殺したら、保険金せしめれるんじゃねえの?」と。
そして彼は老ガンマンを主人公にした(たぶん死にやすそうだからだろう)、映画の撮影に着手。主演に、かつて西部劇で名を馳せた、落ち目の俳優デュークを大抜擢。
デュークは自殺願望があるので、ちょうどいいじゃないか、しめしめと企むも誤算があった。
死なないのだ、デュークが。
燃え盛るセットの中に突っ込ませても、細工をした吊り橋を渡らせても、なんか生還しちゃうのだ。
むしろ貰い事故で、マックスが被害に遭う始末。
監督に起用したメーガンも優秀で、度重なるアクシデント(マックスが震源地である)にもめげず、むしろいい絵を撮りまくる。
あれ、いい映画になってんじゃん……これ、正攻法で大儲け狙った方がいいのでは?
などと思い始めた途端、なかなか死なないデュークに腹を立てたレジーが、撮影現場に乗り込んで来る。
そして共同プロデューサーである、甥のウォルターにも保険金詐欺の計画がバレてしまうマックス。
どうなるマックス、どうなる映画。
【登場人物】
マックス:
クソ映画生産者の異名が付いてそうな、B級映画のプロデューサー。
行動が基本的に場当たり的で、本人も結構幼稚な性格をしている。よく今まで生きて来れたな。
そんな彼だが、メーガンが撮った映像のよさを瞬時に理解したり、その映画を守ろうと終盤で頑張るので、腐っても映画人ということか。
デューク:
死にたがりの元売れっ子俳優。
今は老人ホームで飲んだくれては、ロシアンルーレットをする日々。止めろ。
日課のロシアンルーレットでも死なないことからも分かる通り、恐ろしく悪運が強い。
カメラが回っていない時は、基本的にヨボヨボしている。
レジー:
映画大好きのギャング。何かと言うと映画を引き合いに出してくる。
演じるモーガン・フリーマンさんの愛嬌に引っ張られたのか、度々マックスに言いくるめられては、出資金を出しちゃうお人好しな一面も。
ウォルター:
マックスの甥で、共同プロデューサーをしている様子。
おじがチャランポランなので、すごくしっかりしている。いわゆる苦労人ポジ。
ただ映画プロデューサーなのに、好きな俳優に会えてはしゃいだりするミーハーなところもあったり。
そして、そのミーハーが招いた不運が、物語の発端となっている。
メーガン:
女性監督。リアル志向の模様。
ヤベェ奴しか集まらなかった監督オーディションの中で、唯一まともな意見を言っていた、まともな人。
ただ映画が絡むと、「デューク死んだのでは?」というシーンでも冷酷にカメラを回し続ける。仕事の鬼だ。
バタースコッチ:
デュークの乗る馬。それ以上でもそれ以下でもない。
しかし事あるごとに、マックスを翻弄する。
【感想など】
あまり世間の評価は高くないようですね……私は好きなので、残念。
ただ評価を下げているであろう、「ストーリーが分かりやす過ぎ」という点には同意。
大団円のラストへ向けて、リズミカルに進んでいく映画なんですよね。
だから登場人物も、あまり葛藤しない。思い切りがよい。
マックスの保険金詐欺計画を知ったウォルターも、怒るけどそこから仲がこじれたりとかもない。皆真っ直ぐなのだ。
個人的には、そこがよかった。
登場人物がウダウダ悩む作品があまり好きではないので、みんなが前を見てイケイケドンドンな分かりやすいノリがツボでした。
エモーショナルな葛藤や、繊細な人間ドラマを期待するとめっちゃ肩透かしです。
名優3人も使っておいてなんだよそれ、と思われるかもしれないけど、この贅沢使いがいいのですよ!
デ・ニーロと! ジョーンズさんと! モーガンを使っておきながら!
ただ爺さんたちが七転八倒するだけの、あっけらかんとしたコメディ!
最高ですやん!
そして前述の通り、ラストは超大団円。
観ていて、「夢オチとかじゃないよね……?」と一瞬不安になるぐらい綺麗なハッピーエンド。
途中の犯罪計画なんて、雲散霧消の爽やかさ。
でもね、映画なんですもの。
そんなミラクルが起こったっていいじゃないですか。