それから。
僕は、騎士であり続けながらサイルと二人パーティで行動している。
その間も、レナジェは監視という名目で着いてきて、見守っているのが現状……だった。
なお、僕の悪評もあってパーティメンバーは増えていない。それも仕方ないことだし……何より今の仲間であるサイルを大事にしたいと思っている。
そんな日々を過ごしていたある日、それは
「緊急クエストを発令する。冒険者ギルドに登録している全てを動員し……魔族との全面戦争に入る!」
冒険者ギルド長、ライハナサン・グーガスラヒ様の声が魔法で造られた念話装置から聴こえてくる。
その声は緊迫感に満ちていて、いよいよ勇者と聖女が真価を発揮するというところか? と僕は緊張感を募らせる。
……その最前線に僕が立つことはないけれど。
魔族との対立は、何十年も前から起こっていた。それを治めるために勇者が選出され、対立原因となった
僕がリーダーになっていたのは、その大役をサポートするためでもあった。まぁ愚かな行為でそれすらままならなくなってしまったが。
それでも。僕は騎士として、盾になろうと心に決めた。いや、誓い直した。
だから……。
「サイル、行こう」
「……うん、グシャート君たん!」
僕達は今、最底辺のEからCにまで上り詰めた。それゆえ、ある程度前線には出られるだろう。
別に華々しい活躍をしようなんて、もう思っていない。ただ――騎士としての役目を果たす。それだけだ。
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全面戦争の舞台は、魔族と人間との境界線だ。
そこで、混沌の覇者が率いる魔族と決着をつけるのだ。僕達Cランクは、雑魚より少し上くらいの中級の相手だ。
そこに……レナジェはいない。彼は一人でSランクとして認定されており、今回はテルス達の補佐に回ることとなったからだ。
だからこそ、僕はサイルと二人、協力し合うと約束した。……まぁ他チームからの侮蔑や冷笑は相変わらずだけど。
その声すらも自分への罰だと思いながら、僕は盾と剣を握る。隣にいるサイルも槍を構える。
彼女は結局、
そんな純粋な想いを持つサイルのためにも、僕が! 僕が認められなければ!
気合を入れる。全身に魔力を巡らせる。さぁ、決戦はもうすぐだ。
――始めよう。最後の、戦いを! 混沌の覇者から平和を取り戻すために!