5☆大団円
何日も何日も、青年は少女の元で一緒に暮らしました。
青年は決して肉を食べません。穀物と野菜と果物と水を食べていました。少女も白い鳥の王国での暮らしを思い出して同じものを食べました。
そんな日々が続いて、少女は、青年が無理をして昼間も人間の姿をとり続けているのではないかと思いあたり、「もう、充分だわ。ありがとう幸せでした」と言って、別れようとしました。
しかし青年は、最後に大切にとってあった織物を指差してそれを使って白い装束をつくるように提案しました。
少女は言われるままに、白い織物を仕立てて自分の服を作りました。
少女は思いを込めて一針一針丁寧に縫って行きました。まるで結婚式のウエディングドレスのような素敵な装束が出来上がりました。
「それを着てみせて」
と青年がわくわくしながら言いました。
少女が出来上がった白装束を着ると、驚いたことに少女はあっという間に真っ白い鳥の姿に変わりました。
青年も白い鳥の姿に変わり、2羽は嬉しそうにさえずりながら、空高く舞い上がり、白い鳥の王国に向かって飛んでいってしまいました。