白い鳥の王国
星野☆明美
プロローグ
ある町に一人の少女が住んでいました。両親は早く亡くなっていたため、家は貧しく、織物を織ってそれを売って生活をしのいでいました。
少女の織る織物はとてもきれいな色の上品なものばかりで、町の市場では売れば売るほど飛ぶように売れていきました。それでも、一人で丁寧に少しづつしか織れなかったので、あまり裕福ではありませんでした。
そんなある日。
市場で織物を売ったお金でわずかな食糧を買って家路を急いでいた少女は、道端の草むらに何か動くものを見ました。
近づいてみると、それは真っ白い一羽の鳥でした。鳥は片足を怪我していました。
「大丈夫?痛いね?痛いよね?」
少女がそっと声をかけると、白い鳥はおそるおそる怪我をしている方の足を上げて少女に見せました。
ちょうど少女は怪我にきく塗り薬を持っていたので、それを取り出すと、白い鳥の足に塗ってあげました。
白い鳥はじっと黒い瞳で少女を見つめました。
「治るからね。大丈夫よ」
そう言って少女は微笑むと、家へ帰って行きました。