「魔王様はヨーグルトが嫌い」
登場人物紹介
シャオ
魔界の城で暮らす最強ハイスペック魔王だが、中身は幼女。ましろにわがままを言っては窘められる毎日。
ましろ
シャオの番として城に住む
0円コンテンツもっと増やしたいなあ。
短いですが楽しんで頂ければ幸いです。
「これ要らない、嫌いだから」
ある日の朝食の時だった。シャオがずい、とガラスの器を俺の方に寄せて来る。今日はシャオの嫌いな野菜もないのに。(オムレツにはひっそり細かく刻まれたニンジンが紛れ込んでいるけどそれは敢えて言わない。せっかく美味しいって食べているからね)シャオが差し出してきたのはヨーグルトだった。ああ、プレーンだったしね。
「シャオってヨーグルト、嫌いなんだ?」
「だって酸っぱいだろ?」
確かにそうかもしれないけど、今日のヨーグルトには角切りのバナナが混じってるし、そこまで気にならないような。でもシャオは酸っぱいものがとにかく苦手だ。鼻がいいからかなあ。その割にオムレツのニンジンには全然気がついていないけど。
「試しにジャム入れてみる?」
「ジャム?」
シャオが首を傾げる。俺はシャオのヨーグルトに執事のパルカスさんお手製のいちごジャムをたっぷり投入してみた。色が一気にピンクになったな。
「これ大丈夫なのか?」
シャオがヨーグルトの色に青ざめている。確かにすごい色だもんな。
「まあ食べてごらんよ」
シャオは渋々と言った様子でヨーグルトを食べ始める。
「甘い!全然酸っぱくねえ。いちごってバナナとも合うんだな」
「ジャムに入れる砂糖量半端ないもの。イチゴとバナナのクレープも美味しいじゃない」
「確かにな。俺は一生砂糖と共存するぞ。生きている限り甘いものを摂取する」
何?その決意。とにかくヨーグルトがこれで食べられるようになったかな?シャオの嫌いなものが一つでも減ればいい。
「これ、他のジャムも美味いのか?」
「美味しいよ」
「こりゃ他のジャムも研究だな」
シャオは凝り性だもんな。こんなところも俺の好きな部分なんだけど。
「ましろ、もっとヨーグルト食べる」
「シャオ―、他のおかずが残ってるよー。ヨーグルトはまた明日ね。今日のおやつは白蓮が焼いたケーキだよ。食べるでしょ?」
「食べるに決まってるだろ。楽しみだな」
シャオの中身、本当幼女だな。ケーキで喜ぶの可愛すぎる。魔王なんだよ、このヒト。俺たちは二人きりの朝食を楽しんだのだった。
おわり