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第3話 神社の夜のご祭神

「もう、どこまでアイス買いに行ってたの?」

「だって欲しいのが売ってなかったんだもん。しゃーないじゃん」


 李斗が社務所に戻ると、妻の薫に小言を言われた。

 彼は見た目こそ中学生のようだが、この氷ノ山神社の主、祭神である。


「昼間は買いに行けないから、必然的にコンビニになるじゃん。そしたら売り物も偏るし、時間もかかるじゃん」

「ったく……しょうがないわね」

「じゃーこんど車でアイス買いにジャスコいこうよ薫ちゃん」

「はいはい、クーラーボックス持っていきましょうねえ」

「そういやさっきさ」

「ん?」

「和也が来てたよ。あれから毎日来てる」

「なにしに?」

「願掛け。美貴に男が出来ますようにだってさ。ふざけんなだよ~」

「えー……なにそれ……」

「ったく。薫ちゃんといい、和也といい、なんでウチに願掛けに来るやつ来るやつ、ロクなことにならないの? やんなるよー」

「ええー……。わたし、とばっちりじゃん……」

「僕のメンツどーなるのさ? ったくあんにゃろめ」

「よくわかんないけど、和也くんだって、炎天下で日干しになったウサギさんに四の五の言われたくないでしょ」

「ちッ」


 氷ノ山神社のご祭神は、プリプリしながら自室へと入っていった。

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