天が崩れて落ちてきた。
海は割れて、地は砕けた。
――ああなるほど。これが終わり、終焉ってやつなのか。
空に化け物も現れた。
恐怖の大王は寝坊してたらしい。遅れたお詫びなのか、ドンドンこの世は壊れていく。
俺の目の前にも化け物が現れた。
白く、冷たいドラゴンだ。
――どうやらここで俺も死ぬらしい。
覚悟を
決めた
瞬間
目の前に
せ ま る
死――
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変な夢を見た。全く、ノストラダムスの大予言は俺が生まれてすぐくらいに嘘だったって証明されただろうに。
空が落ちてくるなんてまさに杞憂。嫌な目覚めだったけど、欠伸をしながら洗面所に向かう。
今日は化学があるけど……課題がいまいち分からなかったんだよね。後で誰かにノートを見せてもらおう。
そんなことを思いながら顔を洗う。タオルで水滴を拭って顔をあげると、母親譲りの茶色い目がこちらをのぞき込んでいた。中の上くらいの顔立ちが、死んだ魚みたいな生気の無い目のせいでワンランク落ちている。うん、いつも通り。
そして父親譲りの黒いテンパのせいで、今日も寝癖が酷い。見た目に頓着する方じゃないがこれは流石に直した方がいいだろう。
「
リビングから母親の声が。「すぐ行く」とだけ返事をして寝癖直しに戻る。
やっとこさ普通くらいになったので、さっと学ランに着替えた後急いでリビングに向かうと父さんが家をでるところだった。
「行ってきます。ちゅっ」
「行ってらっしゃい。ちゅっ」
……なんで朝っぱらから両親のキスシーンを見せられなくちゃいけないのか。
二人が結婚して五年目に俺が生まれたと言ってたっけ。俺が今高校二年生で十七歳だから……差し引き、結婚して二十二年目か。仲がいいのはいいんだけど、毎朝キスするのはどうかと思う。
「ほら京助、さっさと食べないと遅れるよ」
「ん」
言葉少なに返事すると、「眠そうね」と母さんが苦笑した。
「また遅くまで小説書いてたんでしょ。趣味なんだからあんまり根を詰めすぎないようにね」
「……ん」
俺の趣味は小説――それもいわゆるラノベを書くことだ。中学生くらいから延々小説を書いている。
元々読書が好きで、ラノベやライト文芸、ミステリーにホラーと何でも読む。それが高じて自分の物語を書きたくなったんだけど……書いてみると意外に面白かったので、かれこれ四年ほど続いている。
昨日の夜は……まあ、ちょっと筆が乗って止め時が分からなくなっただけで、普段は生活に影響が出るほどには書いていない。
「コーヒー入れてあげる。ちょっと待ってて」
そう言って母さんが台所の方へ行ったので、俺は目の前の朝ご飯を片づけることにする。
トーストにバターを塗ってかじり、今日のお弁当の中身の余り物を平らげる。肉だけはお弁当にしか入っていないから分からないけど、今日はカボチャとポテトサラダが入っていることが分かった。
「おっと」
食卓に置いてあった腕時計を落としてしまい、テーブルの下に頭をつっこむ。
拾い上げて顔を上げようとしたところで――ガンッ! と頭をぶつけてしまった。
「……痛い」
派手な音がしたからか、台所にいた母が二杯のコーヒーを持ってこちらにやってくる。俺の前に座り、アイスコーヒーを置いてくれる。
「全く……うちはお父さんもあんまり大きくないのに、なんで京助はそんなに大きくなったのかしらね」
「さぁ?」
痛む頭をさすりながら、コーヒーを一口。母さんはブラックだけど、俺の分は砂糖とミルクをしっかり入れてくれているようだ。甘くて美味しい。
「京助は今、身長どれくらいだっけ」
「四月に計った時は百八十あったよ」
運動をしていた時には頼もしかった身長だけど、帰宅部の今は何の役にも立たない。
「まあ背が高いのはいいことじゃない」
「どうだろう。……ごちそうさま」
食器を流しに持って行き、部屋に戻って鞄をとる。
「じゃあ行ってきます」
「気をつけてね~」
いつも通り母さんにそう言って玄関に向かったところで……ふと、今朝見た夢を思い出した。
胸がざわざわする。こういう時の予感は当たるものだ。
「あ、そうだ。晩御飯、何が食べたい?」
俺は少しだけ考えてから「んー、思いつかないからまたメールするね」と答えて、今度こそドアノブを回す。
さて……大して面白味のない学校に行きますか。
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一限目終了のチャイムが鳴ったのでラノベを閉じて立ち上がる。途中から完全に自習になっていたので読書していたわけだけど……ちょうどキリのいいところまで読めてよかった。
伸びをして、ロッカーに次の授業――化学――の教科書を取りに行き、さてと廊下に出る。
そこで教室に入ってきたとある女性とぶつかった。
「あっ、ごめんね清田君」
「ん、ああ」
一つ頷いて道を譲る。ぺこりと会釈するその子を何となく目で追うと――当然ではあるけど――こちらを一切振り返らず友人の輪に入っていった。
「――っと」
流石に女性を見つめるのは失礼かと思い、頭をかきながら目線を前に戻した。
「どうした? そんなキョロキョロして」
「……別に何も?」
後ろから少し低めの女子の声が聞こえてくる。肩を竦めて振り向くと少しあきれ顔の友人が立っていた。
彼女の名前は
平均より身長が高くて百七十センチはある。涼やかで切れ長な瞳は一見キツそうな印象を受けるが、本人は割と気さくで朗らかだ。若干胸部は控えめだけど、それがいいというファンも多いんだとか。
鮮やかな黒髪のポニーテールを揺らし、凜と背筋を伸ばして歩く姿はさながら侍のようだ。実際に彼女の家は剣術道場で、中学までは剣道部に入っていたと聞いたことがある。
正直な話、俺と接点があるような人じゃないんだけど……佐野は隠れオタクで、とある切っ掛けで俺が彼女の趣味を知ってから仲良くなった。
俺と漫画やラノベの趣味が近くて、読む本読む本被ること被ること。まるで狙ってるんじゃないかっていうくらい同じ本を読んでいる。俺の趣味を知ってからは小説の批評もしてくれている。
「また空美を見ていたのか?」
俺がさっき目で追っていた女子の名前を出して、ジロリと睨みつけてくる。確かに女の子をジッと見ている男にあまり良い印象を受けないだろう。
「見てたってわけじゃないよ。何となく目で追っちゃっただけで」
「それを見ていたっていうんだ。まったく、好きなら告白したらどうだ? それで玉砕してこい」
……先程の発言を一部撤回しよう。彼女の性格は見た目通り多少キツイ時もある。
玉砕前提で話されるのもどうかと思うが、接点も何も無い女性に告白したところでどうなるかなんて目に見えている。佐野の言う通りになるだろう。
「言われるほど好きなように見える?」
「ああ」
即答か。
とはいえ……そもそも空美のことが好きなわけじゃない。本当に何となく目で追ってしまうだけだ。
「お前がそんなに煮え切らない態度だから私も……その……大体、なんで喋ったことが無いやつに……」
なんだかゴニョゴニョ言われているけど、これ以上この話を続けて俺のメリットになることは無い。取り敢えず話を逸らす。
「そんなことよりさ」
「そんなことって何だ大事なことだろう!?」
「何が!?」
なぜか顔を真っ赤にした佐野から詰め寄られた。意味が分からない。
佐野もハッとした顔になって「んっんー」と咳払いしてから「それはそうと!」とちょっと裏返った声を出した。
「佐野、声が裏返ってるよ」
「う、うるさい。取り敢えず化学室に向かうぞ」
「ん」
二人で歩き出す。休み時間の校内を歩いていると周囲が騒がしいせいで逆に二人だけになっているような錯覚を覚える。この感覚は何なんだろう。
化学室の半分くらいまで来たところで、ふと佐野が俺の顔を覗き込んできた。
「……次の授業の課題はやったか?」
「へ? ああ、やったよ」
理解しているとは言っていない。
佐野は俺の考えを見透かしているのか、これ見よがしに大きなため息をついてからノートを取り出した。
「ほら、これが見たいんだろう?」
ヒラヒラと団扇で仰ぐようにノートを揺らす。俺は数瞬黙って……さっきまで読んでいたラノベを差し出した。
「俺、これまだ読んで無いんだけど?」
「ふっ、私も続きを楽しみにしていたんだ。それに、お前はたまにネタバレをするだろう」
俺からラノベを受け取り、ジトっとした目を向けてくる佐野。彼女はネタバレ悪・即・斬派で俺はネタバレ気にしない派だからちょこちょこ喧嘩になる。
この前一緒に映画を見に行った時は、見る前にパンフレットを買った俺に対して「神をも恐れぬ所業を……!」と言ってパンフレットを没収してきたほどだ。って、そういえばその時のパンフレット返してもらったっけ。
「最近は気を付けてるじゃん」
そう反論すると、ふんっと鼻を鳴らしてからノートを俺に渡してきた。
「いいや、まだたまにポロっと出る時があるからな。ちなみにどの辺まで読んだ?」
「ありがと。んー、確か三章くらい」
受け取ったノートをパラパラとめくる。相変わらず綺麗な字だ。
ちょうど化学室の前辺りで、「やや、ご両人。相変わらず仲がいいで御座るな!」と小柄な男が話しかけてきた。
俺と佐野でスルーすると……
「いやいや、このタイミングでスルーは無理で御座るよ!?」
と、思いっきり肩を掴んで揺さぶられた。
「どうしたのさ、志村。相変わらず前髪うざいね」
「いきなり辛辣過ぎるんで御座るよなぁ」
眼鏡をくいっと上げた志村は「やれやれ」みたいに首を振った。本人はハードボイルドに決めているつもりなんだろうけど、頬がこけていて若干幽鬼を思わせる見た目のせいでどちらかというとホラーだ。
「別に辛辣じゃないでしょ」
「どう思うで御座る? 佐野氏」
「普通だな」
「マジで御座るか」
この男の名前は
ミリオタをこじらせて、何故か御座る口調を使うというなんとも珍妙な奴だ(本人曰くキャラ作りらしい)。
趣味は機械いじりで、改造エアガンを家に何丁も持っていたり、自作のパソコンをいくつか持っているという本格派。彼が持っている改造エアガンは鉄板も撃ち抜けるとか。おまわりさんこいつです。
一年生の頃からの友達で、銃とか戦車の話で盛り上がってからはかなり仲良くしている。
「しかし本当にお二人は仲いいで御座るな。妬けるでござるよ」
「そんなことないと思うけど?」
友達同士として普通の距離感だろうと思うが。佐野だって嫌がってる風じゃないし。
「ああ、普通だ普通。私と清田の間には何もない。な! 清田!」
「うん」
「はぅあ……!」
何故か若干涙目になる佐野。
そんな俺たちのやりとりを聞いていた志村はニヤニヤとした笑みのまま、佐野に話しかける。
「先ほどまでのやり取りも聞いていたで御座るが……佐野氏はブーメランという言葉をご存じで御座るか?」
「喧嘩なら買うぞ!?」
「二人とも何してるのさ……」
俺が呆れた声を出すけど、ヒートアップした佐野の耳には入っていないようでブンブブンと首を振りながら否定の言葉を並べ立てる。
「そ、そそそ、そもそも! わ、私とコイツの間には何も、本当に何も、無い! れ、恋愛感情とか、そういうくだらないものは、一切! 無い!」
なんか言い切られてしまった。そこまで言わなくてもと思わなくは無いけど、事実なので首肯しておく。
「清田殿……拙者がこの前貸したラノベ読んでくれたで御座るか? あのツンデレ合法ロリモノ」
「うん。正直ヒロインがもっと素直になればもっと速く話が進みそうなのになーって思った」
二丁拳銃を振り回してミニスカで戦うツンデレツインテールがヒロインの作品。面白いんだけど、ヒロインのツンデレがキツすぎた気がする。
……と、そんな俺と志村の会話を聞いてモゴモゴと口ごもり出す佐野。
何やら「でもそれは」「いや、確かに私は積極的になりたいとは思っているが」「……ううむ」とかなんとか言ってるみたいだけど、なんなんだろうね。
「まあ取りあえず中に入ろうか」
「あ、ああ! そうだな!」
「なんでそんなに大きな声を出してるんで御座るか」
「べ、別にかまわないだろう!」
「まあね」
ともあれ、俺と佐野と志村は化学室に入った。
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化学室は教室とは違い、黒くて長い両端に水道のある机に五人ずつ座る形式になっている。ちなみに椅子は座面が円形のアレだ。
人数はクラスの半数の……二十人弱。もう半分は、今は日本史を受けている頃かな。
「清田、プリントだ」
「ん? ああ、悪いね」
前の席の天川が少し後ろを向いて俺に言ってきたので、俺は佐野のノートを写す作業を一旦中断してプリントを受け取る。
「すまない、清田。これは休みの奴の分なんだが……隣の席だったよな。入れておいてやってくれないか?」
「いいよ」
さすがは学級委員長。クラスメイトの席の位置くらい把握してるよってことなのか。
「ありがとう」
ジャニーズ系の爽やかな笑みを浮かべる天川。
彼が前を向いたタイミングで……隣に座っている志村が話しかけてきた。
「イケメンは何をやっても爽やかで御座るな」
「そうだね」
成績優秀、スポーツ万能。ジャニーズ系のイケメンで(実際にスカウトされたことがあるらしい)、女子からもモテモテだという噂だ。
「名前はキラキラネームなのにね。二重の意味で」
「そうで御座るな」
本名を天川
「でも彼女いないんでしょ?」
「聞いたことはないで御座るな。もしかしたら隠しているだけかもしれないで御座るが」
あれだけのイケメンにも彼女がいないんだからこの世界は不思議だ。単純に作ろうとしてないだけかもしれないけど。
「よし、写し終えた」
「お疲れさまで御座るよ~」
佐野のところノートを持って行くと、早速さっき貸したラノベを読んでいた。
「佐野、ありがとう」
「ああ。……しかし、相変わらずこの人の本は面白いな。序盤からとばしてくる」
嬉しそうな声。俺もこの人の本はファンだが、佐野は他作品もそろえる程熱心なのだ。
前の巻は彼女が買っていたので、今巻は俺が買ったわけだけど……この様子だと今日中に読み終えて返してきそうなスピードだ。
「化学の授業中は読まないようにね」
「清田は私をなんだと思ってるんだ。そんなことはしない」
……授業中にラノベを読むのは俺だけか。
「そういえば、今朝の『嫌な予感』はどうなった?」
佐野が唐突にそんなことを尋ねてくる。
ポロっと言っただけなのによく憶えているもんだね。
「まだ何も。……ってか、予感は予感だから。当たらない方が多いよ」
俺はそう言いつつ、腕時計をちらっと見る。
「そろそろチャイムか?」
「うん。じゃあ俺は席に戻るね」
「ああ」
彼女にそう挨拶して、席に戻ったところでチャイムが鳴った。
「はーい、起立。礼。んじゃあ、今日もテキトーにやるかぁ」
欠伸をしながら化学の温水先生が入ってくる。やる気は無いが生徒からは人気のある先生だ。
その理由は……
「じゃ、今日の実験なー」
「「「はーい」」」
このように見た目が面白い実験を授業の最初に見せてくれるのだ。
前回の授業で見せてくれたのは確か液体窒素の実験。花を凍らせて砕くやつ。トリックみたいで面白かった。
「じゃあこの薬品と薬品を混ぜるぞ。さて、どうなると思う? 白鷺! 答えてみろ」
緑色の液体と黄色の液体が入った試験管を持ってきた先生が生徒を一人指名する。
指名された白鷺は少し考えるそぶりを見せた後に、ドヤ顔で答えた。
「はい! えっと……爆発して異世界へのゲートが開く!」
流石はクラス一のお調子者。えらく突飛な発想だね。たぶん、最近やってるアニメでも見たんだろう。
短髪チビの白鷺は隣にいた加藤から「バカなこと言ってないで座りなよ」と頭を押さえられる。
「ははは。そうだったらいいなぁ」
わはは、とお調子者の台詞でクラスの皆が笑い出す。確かにそんなんだったらいいのにな、とは思う。大変だろうけど楽しそうだし。
……ちなみに、俺は質問の答えは分からない。天川とかなら分かるかな?
「答えは見てのお楽しみだ。さあ行くぞ」
先生が緑色の薬品を黄色い薬品にいれると、ポコポコと泡がわき上がり……
「おや?」
ボン! と物凄い音とともに、目が眩むほどの閃光が迸り辺りを満たした。
「うわっ!」
あまりの光量に目を開けられていない。なるほど、あの二つの薬品はこんな光を出す薬品だったのか。
でもおかしいな、いつもならこんな実験をするときは眼鏡をかけさせるのに……。
「な、なんだこの光は……? え、ホントになんなんだ?」
え、温水先生、なんですかその台詞。
「こんなことになるはずが……あ、ありのまま今起きたことを話すぜ! 俺は普通に泡が出るだけの実験をしたはずなのに、神々しい光りが沸き起こりやがった……っ!」
凄く不安になるセリフ。……というか、なんで先生がポ○ナレフのそれを知っているのか。って、そんなことはどうでもいい。
(……ん?)
そこで、更に不思議なことが起きていることに気づいた。
さっきまで椅子に座っていたはずなのに、椅子が無い。それどころか俺は地面に立っていた。
(何だ? 何が起きた?)
辺りを確認しようにも、謎の光のせいで視界は白色で埋まっているからどうしようもない。
やっとその光が収まり、奪われていた視界が戻るとそこは――
見慣れた化学室でなく開けた広間のような場所だった。
「え?」
状況に追いつけずキョロキョロと周りを見渡すと、さっきまで同じ授業を受けていた全員がこの広間にいた。上にはシャンデリア、横にはなんか……肖像画? 変なおっさんが書かれた、しかしスゴく豪華な絵が飾ってある。
正面に目をやると……金ぴかで、豪奢な椅子に座った頭に冠を戴せたおっさんが一人。そしてその周りにズラッとたくさんの甲冑を着た人がいる。
……人、だよね? なんかさっきから微動だにしていないけど。
「なん、なんだ……何が起きてるんだ?」
周りの皆も視力を取り戻し、いきなり自分たちが変な場所にいることに気づいたようだ。 女子なんかは隣の女子と抱き合うようにしておびえている。……あ、空美がへたり込んだ。
佐野は流石に堂々としている風だけど、実は目が泳いでる。相変わらず不測の事態に弱いね。……こんな状況にいきなり適応出来る人もいないだろうけど。
俺たちが混乱から抜けきれないでいると椅子に座ったおっさんが不意に立ち上がる。
何だ? と思って身構えると……そのおっさんは感極まったように俺たちに向かって叫んだ。
「おぉ! 真に救世主様方が現れるとは! 感謝いたしますぞ!」
はい?