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ACT1あらすじ



――これまでの章紋のトバサ――





 死体という名フランケンシュタイン作り物かいぶつであるワタシは、お母さまの余命宣言をきっかけに、大切な友達の“マウ”とともに鳥羽差市にやって来た。


「まさかここでパンクするなんて……」


 道中、車がパンクして立ち往生したワタシたちは、ひとまず食事を取るため、近くにあった看板を頼りに喫茶店セイラムを訪れた。


「ねえ、10年前の事件……教えてよ」

「……わかった。思い出してみよう」


 そこの忘れんぼうの店長さんから、ワタシたちは10年前の事件にまつわる重要な情報を聞くことができた。


 真夜中の森を歩くと、羊の頭を持った悪魔“バフォメット”に襲われる。


 もしも捕まってしまうと、体の部位をひとつ切り落とされ、


 裏側の世界に連れて行かれる……


「!! イザホに何するの!?」


 店長さんがカウンターから離れている時にやってきたローブを着た少女によって、ワタシたちは裏側の世界に連れて行かれてしまった。


「ねえ、楽しんでくれた?」


 そこで空っぽの頭蓋骨をかち割られたり、パレットナイフを片手に持ったローブを着た少女に殺されかけたけど、店長さんの助けもあって、裏側の世界から脱出することができた。


「ねえイザホ……ボクたちの新生活の場所をここにして、やっぱり正解だったみたいだね」

「私は忘れっぽいからな。これに懲りずにまたこの喫茶店に来てくれ。その時に思い出していれば、教えてやる。覚えていたらな」


 今日の裏側の世界の出来事……都市伝説とは形が違うけど、確実に10年前との共通点があるはずだ。

 ワタシは生き返った“元人間ゾンビ”じゃなくて、“人格が宿った死体という名の物フランケンシュタインの怪物”。10年前の被害者たちの誰からも記憶を引き継いでいない、ワタシ。

 ワタシの存在を見つけるためには、10年前の事件を知る必要がある。


 だから、この鳥羽差市に引っ越すことにした。マウと二人暮らしをすることにした。


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