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耳かきの梵天みたいに
星野☆明美
現実世界現代ドラマ
2024年07月18日
公開日
3,266文字
完結
明美は直也の耳かきをしてあげた。

☆プロローグ☆

☆プロローグ☆

 「なにしてんの?」

直也が隣の部屋からこっちへ来て、私の座っているソファに並んで座った。

「耳掃除」

「わ。俺も!俺の耳もやって欲しい」

「しょうがないなぁ・・・」

私の両太股の上に頭を乗せて、直也が嬉しそうに笑った。

耳たぶを引っ張って、直也の耳の中をのぞきこむ。

「あっ!でっかいのいるよ!」

「嘘!取って取って」

慎重にそうっと耳かきを直也の耳の中へ入れる。耳垢を掬い取る。

「もうちょっと力入れても良いよ。そうっとされるとかえってくすぐったい」

「注文の多い・・・」

「注文の多い料理店!」

「宮沢賢治か?食べられちゃうぞ~」

きゃっきゃ言いながら笑う私たち。

丁寧にちょっと力を入れてお掃除する。無言の時間が流れて、ふいに私は直也の耳にふうっと息を吹き込んだ。

「わー何すんだよ!」

「おしまい」

「あのな、耳かきの梵天は何のためについてんの?」

「梵天?」

わざと梵天で直也の鼻をくすぐった。

「バカ明美」

「なによぅ」

二人同時に吹き出した。

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