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【1】砂糖菓子は幸せの足あと

 この二日ほど、俺は弓槻の射撃指導に付きっきりだった。

 といっても、俺は隣でタムラさんの作ったおやつを食いながら、マンガを読んだりゲームをしたりで、たまに銃がジャムったら直す程度だ。

 それもそのうち弓槻が自分で直せるようになってきたもんだから、俺は余計に仕事がない。最早ただの付き添いだな。

 弓槻は根を詰める性格のようで、自分で納得いくまで黙々と訓練を続けている。

 あと、我が強いせいか、アドバイスを受けるのがあまり得意ではないらしい。

 相手が俺だからかもしれないけど、指名してきたのは彼女の方だ。俺の言うことをきかないと困るのは自分なんだけどな。


     ◇


 午後は自由時間なので、今日はふらっと外に散歩に出かけた。

 弓槻と二人っきりの部活動も、最初のうちはあこがれ半分ってのもあって楽しかったけど、あいつの性格が性格なもんだから、そんなフワフワした気分もあっという間にどっかに飛んでいって、俺は微妙にストレスが溜まっていた。

 そんなこんなで、なんとなく海紘ちゃんの家に行ってみる。俺も甘い物は大好きだから、お客さんなら文句もあるまい。

 教会から五分ほど歩くと、二丁目交差点にある海紘ちゃんの実家が見えた。

 今日は比較的暖かいせいか、テラス席でひざにブランケットを掛けて談笑している女性客がいる。

「なんでこー女子っておしゃべりばっかしてんだよ。弓槻みたいに大人しく出来ないのかねえ……」

 なんてぶつくさ言いつつ、俺は横断歩道を渡り、ドアベルをカラコロと鳴らして店内に入った。中は砂糖やバニラ、バターなどの美味そうな香りがこれでもかというほど充満していた。

 すると都合よく、海紘ちゃんが入り口近くの棚に、クリスマス用のクッキーの陳列をしているところだった。

 トナカイやサンタ、ベルに雪だるま、ポインセチアなど、カラフルなタグが透明でピカピカした袋につけられている。ケーキだけでなく、こういう商品も売れるんだなって思った。

「いらっしゃいませ……あ、ショウくんだ」

 振り返ってこっちを見る海紘ちゃん。微妙に嬉しそうだ。

 海紘ちゃんは、ピンクのパティシエっぽい制服に、同色のベレー帽を被っていた。お父さんとお母さんも、同じ型で色違いの服を着ている。

 こういう演出も女子向け商売じゃ大事なんだって、以前別の街のシスターたちに聞いたことがある。

 お父さんとお母さんは、二人そろって俺に会釈した。

 驚いた風でもないのは、この間送ってきたときに顔でも覚えられていたんだろう。

 このお父さんが、元警察官……か。

 あんな話を聞いた後だと、微妙な気分になっちゃうな。

「随分と気安いな、海紘さん」

 俺は教団支給の分厚いPコートのポケットに手を突っ込んだまま、海紘ちゃんに声を掛けた。

「だって教会の人、みんなそう呼んでたじゃない」

 海紘ちゃんはそう言うと、まだお盆に残っているクッキーの陳列を再開した。「あとちょっとだから待ってて」

「うん。俺、ケーキ選んでるわ。食ってくから」

 俺は、ケースの中で極彩色な衣装を纏った美しいケーキたちの品定めを開始した。

「店内でお召し上がり、ね。多島君」

 お母さんが小さなトレーとトングを手に、俺に言った。海紘ちゃんにそっくりで、とても優しそうで美人なお母さんだ。

「あ、はい。初めまして、海紘さんのお母さん」

 俺は、ケモノ騒ぎに便乗して、こんな美人な嫁さんをもらったお父さんは上手いことやったんだなあ、なんて不謹慎なことを一瞬思った。

 やっぱ俺の魂って穢れてんじゃないのかしら、と最近本気で思う。だから余計に、自分は天使なんてイノセントでご大層な生物じゃないって思っちゃうんだけど。

「で、卒業したら、お父さんみたくうちに婿に来てお店継いでくれるんですって?」

「ブ――――――――――――ッ!」

 俺は全力で吹いた。

「む、むむむむ、婿??」

「おかーさん! 誰もそんなこと言ってないでしょ!」

「どどどどどど、どういうことなんだ? 海紘さん。俺何も聞いてないよ? 聞いてないないよお?」

 俺は全力で否定した。

 海紘ちゃんのお母さんがショーケースの裏から出てきて、娘をヘッドロックすると、

「多島君、うちの娘かわいいでしょ? ねえ嫁にもらってやってよ~」

「やめてーお母さんやめてええええ」海紘ちゃんが悲壮な声で叫ぶ。

「おい、お友達が困ってるじゃないか。やめなさい」

 お父さんが救援に来てくれた。

 やっとこ自由の身になった海紘ちゃんが、

「ごめんねえショウくん、うるさい親でぇ~」と言った。

「あ、いやあ、ぜんぜん。楽しそうなお家でいいね。あはは……」

 と言ってから、俺は海紘ちゃんをつかまえて、こう耳打ちした。

(で、なんで俺が婿入りする話になってんのさ。一体ママさんに何言ったんだよっ)

(知らないわよ。神父服姿の超かっこいい男の子が最近教会に来たってお母さんに言っただけだモン)

(あー…………。それが原因か)

 何となく、彼女のお母さんがお父さんとくっついた原因がちょっと分かった気がする。

 お母さんがお店を潰したくなかったのは当然として、実は常連だった警官姿のお父さんに前から惚れてたんじゃないかって。だから、海紘の制服男子萌えの性癖は、母親ゆずりだったんだ、って仮説が出来ちゃったわけで……。

 それに気付いた俺は合点がいった。

 超かっこいい……っていうのは嬉しいけど、その何割が衣装の格好良さなのか。

 当人に聞いてもわかんないだろうな。

 俺は、ケーキとコーヒーを注文して、テーブル席でおやつタイムを堪能した。

 脱サラ警官が作ったケーキとはとても思えないほどの超絶美味いケーキだった。

 今日のオススメの、カシスとラズベリームースのケーキを食べたのだが、けっこう舌が肥えてると自負している俺でも、これはトップテンに入る美味さだった。

 おかわり注文しちゃおうかな、なんて思いつつ海紘親子の様子をぼんやり見ていた。今は試験休みだからか、海紘ちゃんは昼間から家の手伝いをしてるようだけど、華やかさとは裏腹に、粉物を扱う洋菓子店という商売は、結構重労働だと思った。

 女子ウケのする華やかな職業、たとえば花屋とか美容室とか、そういうのって実はかなり大変だって聞いている。見た目や憧れで働こうとする奴も多いけど、そういう実情を知らずに入ってすぐ辞めたり、なんて話はよく聞くし、女性が働くには、やや過酷だとすら思ってる。

 俺に嫁さんとかいたら、やっぱり重労働は俺がやって、嫁さんにはあまり手が荒れるような仕事はさせたくないなあ……なーんて。

「コーヒーのおかわりいる?」

 つまらないことを考えていたら海紘ちゃんがポットを持ってテーブルにやってきた。

「あ、はい。……なあ、あんま聞いたらいけないかもしれないけど、バイトいないの? これからどんどん忙しくなるんだろ?」

「そりゃあね。地域一番人気店ですから。バイトはイブの日だけ臨時でお願いしてる」

 海紘ちゃんはコーヒーをカップに注ぎ足しながら、自慢げにそう言った。

「んー片腕まだあんま使えないけど、俺でよければ手伝おうか? 午後はヒマなんだよ」

 実際、昼飯と夕飯の間は自室でマンガを読んだり携帯ゲームをやったり昼寝をしたり、近所でうろうろしてるだけだし。

「ホント!? おかーさーん! ショウくんが手伝ってくれるってー!」

「いきなり店内でシャウトすんなよ。お客さんびっくりしてんじゃんか」

「あはは……」

 注がれたカップを空けて、俺は裏方の手伝いをすることになった。


 片手が不自由は俺は、クッキーやマカロンといった、ちっこい菓子を計測し、小分けしたり不良品をはねたりする係を仰せつかった。

 これなら片手でもなんとか出来そうだ。

 海紘ちゃんのお父さんに白衣を借り、俺はどきどきしながら厨房に入った。

 売り場よりもさらに濃厚なバターや砂糖の香りが、咽せるほど充満している。

(でもまあ、嗅覚は一番先に麻痺するっていうし、すぐ慣れるだろ……)

 早速俺は、お父さんの指導に従って作業を開始した。

 彼は、元警察官というのもあってか、洋菓子屋の店主にはそぐわない精悍さが滲み出ている男性だった。

「あまりムリしなくていいからね。疲れたら僕に言ってね」

 真っ白な歯をキラリと輝かせ、お父さんが言った。

 やっぱ体育会系な風情は抜けきれないみたいだ。

 クリスマス用ということもあり、余計にカラフルに装飾されたお菓子たちは、それ故に壊れるものも多く、俺はちょっと切ない気分になった。

 それをお父さんに話すと、

「教会のクリスマス会で食べて供養してもらってるから大丈夫だよ。あ、教会だから供養はおかしいか。ハッハッハ」とパワフルに笑った。

 お父さんもお母さんもこんなに元気で明るいから、海紘もあんなに天真爛漫な子供になったんだろうな。俺はちょっとうらやましく思った。

 俺はこの作業を左手のリハビリに使おうと思いついた。

 どういうわけか、いまだに満足に動かない俺の左手。医者やシスターベロニカの言うには、もしかしたら心因性のものかもしれないって話だ。

 まさか、な。

 しかし他に納得出来そうな理由が俺にも思いつかない。

 もしかしたら、この街の異変と関係があるかもしれないし、やっぱりないかもしれない。それでも、リハビリで多少なりとも回復出来るのであれば、やらない手はなかろう。

 ムリして大事な商品を壊してもいけないから、慎重に。最初は左手をそーっと添える程度から始める。

 ――お? 案外動くじゃん。

 ゴロゴロしている間に、多少は回復してたのか。

 ただ治りが遅かっただけならまだ安心なんだけど。

 単純なお菓子の選別、小分け作業をしているうちに、手がもうちょっと動くようになってきた。

 すごい、効果あるじゃん!

「ショウ君ノリノリだね!」

 海紘ちゃんが覗きにやってきた。

「ああ、これ、手のリハビリに丁度いいよ。なんか調子良くなってきたし」

「ホント? じゃ治るまで毎日来ればいいじゃない」

「いいの?」

 お父さんはニコニコしながらウンウンと頷いた。

「お父さんもいいって。じゃ決まりだねー」

「お母さーん! ショウくん毎日来るってー!」

 海紘はまたデカイ声でシャウトしながらレジの方に出て行った。まったく、もーちょっとおとなしく出来ないのかなこの子は。

 お父さんは苦笑して、やかましい娘でごめんねえ、と人懐っこい表情で言った。

 人当たりが良くてイケメンで体力もあってお菓子づくりもうまいなんて、すげーお父さんだな。うらやましいや。

 俺の作業中も海紘ちゃんは、忙しそうに厨房を出たり入ったりしていた。

 いつのまにか俺は、すっかり作業に熱中していた。


     ◇


「多島君、ひと休みしょうか」

 キリの良さそうなところまで作業をしたとき、お父さんが声をかけてきた。

「あ、はい」

 俺達は、厨房奥にある六畳ほどの和室で休憩を取ることにした。

 部屋の真ん中に置かれたコタツの天板の上には、木のボウルに盛られたみかんの山が。時計を見ると、三時間ほどぶっ通しで作業をしてたようだ。

「多島君、話があるんだ」

 お父さんが急に改まって話し出した。

「ま、まさか、婿入りの話を本気で?」

「違う違う。そっちじゃないよ。――こないだの夜、僕の知り合いに会ったろう?」

 なんだ。もう耳に入ってるのか。

 ……じゃ、俺の素性も分かってたってことなんだな。

「あのお巡りさんのことですか」

「ああ。……また、奴らが沸いたんだね。だから、君のようなハンターたちがこの街に来た。そうなんだろう?」

 お父さんは苦虫を噛み潰したような顔をし、コタツの天板の上で両手を組んだ。

「そこまで分かっているのなら、俺から話すことはあんまりなさそうですね」

「今回はどのくらい、危ないんだ?」

「まだ……わかりません。俺の上司も、今回はちょっと特殊だと言ってて、いま調査をしている最中なんです」

「少なくとも、前回より多いか少ないかくらいは分かるんだろう?」

 異界獣のことは、お父さんにとってトラウマになっているだろうってのは想像に難くない。根掘り葉掘り聞きたい気持ちもわかる。

「この街に来た初日に負傷してしまって、ロクに現場に出てないんです。なので……」

「そうか、悪かったね。いろいろ聞いてしまって。では、弓槻ちゃんのお姉さんのことだけど……」

「!」

 俺の胸にズキンと痛みが走る。

 その動揺をお父さんは見逃さなかった。

「もしやと思ったが……やはりそうか。犠牲になったんだな」

 お父さんは肩を落とした。

「彼女は……その……異界獣の沸く穴を監視する係だったんです。俺のような戦闘要員ではなかった。異変に気付いた彼女は、教団に通報するとともに、被害を少しでも食い止めようと単独でケモノの穴に近づいてしまった。ケモノと戦う力なんてなかったのに…………それで……」

 俺は言葉に詰まってしまい、そして嗚咽を漏らした。

「そうだったのか……彼女は街の人のために、犠牲になってしまったんだな……」

「俺が! 俺が……到着するまで、せめてあと十分、どうして待ってくれなかったのか……奴にやられるのは俺だけで済んだのにッ!」

 俺はコタツの天板を拳で叩いた。

 弾みでボウルの中からみかんがいくつか転げ落ちた。

「腕は、その時の負傷なんだね」

「はい……」

 俺はしゃくりあげながら、当時のことをお父さんに話した。

 あまりにも残酷な真相に、元警官だったお父さんもさすがに顔をしかめた。

 そして、話が弓槻当人のことへと移った。

「海紘ちゃんのおかげで、だいぶ元気になったみたいです。でも……」

「弓槻ちゃん、どうかしたのか?」

「――復讐する気なんです。それで、気を奮い立たせて耐えているのかもしれない。でも……お姉さんはそんなの望んでない。復讐なら俺がする。なのに言うことを聞いてくれないんです。絶対ムリだって言っても……だから仕方無く銃の使い方を教えてる」

「ふーむ……難しいね」

 お父さんはぽつりと言うと、ミカンをひとつ手に取り、皮をむき始めた。

 ほら、と言ってお父さんは、ミカンの皮でうさぎを作った。

「毎年お正月には、あの姉妹をうちで預かっててね。こうしてミカンの皮でいろんなものを作ったんだ。両親のいない彼女たちを喜ばせてやりたくて。実際、うちの嫁と全く同じ境遇だから、ほっとけなくてね。でも海紘には、おじいちゃんとおばあちゃんの死因や、バケモノの存在について話したことはない。まあ……ショッキングなことだからね」

 俺はあることに気付いた。

 この街にケモノが沸いたのは、海紘ちゃんの生まれる前。

 彼女と同い年である弓槻の家族が亡くなった時期とずれている。

 それをお父さんに尋ねると、明確な答えが返ってきた。

「弓槻ちゃん一家は、ある時期、お父さんの仕事の関係で隣の県に住んでいたんだ。そこで一家は被害に遭った。親戚づきあいのなかったせいか、彼女たちを引き取るものはなく、そしてバケモノの被害者に手厚い保護をしているあの教団へと引き取られることに、誰も異存はなかった」

 話しながら、お父さんは次々とミカンの皮細工を作っていった。

「なるほど……」

「この街を一家で出て、そして帰ってきたときには二人っきりになっていた。当然だが、ご両親の死因も、海紘には伏せてある。さぞつらかったろうに……」

 俺は、イルカをかたどったミカンの皮を手に取って言った。

「次のお正月は、弓槻ちゃんは一人になってしまった。……俺が、一人にしてしまったんだ……」

 お父さんは俺の肩にポンと手を置いて言った。

「多島君は精一杯やったんだろう? だったら、もう自分を責めてはいけないよ。……妻の両親を救えなかった僕が言うのもなんだけど……」

 たしかにな、と俺も思った。

 でも、お母さんの両親を救えなかったことを悔いて、彼女を支えるために警察を辞めたのは、それはそれでお父さんの生き様としては、それなりにかっこいいとも思った。

 万一、海紘ちゃんの両親がケモノに食われたら、俺は教団を辞めてケーキを作ろうか。一瞬そんなことが浮かんだけど、多分教団は俺を手放しはしないだろう。

 教団関係者の弓槻ならともかく、一般人と恋したり結婚したりなんて、ほぼ教団の所有物であるに等しい俺にはムリな話だ。

 ――弓槻と、俺?

 ないない! ありえないありえない。お友達までがギリギリだ!

「う――――っ、ぶるぶるぶるっ」

 俺は頭をブンブンして、アホな思考を頭から追い出していたら、お父さんが不思議そうな顔をしていた。

「大丈夫かい? 多島君」

「俺、頑張りますから。必ず奴を倒して弓槻も海紘ちゃんもみんな守ってみせます!」

 俺は、なんだか勢いでお父さんに宣言してしまっていたけど、後で考えたら、俺より先に吉富組が仕留めるかもしれないんだよな。


     ◇


 海紘ちゃんの家から帰るとき、お土産に割れクッキーをたくさんもらった。

 目方にすると一kgくらいはありそうなので、どうしたものか、とヒマそうなシスター(メガネ、ロングヘア、推定二十代前半)をつかまえて相談したところ、食堂に置いてみんなで食べましょうと提案された。

 そしてどこからか大きな缶を持ってきて、クッキーを入れてコーヒーメーカーの横に置くと、そこから俺の分を少し取り分けてくれた。

 独り占めするには多すぎるし、この分だと手伝いに行く度に規格外の洋菓子をたんまり持たされそうなので、序盤からガンガン消費する方針がこの場合は正しいだろう。なんて思っていたら、教会じゅうのシスターたちがハイエナのようにクッキー缶に群がって、あっというまに空になってしまった。

「「「「「ショウ君! またもらってきてね!」」」」」

「あ……はい」ちゃっかりしてるよ、あんたたち。


 うちの教団のシスターたちは、イメージ戦略の要であるがゆえ、どの女性も美人ぞろいだ。


 だが。


 だがしかし。


 俺はシスターでは萌えれない。

 一ミクロンもピクリとしない。


 幼少期から、この白黒制服の女性の中で育った俺は、どうがんばってもシスターというものに欲情出来ないのだ。

 もちろんAVやエロ本などのオカズ類も全てアウト。

 もったいないと思うのは勝手だが、石を投げればシスターか神父がいる環境だ。

 その上、行く先々で俺の気を惹こうとするシスターが後を絶たないので、場合によっては非常~~~~~に疲れるんだ。

 なんせ、ハンターの中でもハイランカーである俺の彼女ともなれば、教団内での地位も優遇されるのは間違いなかろう。

 そんな下心がミエミエな女にたかられても、ゴミに群がるハエとしか思えない。

 もーね、仕事に差し支えるから、マジで放置してて欲しいんだ。

 白黒女子はうっとおしいだけだから。

 いつか教団全体に宣言してやりたい。

「俺と付き合いたいならその服を脱げ」と。

 ちなみにこの教会のみんなは、俺を放って置いてくれるから、他の教会よりもずっと居心地はいい。

 うん。そこは高く評価したい。

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