2☆白い鳥の王国
長い道のりを歩いて行くと、いつのまにか見たことのない国へたどり着きました。
白い壁に囲まれた王国でした。
門番も白い服装で立っていました。青年があらかじめ許可をとっていたので青年と少女はすんなり王国の中へ入ることができました。
「ここはどこの国?」
「白い鳥の王国」
ここでは夜の間はみんな人の姿をしているけれど、昼間になると鳥の姿に変わってしまいます。少女は昼間は鳥たちと、夜は白い人たちと一緒に暮らしました。
緑の木々と湧き出る泉の国で、食べ物は豊富にあり、何不自由なく暮らせました。少女は果物や穀物を食べ、きれいな水を飲んで、白い鳥たちに囲まれてとても幸せでした。
ある日。
「僕と結婚してくれませんか?」
と青年が少女に言いました。
少女は青年のことが好きだったので、とても嬉しく思いました。
「王様に許してもらいにいこう」
青年がそう言うので、王国の中央にある立派な白亜の城に二人は行きました。
謁見の間にいる間、二人はきっと幸せになれると信じて疑いませんでした。
ところが。
「ここは白い鳥の王国。白い鳥でない人間はここで暮らしてはいけない。その少女を即刻死刑にしろ」
と白い鳥の王様は言い放ちました。
「なぜですか?王様。僕らは愛し合っているのです」
青年が懸命に言いました。
「異国の体の色が違う生き物と結婚してはならない。どんな色の子どもが生まれてくるかわからないからだ」
と王様は言いました。
「それでも僕は、例え体の色が違っていても同じ生き物である彼女と一緒にいたいんです!」
青年はそう言って、兵隊に連れ去られていこうとする少女を取り戻し、追っ手を振り切って少女と一緒に城を逃げ出しました。
「絶対に手を離してはいけないよ」
青年はそう言うと、少女を連れて、追ってくる白い鳥たちからほうほうのていで逃げました。