「あれええ~~~?」
「な、なにかなこれ」
魔王たちが相談している横で、双子騎士に異変が。
「もしかして私ら、原住民さんにモテモテ????」
「いやでも趣味じゃないし姉様……どうしよう」
トカゲ人のオス(?)たちが双子に求愛しているように見える。これは一体どういうことなのだろう。
「こまりますって~~~。竜神さま~~~助けてください~~~~~~ッ」
二人はルパナの後ろに避難した。
「ったく、なにやってんだか。それはそうと、モギナスよう、こいつらほっとくのかい?」
「と申されますと?」
「いずれこの世界は滅びるんだろう? だったら置いていけねえだろ」
「そうですねえ……。連れていって大丈夫でしょうか」
「だいたいさ、お前だってさんざん持てなされてただろ? 神様扱いされてさあ。そんなに冷たいヤツなの? モギナスって!」
「私だって、どうして祭り上げられたのか分かりませんよ。……それはともかく、あの集落で全員なら、まあ、連れて行ってもいいでしょう」
「やった!」
「その代り、遺跡周辺に住んで頂くことになりますよ。異世界トカゲ人なんて、城下に連れていかれませんからねえ」
「ま、全滅するよりいいだろ。それで何年先かわからねえが、ここがまた住めるようになったら、戻ればいい」
「随分と慈悲深い王となったな、アキラ。俺は感動したぞ」
「や、やだなあ、ハーさん。ふつうにかわいそうだなあと思っただけだよ」
「謙遜せずともよいぞ」
「ねえ、ウサギさん。どうしてモギナス宰相はトカゲさんたちに神様と勘違いされたのかしら?」
「しばし待て」
ルパナは面倒臭そうに長老の所にいくと、身振り手振りで質問した。
数分かかって回答を得たルパナが戻ってきた。
「あー。逃げ散った神の一柱が自分らを救いに帰ってきたのだと思ったらしい」
「違う種族だったからかしら……」
「いや、自分たちには作ることの出来ない、鮮やかな染料で染められた、見たこともない形の衣を身に纏っていたから、神に違いないと思ったそうだ」
「うへえ、クノイチのコスプレが原因か……ったくモギナスのやつめ」
魔王は頭を抱えた。
☆
一行は、洞窟前に前線基地を設置すると、村人を疎開させるべく準備を始めた。
「それじゃあトロント隊員、村人の疎開と誘導、よろしく頼むよ。ルパナもな」
「御意」
「妾はまた通訳か。もう疲れたぞ~アキラ~。ただでさえ寝不足なんじゃぞ」
「トロントがおんぶしていくから」
「じ、自分がでありますか! おおおお、お、恐れ多い……」
「ジャングルなんぞ歩くのはいやじゃ。そこな者、妾をおんぶするのじゃ。それなら行ってもいい。着くまで寝るから」
「ほらー、たのむよ~~魔王のお・ね・が・い。トロント隊員?」
「わ、わかりました!」
キャンプを出発したトカゲ人の長老たちと、モギナス、トロント、ルパナを見送ると、黒騎士は皆を集めて作戦会議を始めた。
「いいかアキラ、ヤツは正体不明、変幻自在な軟体生物だ。しかし、ヤツの子供や卵の殻、そして栄養を送っていたと思しき管は炎で焼くことが出来た。これはつまり」
「ヤツは火に弱い」
「ああ。そう考えてもいいのでは、と思っている。親と子で極端に体の材料が変わると思えない。たとえ見た目が違っていてもな」
魔王はうなづいた。
「もしかして、火山がドッカンバッカンしてて堪らないから、俺らの世界に逃げようとしたのかな」
「憶測の域を出ないが、俺もそんな気がしている。そこでだ。みんなでここに穴を掘って――」
ハーティノスは地面にキャンプの見取り図を描き、作戦を説明しはじめた。