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エピローグ☆遠き偽りの星に想いを馳せて

    エピローグ☆遠き偽りの星に想いを馳せて

ノアザーク号が惑星を離れてから数年が過ぎた。

ユウは地上でフロンティアスピリットを発揮する人々と共に暮らしていた。

「私ね、どんな状況下でも、どんな場所にいたとしても、自分が何者なのか自分でちゃんとわかってさえいれば、きっとそれだけで良いと思うの」

ルナンが肩をすくめてみせて、

「カンディードって昔の本に、みんなが自分の役割を知っていてそれを果たしていて、世の中は平穏だ、みたいなセリフが書かれていたんだが、もう、さすがにうろ覚えだな」

と言った。

「ああ!本が欲しい‼図書館が欲しい‼」

ユウは懐かしいノアザーク号内部の都市を想った。

「自分で作れよ」

「もう!」

ふくれっつらのユウに、ふいに、ルナンが真面目な顔になった。

「ところで、いつお前は女らしくなるんだ?」

「……知らない」

二人はいつまでもくすくす笑っていた。

「アイン船長、地球が近づいて来ました」

ユウの父親がアインに言った。

アインは操縦士たちに指示を出して地上のデータを収集させた。

「やはり、我々の母なる星は地球しかないな」

「はっ」

「船長、変です!」

「どうした?」

「その……大陸が」

オペレーターがなにやら良いよどんだ。

「こんなことあるんだろうか?……アトランティス大陸に酷似していて……」

「なにぃ?」

どんなに調べてみても、そこは地球に間違いはなかったが、地上ははるか過去の世界だった。

アインは歴代船長の航海日誌の記録を遡った。

「……なお、外宇宙を航行していると時間が逆行するというデータ、あるいは多次元宇宙を航行してしまうという報告があった……?」

アインは愕然とした。

「アルナー、あのタヌキジジイ」

アインは先代の船長をなじった。

しかし、現在の船長として迷ってはいられなかった。

「ルナン、お前さんたちの方がもしかすると幸せかもしれないぞ」

としばし、遠き偽りの星に想いを馳せて、アインは次の決断をせねばならなかった。

「総員、降下準備!」

船長の声が響き渡った。

「おお」

みんながときの声をあげた。

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