俺には元から確信があった。
手負いの奴が行く場所、する事。
奴にとって、あの爆発は千載一遇のチャンスだ。
――つまり、大量に湧き出した雑魚をバリバリムシャムシャ食って、復活しようとしてるってことさ。
奴を最初に追い払ってから今夜再会するまでの間、多少なりともケモノを食らっていたフシがある。
さすがに腕一本を再生するには至らなかったようだが、切り落とした部分よりも腕がかなり再生していたんだ。
もっと時間があれば奴は、もさもさやぷにぷにを大量に食らって完全体へと戻っていただろう。
「あ……」
ほぼ全身を覆った俺の、唯一外気に触れる部分。
なのに適度な柔らかさと暖かさを持った、俺を人と誤認させる部位、顔。
その表皮にフワリと貼り付いた、大粒の綿雪。
イブの夜を穢された、と空が怒って、清めの雪を降らせ始めたんだろう。
……悪かったな。あのトラックを止められなくて。
ふと、光の柱を見上げると、綿雪は柱を取り囲むように渦巻いていた。
雪がいろんな色に染められて、趣味の悪いイルミネーションのように見えた。
「ここか。随分明るいなあ……」
山道を駆け上がり、以前産廃業者が入り込んだ辺りに来ると、林の奥からフェンスの所まで強い光が差し込んでくる。
化学薬品が燃えて、イヤなガスが周囲に漂っているが、柱が周囲の空気を巻き上げているせいか、耐えられないほどじゃない。
フェンスの内側には、異界獣たちが柱の強い光から逃れようとして、びっしりと貼り付いていた。
見たところ小物だらけのようだが、大型の奴はもう外に出ていってしまった後なんだろうか。
付近を伺ったが、カマキリの足跡は見当たらなかった。
(やっぱりあいつらか……)
以前業者のおっさんたちが細工したフェンスが、外されたままになっている。
さっきのトラックはここから進入したんだろう。
空きっぱなしになったフェンスから、極彩色の細かいケモノたちが水のように外に流れ出してくる。まるで、縁日のスーパーボールすくいのようだ、と思った。
フェンスの開口部から中に入ると、真新しい轍を見つけた。
それを辿って、俺は林の奥にあるゲートを目指して走った。
光の柱の根元に近づくと、案の定あのトラックがいた。
すりばち状の穴の中に頭をつっこんで丸焼けになっている。
火事のせいでこのあたりだけ暖かい。
イヤな煙に燻されて服が臭くなるのはゴメンだ。でも何で自爆してんだ?
「んー……あいつどこいった?」
俺はカマキリの姿を探して周囲を見回した。
奴の姿はぱっと見では分からなかったが、別のものを発見した。
俺はソレに近寄った。
「……だから、ここに入っちゃダメだって言ったろ? おじさん」
多少コゲコゲになりつつも、体のあちこちをケモノに囓られてボロ雑巾のようになった顔見知りのおじさんが二人、転がっていた。
一人は俺の言葉に反応したところを見ると、まだ息はあるようだ。
ぷるぷると震える手を俺に伸ばしてくる。
もう一人は……上半身がない。
それを食っていたと思しき中型の異界獣も、何故か頭がない。
他のやつに食われたんだろう。弱肉強食だな。
俺は死に損ないのおじさんの傍らにしゃがみこんだ。
「自分らが何したか分かってる? もう、この街おしまいだよ。おじさんたちのせいで、弓槻のお姉さんが護りたかったこの街は、無かったことにされちゃうんだ」
産廃業者の男は、もうどこを見ているのか分からなかった。
視力はとうに失っていたのかもしれない。あらぬ方向に手を伸ばしている。
ん、何か言ってる。
耳を澄ましてみると、殺してくれと言ってる。
「ふうん、苦しいんだ。おまえらが廃液をジャブジャブ流すから、ケモノが怒って沸いてきたんだぞ。分かるか? みんな、おまえらのせいだ。俺の大好きな人の姉さんが、おまえらのせいで死んだ。俺は護れなくて、とばっちりをうけて恨まれた。でも――」
俺は立ち上がって腰の剣を抜き、柄のスイッチを入れた。
「コーヒー一杯分だけの慈悲を、あんたにやろう」
そう言って俺は、おじさんの首を一瞬で刎ねた。
勢いよく刎ねたので首はどこまで飛んでったか分からなかったから、拾ってくるのは諦めた。
ギロチン刑を残酷だと言う人は間違っている。
あれは、苦痛を一瞬で終わらせるための刑。高貴な人間に許された慈悲の刑なんだ。もっとも、切り離した後は意識が十数秒ほど続くという実験結果もあるけど、苦痛までは感じていたかは分からない。
――死人に口なしだからな。
俺はおじさんの胴体に手を合わせると、カマキリの捜索を再開した。
なんせこの事態だから気配を追うのも難しい。
でも、奴の行き先はここ以外にはない。必ず近くにいるはずだ。
俺は、トラックの反対側を見てみることにした。
「あー……ららら」
もうもうと黒い煙を上げて燃えているトラックの向こう側では、絢爛豪華なイブの晩餐が繰り広げられていた。
サイケデリックな光彩の中、食いちぎられた極彩色の異界獣の手足や、カラフルな臓物があちこちに散らばり、綿雪が甘そうなトッピングを施していく。ここに俺の生き血でもブチ撒けたら、さぞやデザートソースのように見えるんだろう。
「ふう。頭がおかしくなりそうだ……」
その傍ら、熱で半ば溶けかかった樹脂製容器の山の陰から、バキバキ、バリバリ、と物音が聞こえてくる。
何かを噛み砕いているような――――
「そこか!」
シュガーソースがとろけ落ちたような容器の山を、高周波ブレードで叩き斬った。
崩れ落ちる容器の向こうから――――――――
『……え?』
俺の目に映ったのは、真っ二つに断ち斬られた自分の剣。
信じられない光景に一瞬思考が凍り付きそうになったが、俺は本能に従った。
次の瞬間、俺は全力で後方に飛び退いた。
――だが、それが間違いだった。
容器の山が崩れ落ちる間に、俺に向けて真っ直ぐ突き出された鋭利な物体――大鎌が視界に入った時には、鎌は既に俺の肩口を貫き背中まで突き抜けていた。
恐るべきことに鎌の持ち主は、俺とほぼ同じスピードで前方に飛び出し、俺の胸を貫いたんだ。
あの頑丈なスーツの胸部装甲をブチ破って。
(裂かれる!)
己の肉に刺さった鎌が、クッと下向きに引っ張られた。
鎌が地面まで一気に引き下ろされる、そう感じた瞬間、奴を思いっきり蹴り飛ばした。
「ぐぅッッ!」
俺の肩口を、焼けるような激しい痛みが襲う。
腕ごとむしり取られるんじゃないかってくらい、痛かった。
そらそうだ。奴の鎌の先には鉤状の返しが生えていて、抜き取られるときに俺の肉を抉り取っていったんだから。
蹴り飛ばしながら、俺は遠ざかる奴を見た。
『クカカカカカカカカカカカ……』
奴が笑っていた。
牙を誇示するかのように口を左右にぐっと開き、鳴き声に呼応するように小刻みに振動させていた。
――間違いない。奴だ。しかし……。
虹色の光を受け、奴のなめらかな甲殻は、てらてらと輝いていた。
「ずいぶんとご馳走を堪能したみたいだな。テトラマンティスさんよ!」
俺が切り落とした腕は綺麗に修復されているどころか、体の大きさが一・五倍ほどになっている。細かい部分もトゲが生えたりシャープなデザインになっていたりと、より攻撃的な姿に変わっていた。
「俺さあ、すげえ後悔してんだよ。あん時、なんで余計な事言わずにさっさと貴様の首を落とさなかったのかってな。ホントなら、今ごろおっさんたちと避難してたのにさ」
俺は血の滴る傷口を手で圧迫した。
『クカカカカカカカカカカカ……』
奴がまた気色の悪い声で鳴き出したので、俺は奴の喉元にありったけの徹甲弾を撃ち込んだ。
――が、皮に食い込んだ程度で、ちっとも効いてない。
「ウソ、だろ?」
一瞬弱気になった俺様だが、聖夜の晩餐になるつもりはさらさらない。
どちらがクリスマスイブにふさわしい存在なのか、こいつにハッキリと教えてやらねばなるまいよ。
俺は剣を電磁ウイップに持ち替えて、奴の横に素早く回り込んだ。
気付かれてない。
『よしッ』
コイツ、もしかして俺の動きについてこれないのか?
それとも横方向の視界が悪いのか?
短時間の修復で、視覚に支障が発生しているみたいだ。
「喰らえッ」
俺はヤツの脚めがけて、アンダースローで電磁ウイップを振るった。
バシッと手応えを感じた瞬間、くっと軽く引き寄せる。
重りのついた先端が、ヤツの脚にぐるぐる巻き付き、絡め取っていく。
カチリ。
放電スイッチを入れる。
『どうだ! ん?』
ヤツの体が硬直しない!
確かに電気は送り込んでいるはずなのに!
クソッ。
「チッ、面倒な。また報告書に書くことが増えたじゃんか!」
片側の脚、二本を巻き取られ、カマキリは必死にもがいている。
電磁ウィップが目に入らないのか、まだ鎌で切り落とそうとはしていない。
俺はヤツに奪われないように、両手で電磁ウィップを引っぱった。
「さて、どうするよ、俺」
疑問を口にした時には、もう体は動いていた。
せいッ、
その場で高く跳躍すると、俺は軽々とカマキリ野郎の背に舞い降り、肩車のようにヤツの肩に跨がった。
そして奴の首根っ子に、すっと残ったもう一本の高周波ブレードを水平に当てる。
暴れてはいるが、このまま両手で手前に引けば、奴の首は落ちる。
――肉を切らせて、骨を断つ。手負いの俺には、それしかない。
「俺もザックリいくかも知れねぇが、貴様の首が取れりゃあ本望だ! 往生しやがれぇぇぇぇッ!」
今度こそ、と思いながら、俺は思いっきり両手で刃を引いた。
『ガチッ』
刃が何かに当たる音、そして手応えが。
――俺は血の気が引くのを感じた。
刃は奴の甲殻で止まった。
止まってしまった。
喉の奥まで食い込まず、表層を薄く抉っただけだった。
必殺の作戦だったのに――
「万事休す、なのか……」
『クケケケケケケケケケケケケケケケ』
ヤツは奇声を上げながら大きく体を捩り、揺さぶった。
呆然とする俺を、奴は地面に振り落とした。
「うあッ……」
薄く積もった雪の上に放り出された俺は、背中の傷からモロに落下してひどい痛みに呻いた。
得物はもうロクに効きゃあしない。
頼みの綱の双剣もコノザマだ。
肩口からは血が噴き出し、手当する間もない。
……このまま、雪に埋もれて死ぬのか。弓槻のお姉さんのように……
絶望感に襲われた俺に、ここから逃げてみんなと合流するなんて選択肢は、露程も思いつきはしなかった。
もう何のために戦っているのかすら、俺は忘れかけていた。
ちくしょう……
「何をしている、勝利!」
聞き覚えのある声に、意識を呼び戻される。
バイクのエンジン音と共に、シスターベロニカの怒声が林にこだました。
「そいつから離れろ!」
そう言い終わらぬうちに、シスターはバイクに跨がったまま、カマキリに向かってショットガンを乱射しはじめた。
『クゲェェエエエエエッ』
全身に特殊弾を浴びたカマキリは悲鳴を上げ、溶解した体表のあちこちからジュウジュウと煙が立ち上っている。
「バカーッ! 俺に当たったらどうすんだよ!」
俺は必死に雪の上を転がって、シスターの方へと何とか逃げた。
「バカな息子を迎えに来たのだ。さあ、早く乗れ!」
「でも……まだあいつが……」
「やはり諦めはつかんようだな」
もう戦う術もないのに、どうして俺はこんなことを言ったのか。
でも負けっぱなしは納得いかない。
名前の通り、俺はケモノに負けたことはないんだ。
ボロボロになった俺のなりを見て、シスターベロニカは呆れ顔で言った。
「カマキリ一匹に、いつまでかかっているんだ。ほら、これを使え」
彼女は背中に担いだ大きな物体を、俺に投げて寄越した。
「うあっ……これ……剣?」
どう見ても大剣です。ありがとうございます。
「夕方、教団から届けられたばかりだ。それは、お前が注文したブツのはずだが覚えはないのか? 一応、手元のロックを外せば双剣にもなるそうだが」
「ああ! 待っててくれって言ってたのはコレのことだったのか!」
言われてみればたしかに、真ん中からパックリ割れそうなデザインだ。
「ああ、ロックって、このスイッチか……」
「起動させるにはお前の血が必要だ。その溝に注いでやれ」
起動? 溝……ってこれか。
「こんなんで奴に効くの?」
一体、開発部は何を寄越して来たんだ? 胡散臭いなあ……
「グダグダ言うな、早くしろ。弾がもたん」
シスターはまたショットガンを連射しはじめた。
足止めにしか使えないが、ないよりずっとマシだ。
「了解」
俺は肩の傷から流れる血を、剣に刻まれた溝に垂らした。
どろりとしているはずの俺の真っ青な血が、幾何学的な模様を施した刃の表面を、まるで水のようにさらさらと流れていく。
そして柄の方から不気味な光が血の跡を伝い始めた。
光の筋が刃の溝の上をくまなく走り終えると、
『オーナートウロク・カンリョウシマシタ・アハハハハハハ』
いきなり、こんな電子音声が聞こえた。気色の悪い高笑いが響き渡る。
まったくもって開発者の趣味を疑う。
「うわっ、きもちわる! ……なんか完了したのか。まあいい。いくぞ!」
シスターベロニカは最後の一発をブチ込むと叫んだ。
「よし! とっとと仕留めろ!」
「おおおおおおおおうッ!」
大剣を二つに割って双剣にした俺は、シスターの背後から助走をつけ、身の丈二メートルを越す彼女の肩を踏み台にしてカマキリ野郎に飛びかかった。
奴には俺がいきなり出現したように見えたんだろう、自慢の鎌を構える余裕もなく、後に仰け反るだけだった。
俺は奴の最上段の鎌に狙いをつけて、新品の剣を叩き込んだ。
光の軌跡を描く刃を振り抜くと、奴の二本の腕はあっさりと胴から離れた。
驚くほど手応えがなかった。
――なんて切れ味なんだ!
まだ奴は、己の身に起こったことが理解出来ずにいる。
新しい得物の威力を喜ぶヒマも惜しみ、俺は体をスピンさせた。
肉体を絞れば己の血が噴き出す。
それでも俺は、渾身の一撃を繰り出した。
今さら体を庇おうとして鎌を胴の前に構えるカマキリ。
だがもう遅い。
俺の体重の乗った攻撃は、奴の体に二筋の光跡を描いた。
「お返しだよッ!」
二度目の斬撃で、俺は奴の中段の鎌、二枚をその半ばから断ち落とした。
『キ――――キキクククククククククククウクウクウ……』
苦しんでいるのか、怒っているのか、カマキリは気味悪い声で鳴き出した。
「ヘンな声を出す奴ばっかり! もうごめんだ!」
『タン、タタン――』
背後から銃声が。
シスターベロニカの援護射撃だ。
奴の口のあたりを狙っているのか。さすがは名スナイパーだぜ。
でもちょっと怖いから、俺は姿勢を低くして双剣を構えなおした。
『キシャアアアアアアッ!』
牙にヒットし、カマキリは刃欠けの鎌で顔を押さえて苦しんでいた。
たいしたダメージには見えないが、実はけっこう痛そうだ。
「今だ、勝利!」シスターが声をかける。
「はい!」
俺は素早く二本の剣を結合させて、一本の大剣に戻した。
『キンッ』
冷たい音を立てて合体した剣。接合面に一瞬、強く細い光が鋭く走る。
「うぅううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
俺は、全体重を乗せて奴目がけて突進した。
『ズ……ズルリ』
切っ先が奴の甲殻に触れると、一切の抵抗もなく刃が柄まで飲み込まれていった。
俺は奴にくるっと背を向け、柄を前後逆に持ち替えた。
素早く腰を落とし、柄を担ぐ。
そして――
一本背負いのように、大剣を後から前方へズバッと振り抜いた。
ほぼ抵抗はなく、気持ち良いほどのフルスイング。
ガスッ、と刃が地面に当たる。
俺は体を反転させながら、剣をブンと横薙ぎに払って奴を正面から見た。
縦真っ二つになったテトラマンティス。
ヤツは一歩踏み出そうとし、グラリとバランスを崩す。
そのまま体が左右に開き、積もり始めた雪の上に臓物をブチ撒けながら倒れた。
「……やったよ、弓槻。薙沙さんの仇は討ったぞ」
俺は大きく息を吐いた。
◇
シスターベロニカに応急処置を施してもらった俺は、弓槻への手土産の準備を始めた。
まだピクピクと蠢いているカマキリの側に近づき、うっかりカチ割ってしまった奴の首を左右それぞれ断ち落とした。
そして、切り口をぴったり合わせて一つにした。
そいつをバラけないように、応急処置用の包帯でぐるぐる巻きにした。
――カマキリの生首の完成だ。
「ふう。さーて、とっととずらかって、弓槻たちと合流しなくちゃ……。ん?」
作業が終わったとき、シスターの携帯が鳴った。
深刻そうな顔で会話をしているけど……、吉富さんたちからだろうか。
「勝利、まずいことになった」会話を終えたシスターが言った。
「……どうまずいの」
「北東から市街へ出るための大きな橋が一本、ケモノで塞がれている。市民が別の橋に回ろうとしたが退路も塞がれ、現在吉富組と教会の連中が退路を開こうと応戦中らしい。……だが、事態はかなり深刻だ」
「なんだって!?」
「この気温では、水に飛び込むことも出来ない。今から行って間に合うかどうかわからんが、とにかく我々も現場に急ごう」
ケモノは水には入ってこない。川を渡ることが出来れば逃れる事も可能なのだが……。
「今、教会の連中って言ったよね。まさか――」
あいつの性格なら、きっと最前線でやりあってるに決まってる!
俺は、懐からプレゼントの包みを取り出し、カマキリの頭と一緒にシスターベロニカに差し出した。
「これを弓槻に渡してくれ。退路は俺が作る」
シスターの表情が険しくなった。
「……何をする気だ」
何を、だなんて。分かっているくせに。
「頼むよ、母さん。あいつとの約束なんだ」
「勝利……」
「初めての彼女に渡すには、ひどいクリスマスプレゼントだと我ながら思う。でもあいつが一番欲しいのは、多分これだろうから。……お願いだ」
「あの橋で待っている。避難が済んだら信号弾を上げる。いいか、必ず来るんだぞ」
「ありがとう。必ず行くから」
俺は大きく頷くと、満面の笑みで答えた。