【作品情報】
原題:An Inspector Calls
製作:2015年/87分/イギリス
監督:アシュリング・ウォルシュ
出演:ソフィー・ランドル/ルーシー・チャペル/ミランダ・リチャードソン
ジャンル:ミステリー
(参考サイト:Filmarks映画 https://filmarks.com/)
【ざっくりあらすじ】
1912年のイングランド。
バーリング家の令嬢シーラと、クロフト家の子息ジェラルドが婚約することになり、バーリング家で晩餐会が開かれていた。
晩餐会の参加者はシーラとジェラルドの二人に加え、バーリング家の家長アーサー、妻のシビル、シーラの弟エリック。
晩餐会は盛り上がり、シーラとジェラルドもいちゃこらしている最中、一人の男性が屋敷を訪れた。
彼の名前はグール。新任の警部だという。
グール警部はバーリング家の面々とジェラルドに、一人の女性が自殺したと告げる。
女性の名前を聞き、写真を見、一堂はギョッとなる。
その女性と、その場にいる全員が何らかのかかわりを持っていたのだ。
そして女性の死を巡って、グール警部による糾弾が始まる。
【登場人物】
シーラ:
容姿コンプレックスを母親に植え付けられている、バーリング家のご令嬢。
髪飾りの位置がちょっと面白い。
ジェラルド:
爵位持ちで容姿端麗、品行方正なクロフト家のご子息。
序盤はシーラとラブラブ……だが。
アーサー:
爵位に並々ならぬ執念を燃やす、バーリング家の家長。
息子から煙たがられている模様。
たぶん、工場の従業員からも嫌われている。
シビル:
毒舌というか、言いたいことをズビズバ言いまくるアーサーの妻。
娘への対応は毒親のそれ。
エリック:
お酒大好きでちょっと頼りない、シーラの弟。
お酒だけでなく、女遊びも大好き。顔がちょっと、霜降り明星のせいやさんに似ている。
グール:
大盛り上がりの晩餐会に水を差しに来た、恐るべき警部。
一人の女性の死を巡り、一堂のメンタルを木っ端みじんに砕いて行く。
【感想など】
ある時はエヴァ、ある時はデイジー、ある時はアリス、ある時はサラと名乗った女性の死をめぐる、業が深い一家と婚約者の、地獄のような一夜。
この晩餐会にだけは居合わせたくないな、と思いました!
胃痛確実ゥーッ!!
一人一人がやったことは、直接死に関わったわけではないけれど、それにしても……あんまりである。
特権階級と貧困層の間にある隔たりや、当時の女性の社会的地位の低さも絡まって、本当に救われない。
ただ、戦前のイギリスの空気感を味わえるので、救いのなさに愕然としつつも、そこはめちゃめちゃ楽しみました。はい。
またストーリーは徹頭徹尾救いがないのですが、その中に謎をはらんでいるので面白い。一緒に観た方と、あれこれ語り合いたくなる面白さ。
まるで上質の舞台を鑑賞したような、品のある後味を残してくれます。
そして詳細は書けないけれど、謎多き人物グール。
またグール警部の訴えによって、良心を取り戻したシーラとエリックの姿にちょっと安堵しつつ、終幕後に訪れるであろう一家 (と婚約者)への制裁を思い、少しだけ報われた気持ちになる。
特権階級であるならなおさら、慈悲の心は持っていないとね。