3☆さまよう二人
「雪だ・・・」
白い雪が降る中、ふるえながら歩き続けるのはとても心細いことでした。
「雪が降れば、みんな追ってこれなくなるから」
そう言って青年は歩き続けました。少女は青年と手をつないだまま、導かれる方へ歩くしかありませんでした。
やがて吹雪になり、視界は一面真っ白になりました。どうかすると少女は青年を見失いそうでしたが、かたくしっかりとつないだ手は決して離されませんでした。
長い道のりの後、やがてたどり着いたその場所は、少女が元々住んでいた家の前でした。
「帰ってきたのね」
少女はほっとして、青年に「ここで一緒に暮らしましょう」と言おうと思って振り向きました。
しかしなんということでしょう!
そこには力尽きた白い鳥のなきがらが横たわっていました。
白い鳥の青年は少女を命懸けで守ったのでした。
少女はいつまでもいつまでも大粒の涙をこぼして悲しみました。こんなことなら出会わなければ良かったかもしれないとも思いましたが、青年のなきがらを手厚く葬って、絶対に忘れないでいようと心に誓いました。