「今日の12時……フジマルさんの事務所に来てください。鍵は空いているはずなので……」
ワタシたちが住む1004号室にいたホウリさんは、朝、そう言い残して去って行ってしまった。
ワタシとマウが瓜亜探偵事務所に向かった先にいたのは、猫のシープルさん。
「ねえ――マヌケそうな面で指定時間より早く来るんじゃねえよ。カタギのウサギが」
まるで別人のように豹変したシープルさんと、これもまた別人のように落ち着いたホウリさんが、事務所に現われた。
「ようこそ、
「この“サバトの紋章”が、その入り口だ」
裏側の世界と同じ、紋章から繋がる世界……サバト。
シープルさんとホウリさんは、ワタシたちをサバトの元締めの元まで案内されるという。
「そのつくりもののッ!! したいのにんぎょうがばらばらにくだかれるのをッ!! そのめにやきつくせえええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
その道中、フジマルさんに恨みを持っているという男性が、10年前の被害者の姿に化けて襲いかかってきた。
それを助けたのは……
「……ワガ……ムスメ……ヨ……」
「イザホ……マウ……よくここまでがんばったな」
行方をくらましていたフジマルさんと……10年前の事件を引き起こしたと言われている、バフォメットだった。
フジマルさんは、シープルさんやホウリさんと同じ、サバトにおける自警団兼マフィア……黒魔術団の一員だった。
ワタシたちが“羊の紋章”と呼んでいた紋章を盗んだ犯人を捜しているうちに、この事件を引き起こした仮面の人間の仲間として誘われた。
一度受け入れつつ、利用されるのではなく利用するために、裏側の世界各地にサバトの紋章を埋め込んだという。
「……それでも、私が彼らを救えなかったことには間違いない」
フジマルさんは、この事件で犠牲になったウアさん、テイさん、テツヤさんのことを悔やんでいるみたい。
どうすることも、できなかったのに……悔しそう。
そして、ワタシとマウは、バフォメットとともにサバトの元締め……
「鳥羽差市の裏側……サバトにようこそ。イザホとマウ」
リズさんと、対面した。