新しい下着に取り換え、スッキリした顔でベッドに戻ってきた彼のアソコはすっかりペタンコに戻っていた。
彼がそうした理由は分からなくもない。この場で精液をぶちまけて、わたしの服や顔、髪などを汚すのは申し訳ないと思ったのだろう。本当はわたしのこともイかせてからにしてほしかったけれど……。
「すみません、ひとりにしてしまって。……絢乃さん、もうイったんですか?」
「うん、久しぶりに自分で。でも、こういうのもいいなぁって思った。今度する時はわたしを置いてけぼりにしないでね。貴方もここでイって大丈夫なように、何か対策しておかないと」
「……はい」
――こうして、わたしはこの日、初めての〝挿入しない、抱き合って粘膜を重ねるだけのエッチ〟を経験した。
この行為はこの後、クリスマス前までしばらくの間続くこととなった。二度目以降は彼も学習したらしく、その場で精を放出しても大丈夫なように、枕元に洗面器を置くようになった。出そうになったらそこに吐き出せばいいということだ。
でもやっぱり、わたしは彼とちゃんと交わらない限り満足できなかった。
頭では「怖い」と思っていても、体は正直で。挿入しないエッチをしていても、わたしの最奥部は本能的に彼のアレを求めてうねり続け、ジュブジュブと蜜を溢れさせ続けていた。そのたびに彼がソコに指を挿入してくれて、わたしはとりあえず満たされていた。
* * * *
――そしてとうとう、ずっと待ち焦がれていたクリスマスイブの夜。
仕事を終えた帰り、彼のクルマでお台場へ行き、ライトアップされたツリーを見た。
一年前のイブは父の余命宣告のこともあり、毎年里歩と見に来ていたこのツリーを諦めた。その代わりに我が家でクリスマスパーティーを開いて、貢とも楽しいひと時を過ごしたのだけれど。
エンゲージリングももらい、オシャレなレストランでディナーも済ませ――わたしのカードで支払った――、さてこれからどうしようかとなった時。わたしのスマホに母からメッセージが来た。
〈絢乃、桐島くんと一緒? デート、楽しんでる?
明日は会社もお休みだし、あなたも明日から冬休みでしょ。今日は家に帰って来なくていいわよ♡
桐島くんとどこかに泊まってらっしゃい♡〉
「…………えぇっ!?」
「どうしたんですか、絢乃さん?」
横からスマホの画面を覗き込んだ貢が、ゴクリと喉を鳴らした。
「これは……、外泊へのGOサインということですかね」
「……うん、そうみたいだけど。どうしようか? 今からホテルの部屋なんて取れそうにないし」
クリスマスイブはホテル側の書き入れ時で、すでにどこも予約でいっぱいだろう。ラブホテルも多分、そんな感じだったと思う。
「じゃあ……、僕の部屋に泊まります?」
「…………うん。……えっ? ってことは」
「はい。今夜、しましょう。避妊具はちゃんと用意してありますんで」
彼はそう言って、ビジネスバッグに忍ばせてあった小さな箱をわたしにチラッと見せた。ということは、彼はどこに泊まっても大丈夫だったということか。
「泊まっていくのは別に構わない……っていうかむしろ嬉しいんだけど、着替え持ってきてないから……。買ってからじゃないと。まだ開いてるお店あるかなぁ?」
お泊まりするにあたって、女子には色々と準備が必要なのだ。上下の替えの下着に洗面道具、あとパジャマ。男性のように着の身着のままでお泊りするわけにはいかないのである。
* * * *
――というわけで、諸々買い物を済ませてから、わたしは彼のアパートに泊まることになった。
「じゃあ、まずはお風呂に入って下さい。すみません、こんなトイレ一体型のユニットバスで。なんか気まずいですよね」
「ああー……。確かに」
一人住まいだから、それまで支障などなかったのだろう。でも、こと誰かを泊めるとなると話は別だ。一人が入浴中にもう一人が催してしまったら気まずいことこのうえない。それが異性ならなおのこと。一方は全裸でもう一方は下半身が剥き出しになるのだから。
「……でも、もしそうなったらユニットバスで始めちゃえばいいんだし。とにかくお風呂借りるね」
多少……いやかなりムードには欠けるけど、わたしは彼とエッチできればどこでもいいと思っていた。初めてだからどうのこうのというこだわりとか憧れのシチュエーションも特になかったし。
――ユニットバスは思ったほど狭くなく、シャワーで体を清めた後、十分に足を伸ばして浸かれるバスタブで全身を温めた。
新しく買ったショーツとブラ、キャミソールを身に着け、いつだったか里歩が言っていた「男の人はモコモコに弱い」というアドバイスを参考にして選んだパジャマ代わりのモコモコのワンピースを着てお風呂を出ると、すでに部屋着姿になっていた彼が交代にシャワーを浴びに行った。
彼を待っている間、手持ち無沙汰だったわたしはスマホで里歩にメッセージを送った。この間に一人でしていてもよかったけれど、いざ本番になってグショグショに濡れていたら彼に引かれるかもしれないのでやめておいた。
〈今日、貢の部屋にお泊りすることになった♡
ついにこれから、彼と初めてのエッチだよ!!〉
興奮しすぎてテンションがおかしなことになっていた。メッセージにはすぐ既読がついたけれど、彼女は呆れていたのか返事をくれなかった。
「――お待たせしました、絢乃さん」
湯上りの彼は、普段の五割増しで独特の色香を放っていて、この後のことへの期待がぐんと高まった。
彼はわたしが待っていたベッドの上に腰を下ろすと、わたしの顔を正面からまっすぐ見てこう言った。
「――絢乃さん、僕があなたと交わりたい気持ちは本当です。でも、あなたのことをいつも大事に想っていることはお分かりですよね?」
「うん」
「ですから、あなたが『怖い』と思うようなことは絶対にしません。もしも怖いとか、やめてほしいと言われたらそこでやめます。……それでもいいですか?」
「うん、それでいいよ。でも……正直言ってちょっと怖いけど、わたしは貴方と最後までしたい。だから、よろしく」
「分かりました」
こうして確認事項は終わり、行為の始まりの合図としてわたしたちは唇を重ねた。そのキスはどんどん深く甘くなり、お互いの舌を絡め合った。
「……ん……っ、んん……っ♡」
ベッドの上に横たえられ、甘い声を漏らしながら、いつの間にかわたしの秘部がトロリと蜜を湛え始めていることに気づき、わたしはモゾモゾと膝をこすり合わせた。
「……早いですね。もう濡らしちゃってるんですか?」
わたしを見下ろして訊ねた彼に、わたしはコクンと頷いた。
彼はわたしのモコモコワンピースを裾から胸元までたくし上げ、キャミソールもまくり上げて、ブラの下から手を滑り込ませた。指先で白い肌をこねながら、ワンピース上部のスナップボタンを外し、デコルテを唇で吸い始めた。
「…………あ……っ♡ わたし……、自分でしてた時、胸で感じたことあまりないの……」
「胸は感度が低いのかもしれませんね。でも、初めてちゃんと見ましたけど、キレイな胸ですね。形もいいし、大きさも。巨乳というほどじゃないですけど、ほどよくグラマーで。僕はこれくらいの方が好きだな」
「……あっ、……あぁっ♡ え……?」
「初めて会った時から、高校生にしてはグラマーな方だなって思ってたんです。制服姿の時にも胸の大きさは目立ってましたね。おかげで僕、仕事になかなか集中できなくて大変だったんですよ。何だか誘惑されているみたいで」
「そ……そんなわけな……、あん……っ!」
いつの間にかブラは完全にずらされ、彼の舌が胸の先端をなめていることに気づき、わたしの腰が跳ねた。
「胸の感度、そんなに悪くないんじゃないですか? それとも僕に弄られてるから感じてるんですかね?」
「……はぁっ、ぁあ……っ! そ……そうかも……っ」
彼が両手で左右の胸を包み込み、親指の腹の部分で胸の先端の尖りをこねる。すでに下の泉は蜜で溢れていて、触れられるのを今か今かと待ち焦がれていた。
「はぁっ、……ねえ。そろそろこっちにもお願い……っ」
わたしは彼の右手をつかみ、濡れそぼった自分の秘部へと誘導した。
「……絢乃さん、いつからこんな大胆になったんですか」
わたしが自ら両脚を開き、彼の手をショーツのクロッチ部分へと引き寄せると、彼はそんなことを言いながらも布の上からソコに指を這わせた。
ソコはもう中の蜜でぐっしょりと濡れていて、布越しにも赤く充血してぷっくりと膨らんだ肉芽が透けていたらしい。
「……あっ、……ぁあ……っ♡ あん……っ♡」
布の上からグリグリと押しつぶされると、直接弄られているわけでもないのに感度が高まっていて、声が自然と高まっていった。
新たな快感を得られたことで、またトロリと蜜を溢れさせる。彼は濡れたクロッチ部分をなぞるように、割れ目を奥の方へと弄っていく。
「下着、もうぐしょぐしょですね。脱がせてもいいですか?」
わたしが頷くと、彼はわたしのショーツだけでなくワンピースやキャミソール、ブラまでわたしの体から全部剥ぎ取り、丸裸にしてしまった。
「……んっ、……あぁっ♡ あぁんっ♡ ぁあん♡」
丸見えになったわたしの秘部の奥深いところへ、彼が長い中指を挿入してグチュグチュと音を立てながら動かし始めた。一糸まとわぬ姿にはヒンヤリとした外気が当たって寒いくらいだったけれど、体の内側からは彼の指の動きによって発した熱がこもっていた。
「……絢乃さんは、ここを僕になめられるのがお好きですよね」
下の方から彼のくぐもった声が聞こえて、そっちを見下ろすと彼の顔はわたしの秘部の前にあった。彼はそのまま露わになっていた割れ目の中へ舌を這わせる。ペチャペチャと、子犬がミルクでもなめているかのような音が聞こえてきた。
「……んぁっ、ぁあっ♡ ん……好きっ♡ あぁ……っ♡」
彼は舌先を尖らせ、真っ赤に熟した実の部分を何度もレロレロとなぶる。そのたびにわたしの腰が跳ね、蜜壺の奥がズキズキと疼いた。
彼がそのまま、赤い実をパクッと
「……はぁ……っ、あぁぁー…………っ!」
わたしの目の前が白くスパークし、下半身が軽く痙攣した。それでも、奥の方は挿入を待ち焦がれるようにうねっていて……。
「……中、挿れても痛くないようにちゃんとほぐしておきましょうね」
彼は再び、最奥部へ指を挿入した。でも、それまでは二本が限度だったのにこの時は三本。大きく岐立した彼の分身なら、このくらいの太さになるだろう。
「ちょっと痛いかもしれませんけど、ガマンできますか?」
わたしがコクコクと頷くと、彼の三本の指が動かされた。
「ん……っ! い……っ! うぅ……っ! あぅ……っ!」
想像以上の痛みに、わたしは思わず彼の胸にしがみついた。でも、わたしの蜜口は排出を拒むように彼の三本指をただただ締め付けている。
「……んぁっ! あぁっ! ぁあ……っ、あ……っ♡」
だんだんとその痛みにも慣れてきて、悲痛だったわたしの声も甘く艶っぽくなっていった。