【作品情報】
原題:Stonehearst Asylum
製作:2014年/109分/アメリカ
監督:ブラッド・アンダーソン
出演:ケイト・ベッキンセイル/ジム・スタージェス/マイケル・ケイン
ジャンル:ホラー……ホラー?
(参考サイト:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/)
【ざっくりあらすじ】
1899年。オクスフォード大学での精神医学の講義にて、学生たちのさらし者にされるヒステリー患者のイライザ。
そんな彼女を見つめる、とある人物。
そしてその半年後のクリスマス。
エドワード・ニューゲート医師は、研修のためストーンハースト精神病院を訪れる。
そこは人道主義かつ、先進的な医療を志すラム医院長が運営する病院であり、件のイライザを始め、身分の高い患者たちがのびのびと暮らしていた。
病院での自由奔放な患者たちの姿に、感銘を受けるニューゲート。
そして病院で催されるクリスマスパーティーに招かれ、イライザの美しさにもメロメロに。
しかし警備員のフィンに毒を盛られかけたところで、雰囲気一変。
イライザからは、「理由は言えないが、とにかく病院から逃げろ」とも警告される。
それでも病院に居残った彼は、地下のボイラー室から聞こえる妙な物音に気付く。
地下へ下った彼は、そこに牢屋と、そして囚われたボロボロの人々を発見。地上の呑気具合とは大違い。
しかも牢屋の人々は、非常に理性的。どうも患者に見えない。
そしてニューゲートは囚われの人々から、病院にまつわる驚くべき事実を聞かされることになる。
なんとラムは患者で、囚われの人々が病院の医師や職員だったのだ。
酒に毒を盛って、支配者の地位を奪ったラム。
おまけに彼は軍医として参加した戦争において、患者たちを皆殺しにしていた。
大量殺人鬼であるラムに、ニューゲートも殺されてしまうのか。
イライザとの恋路は上手くいくのか。彼女は人妻だが、それでいいのか。
【登場人物】
エドワード・ニューゲート:
主人公。黒目がちの童顔医師。
当時の精神科医としては非常にお人好しで、患者思い。
しかし研修そっちのけでイライザのケツを追い回すのは、どうかと思うんだな。
イライザ・グレーブス:
ヒロインで人妻で、旦那の片目をえぐった猛者。
演者がケイト・ベッキンセイルなので、前世は『ヴァン・ヘルシング』の武闘派王女なのかもしれない。
物語は、彼女がオックスフォード大学でさらし者にされていた場面から始まる。ここ大事だよ。
サイラス・ラム:
ちょっとエキセントリックだが患者思いのいい医師かと思いきや、診られる側だった人。
しかし本当の医師の治療方法がかなりえげつないので、憎みきれない悪役でもある。
彼が狂気に陥ったきっかけは、なかなか切ない。
【感想など】
まず前半で病院の実態を知って「えー!」となり、ラストのどんでん返しでも「マママッ、マジかよ!」となる二段構成。
顔のない患者……なるほどね!
そして妙に爽やか、超美しいハッピー・エンド!
キツネにつままれた感もあるが、オラ嫌いじゃないぜ!
こんな終わり方があったって、いいじゃない。映画は自由でいいんだよオラッ。
あと個人的には、舞台が19世紀末ということで、病院の内装や登場人物の衣装を見ているだけで超幸せでした。
ヴィクトリア朝大好きマンです。
美しいよ、ドレス姿のケイト・ベッキンセイル……クラシカルがよく似合う!
一方で、本当の医師たちが施した治療と、偽の医師が施した治療。
どちらが患者たちのためになったんだろう、と考えさせられる要素もあったりする。
自分もパニック障害持ちなので、「この時代に生きてたら、水責め氷責めに遭ってたのかなぁ」と考えるとゾッとした。
けれど、騒動を乗り越えたストーンハースト精神病院の変わりようを見ていると、爽やかラストと相まって幸せな気分になった。
治らない患者はいないのだよ、うん。
ただ、一つだけ疑問があるとすれば。
これ、ホラーか? 怖くはないぞ。サクサク進んでいくので、面白かったけど。