「私は四人の仲間達がいました。一緒に世界中を冒険して旅をしていました。仲間達は私の占いの力を信じていました。けれども、あるダンジョンで、凶悪なモンスター達に襲われて…………、私の占いを信じ切れずに。みな、死にました」
ティアナの占いによると、そもそも、そのダンジョンに入れば、みな生きて帰れないというものだった。けれども、ダンジョンにあるとされる財宝に目が眩んで、みんなダンジョン探索を行った。
ティアナの仲間達を殺したのは、ゴルゴンという怪物だったのだという。
ティアナが、そのゴルゴンに生かされたのは“ティアナだけは財宝に眼が眩んでいなかった”と、財宝を守るゴルゴンが見抜いていたからみたいだったそうだ。
「私は旅を止めて、兄であるシャクラと一緒に薬屋を営む事にしました。病に苦しむ者達の運命を少しでも変える為に」
ティアナは罪滅ぼしをしているのだろうか。
かつて、助けられなかった仲間達の為に、色々な人間の運命を見て、その者達が良き方向に向かうように占い、そして薬を売っているのだろうか。
ティアナは多くは語らなかったが、何となくエシカには伝わった。
「もう少し、この街。ヒュペリオンには滞在していたかったのですが。変な魔法使いに眼を付けられましたね。私はもう街を出ようと思うのですが。皆様はどうされますか?」
ティアナは三名に訊ねる。
<お前の占いでは、滞在を続けない方がいいのだろう。俺達もそうするよ>
「いえ。私の占いでは、滞在しても構わないと出ています。あの魔法使いは、しばらくは、私にも、貴方達にも手を出さないでしょう」
ティアナは、リシュアの方を見て笑った。