マウを連れ去られた日……
1日中、探しても見つからず……食事を忘れたワタシは、危うく紋章の魔力を失うところだった。
「このお父さんの手で……ウアの……ウアが生きていたという……事実を握りしめてほしいの。どんな時でも……落とさないように」
そんなワタシに……娘のウアさんを失ったハナさんが手を差し伸べてくれた。
不思議な気持ちで部屋を出たワタシの前に現われたのは……
「イザホさん!! 見つかったんっすよ!!! テイ先生を殺した犯人につながる、手がかりが!!!」
紋章研究所で働くアグスさんと、不笠木総合病院の医院長ジュンさん、そのナースのコーウィンさんが、テツヤさんの死体から手がかりを掴んでくれた!
「オレも連れて行ってくれ!! スイちゃんから……直接確かめたいんだ!!」
ワタシはクライさんと……スイホさんが犯人の一味であることを知ったナルサさんとともに、瑠渡絵小中一貫校へと向かった。
「……絶対に、悪いやつを捕まえてね!! 僕、待ってるから!!!」
「あの廃虚は今もあるんだったな? あの場所に向かえば……なにか思い出すかも知れない。イザホちゃんの手と写真を見たときに、思い出したようにな」
「あのお方からの命令ですから」
テツヤさんに気に入られていたアンさん、旧紋章研究所と関わりを持っていたイビルさん、黒魔術団の一員であるホウリさんの協力もあって、ワタシたちはスイホさんが隠れ潜んでいた裏側の世界にたどり着いた。
「……たし……かに……これで……ナルくんには……知られない……ナルくんが……私がナルくんのお姉さんを殺したのも……知ることはない……」
だけど、その裏側の世界で……追跡の果てに……
「だけど……こんなのわたしがのぞんだ結末じゃないぃっ!!!」
ナルサさんが、犠牲になった。
戦意を無くしたスイホさんは、そのまま抵抗することなく、黒魔術団のマネキンに連行されていった。
そして……ワタシは……
「……夢じゃ……ないよね……?」
マウと……再会した。
「本当に……!? いいの……!? ボクと一緒にいて……いいの……!!?」
この事件が終わったら、ワタシとマウは結婚する。
そう、約束した。
ワタシは……ようやく、マウの全てを知ることができたから。
相思相愛の意味を……ようやく理解したから……!!
その帰り……マンション・ヴェルケーロシニでクライさんと鉢合わせた。
ハナさんが……外廊下から飛び降りて、自ら命を絶ったらしい。
「ハナさんの手から……遺書が……落ちていた……から……自分も……読んでみたよ……そこに書かれたのは……たった一文……」
【 ウアを、止めてください 】