ソイヤー!
慌ててソリスはステップを踏みながら回避をしようとする。しかし、闘志に燃える
くっ!
もう一度マウントされたら、赤ちゃんになるまで殺され続けてしまう。ソリスは必死に退路を探すが、必死な
「くぅぅぅ……仕方ない……。やってやるわよ!!」
ソリスは覚悟を決めると、逆に一気に
馬鹿が!
ぐふっ!
が、止まらない。ソリスは激痛をこらえながら、そのまま
「くっ! マウントくらいじゃ変わんねーよ!」
しかし、マウントされた状態では全然パワーは乗らない。ソリスは逆にその腕を取ると全体重をかけてへし折ったのだ。
ゴキィ!
壮絶な音が広間に響き渡る。
「グギャッ!! ふ、ふざけんな!」
ゴフッ!
「ちっ! どけぃ!」
『レベルアップしました!』
黄金色に輝きながら立ち上がってくるソリスに、
「こ、この、チート娘が!!」
「何を使おうが最後に立っていたものが勝ち……。それがここでのルールだわよ? ふふふふ……」
ソリスは顔を引きつらせ、必死に余裕を装いながら笑う。
「ふんっ! 赤ん坊にして踏みつぶしてくれるわ!」
「折れば勝ち……、折れば勝ち……」
ソリスはガードしながら全神経を左腕の動きに注いだ。
ぬぉぉぉぉ!
ソリスは何とか左腕をつかもうとタイミングを計った。つかめたら勝ちなのだ。
だが次の瞬間、
へ?
ソリスは何が起こったのか分からなかった。
刹那、飛んでくる目のくらむような後ろ回し蹴り――――。
ゴフッ!
ソリスはもろに蹴りを胸に受け、吹き飛ばされる。
もんどりうって転がったソリスに、畳みかけるように
『レベルアップしました!』
ソリスが復活すると、
くっ!
ソリスは必死に脱出しようとしたが、間に合わず、痛烈なメリケンサックの衝撃にまた意識を断たれる。
『レベルアップしました!』
うりゃぁ!
『レベルアップしました!』
そりゃぁ!
『レベルアップしました!』
無情にもどんどん小さくなっていく身体。
徐々にブカブカになっていく鎧の感覚にソリスは焦った。何とか抜け出そうとするものの、
「ほれほれっ! 赤ん坊に戻してやるぞ!」
折れた右腕をかばいつつ、左腕で的確にソリスの顔面を捉え続ける
『レベルアップしました!』『レベルアップしました!』『レベルアップしました!』
レベルアップはするものの、子供へとなって行ってしまってどんどん力も弱くなっていくソリス。
『マズいマズいマズいマズい……』
殺される激痛で朦朧とする意識の中、必死に活路を探す。
「死ねぃ!」
「あっ! 待て、貴様!」
その隙にソリスは鎧を持ち上げながら下からスルッと身体を引き抜く。
「畜生! ちょこまかと……」
逃がしてしまったことに顔をゆがめる
ソリスは肩で息をしながら、ブカブカになってしまったチュニックのひもを結びなおす。これ以上殺されてしまったら抗うこともできない。ソリスはもうミス一つできないギリギリのところまで追い込まれてしまったことに口をキュッと結んだ。
「子供ではもうどうすることもできまい……」
ソリスは間合いを取りながら後ろへ、横へと逃げていった。
「これで決まりだ!」
ひぃっ!
ソリスはガードしながら後ずさりで
「死ねぃ!」
直後、そのまま鋭い渾身の後ろ回し蹴りで一気にソリスの顔面を狙っていく
ところが、ソリスはまるでバレエを習っている子供のように、信じられない身体の柔らかさでのけぞって、これをかわしたのだった。
……へ?
手ごたえのなさに焦る
これを好機とそのまま
「死ぬのはあんたよ!」
ソリスは足を
くぁぁぁぁ!
離せぇぇぇぇ!
喚きながら
くはっ!
しかし、しがみついて離れないソリス。このチャンスを失ったらもう二度と勝機はない。
ぐぉぉぉぉぉ!
必死の形相で腕を逆方向へ
止めろぉぉぉ!
ゴキィ!
鈍い音がフロアに響いた。