結婚式翌日のお茶の間。
「アキラ~、昨日は面白かったね~」
「こっちはも~大変でしたよ、お嬢様」
「ラパナもっといろいろやりたかった」
「叔父上の人使いの荒さには辟易しますわ」
「俺どう? どう? 魔法の練習すげーがんばったんだぞ。がんばったんだって」
「久々の空は気分がよかったぞ。時々は外に出るべきかの」
昨日の茶番に参加した全員が、好き勝手に感想を言ったり、己の貢献度アピールをしている。……あまり意味はないのだが。
「え~、皆様、この度はた~~~~~いへん、お疲れ様でした。
お影様をもちまして、敵組織の一掃、及び資産の没収で、収支は大幅増となりました」
「いえ~~~~~い」
拍手。
「また、一味の所属国にペナルティとして、一部領地の没収を致しました」
「鬼畜だなおい」
「いえいえとんでもない。当方にて調べましたところ、地方監吏と一味との癒着が発覚、相当な額の賄賂も見つかりました。持ちつ持たれつ、といいましょうか。
あの地域が犯罪の温床になっていたことは間違いがなく、それを分かっていながら放置していた中央政府にも責任があります故、まあ、お仕置きですね」
「そんじゃしょうがねえな」
「はい、陛下」
「そんで、ハーさんたち、もう新婚旅行に行っちゃったみたいだけど」
「私見送りもしてないのに……ルーテってば水くさい」
「彼等には旅行ついでに、諸国に設置した幻灯水晶の回収もお願いしております。旅費の援助もしておりますし……まあ、そのぐらいはして頂いても問題はないかと」
「そっか……」
「べつにずっと会えないわけじゃねえんだから、落ち込むなよ」
晶はロインの頭をなでた。
「この調子で、合法的かつ人道的に国庫をあたたか~くしていきたいと思いますので、みなさん今後もよろしくお願いしますよ」
「「「「「「え~~~~~!」」」」」」
☆ ☆ ☆
「ねえ、私達の結婚式っていつやるの?」
自室で二人きりになったロインが、晶に尋ねた。
「わかんねえ。モギナスに聞かないと」
「なんで?」
「昨日みたく、来賓が大使、とかじゃだめなんだと。各国の王族を呼び集めるから、スケジュール調整に時間かかるらしい」
「そうなんだ……」
「ごめんな。待たせて」
「ううん」
晶はロインをそっと抱き寄せた。
「いーじゃん。こうしてもう一緒に暮らしてんだから」
「うん……」
「やっぱルーテちゃんがうらやましいんか?」
「べつに」
「ったく、素直じゃねえなあ。
いいんだよ、うらやましがったって。お前、女の子だろ?」
「……まあ、そうだけど」
「デレラ城で式は挙げてやれないけど、負けないぐらい、立派な式を挙げさせてやるから、楽しみにしてな」
「うん! それじゃあ……」
「なんだよ、もったいつけて」
「ドレスは、アキラがデザインして欲しい」
「――俺?」
「うん。アキラのデザインしたドレスが着たい」
「そっか……。わかった。
お前に一番似合うやつ、考えてやるよ」
「ありがと♥」
――ロインがみささの衣装を着るんじゃなくて、ロインがロインのための衣装を着る、ってことになるんだな。胸熱……。
晶は脳内から、エロウェディングドレスのデータをサルベージするのだった。
<第一巻 了>
※第二巻につづく。