【作品情報】
原題:Green Book
製作:2018年/130分/アメリカ
監督:ピーター・ファレリー
出演:ビゴ・モーテンセン/マハーシャラ・アリ/リンダ・カーデリニ
ジャンル:ドラマ
(参考サイト:映画.com https://eiga.com/)
【ざっくりあらすじ】
人種差別が色濃く残る、1960年代のアメリカ。
そんなアメリカにて、喧嘩の強さと口八丁で生きてきた、イタリア系アメリカ人のトニー。
彼は用心棒を務めるクラブが改修中の間、黒人のピアニストであるドクター・シャーリーに雇われることになった。
その仕事内容は、シャーリーが行うアメリカ南部ツアーでの、彼の運転手。
黒人に差別感情を持つトニーは当初、超渋々。
おまけにツアーのため、長期間家を空けることになる。しかも帰宅は、クリスマスに間に合わなさそう。家族大好きイタリアンなトニーは超絶嫌がるも、金には代えられないと仕事を引き受けることに。
しかしシャーリーの演奏するピアノを聴いたことで、彼を一人の人間として尊敬し始める。
黒人差別が根強く残る南部ツアーは、シャーリーにとって過酷なものだった。
バーに入っただけで暴力を受けたり、警察官から不当逮捕を受けたり。
はたまた、彼を招いた富裕層からも、偏見に根付いた悪意ない仕打ちを受けることもあった。
そんな旅の中で、トニーとシャーリーは一緒にケンタッキーフライドチキンをケンタッキー州で食べたり、酒を飲んだりしながら、徐々に友情を深めていく。
そしてクリスマスが近づく中、二人は最後の演奏会場である高級レストランで、ある問題に直面する。
そこは黒人厳禁のレストランだった。
そこで演奏予定のシャーリーすら、レストランで食事は出来ないと言われたのだ。
レストラン支配人のその言葉に、カッとなるトニー。
果たしてシャーリーは、無事レストランで演奏が出来るのだろうか。
そしてトニーは、クリスマスまでに家族の元へ帰れるのだろうか。
【登場人物】
トニー:
かつて指輪の物語で激渋国王だった、レスラー体型のイタリアン・アメリカン。
いつも何か食べてるし、酒も強そう。
「DEAR」を「DEER」と書いたり、学はないけれど口達者な模様。
ついでにめちゃめちゃ腕っぷしも強い。
シャーリーに嫌がらせをしたコンサートホールの従業員を、ビンタ一発で服従させた。
シャーリー:
博士号を持っているので、通称「ドク」。
ピアノの腕は素晴らしく、おまけにロマンチックな手紙を書くことにも定評がある。
この南部ツアーに出るまで、ケンタッキーフライドチキンを食べたことすらなかった。
ケンタッキー州でケンタッキーデビューを果たしたという、非常に稀有な人物。
【感想など】
あらすじがめちゃくちゃ書きづらい作品。
大きな事件が起こるわけではない。
起きるトラブルといえば、ささやかな偏見や、少々大きな差別に巻き込まれる程度。
それに並行して、二人の仲がゆったりと縮まっていく。まとめるとこんな映画。
だけど、それでつまらないのかと訊かれたらそうじゃない。
面白いんです。
何気ない二人のやりとり、黒人への偏見、それらの出来事が飽きの来ないテンポで配置されている。
なので退屈する暇もなく、二人の旅を追体験できる。
そして最後は、クリスマスの温かな光と合わさって、とっても心がほっこり。
いい話じゃないか、いい映画じゃないか!と、悲しいシーンでもないのについ涙腺が緩む。
アカデミー賞受賞作品だけど、その穏やかな空気で、肩ひじ張らずに観られる素敵な映画です。