無事にナーマとの再契約が終わり、一息つこうとしたアルだったがジブリールに止められた。先に吸魔をして魔力暴走を治めた方が良いとのことだった。
色々あって精神的に疲れていたので少し休みたかったが仕方がないので先に吸魔をする事になった。
「じゃあお願いするよ」
「はい。では目を瞑ってください」
「ん……んんっ! チュプッ……んぅ……」
いつもより吸魔の時間が長い事に疑問を感じていると、唐突にジブリールの唇が離れた。
「ぷはっ、はぁはぁ」
「ふぅ、大丈夫か? すごい苦しそうだけど」
「んふぅ、は、はい。ですが私一人では治めきれませんでした」
「そうか、無理はしないでくれ。ジルにとっては毒なんだからな」
「はい」
「ジルだけじゃ無理なら、今度はナーマ、お願いするよ」
アルからの吸魔の指名に喜ぶナーマ。嬉々としてアルに抱き着く。
「抱き着く必要はないだろ」
「ですが、こちらの方が雰囲気が出て良いじゃありませんか」
「なんの雰囲気だよ」
「ふふ、それを女性に言わせるんですか?」
「くっ、もういい、早く吸魔をしてくれ」
「でわ、いただきます」
「ちゅっ……んんっ!」
ナーマの吸魔はジブリールより激しかった。
ジブリールよりも長い時間吸魔をしていたナーマだったが、突然身体がビクンビクンと痙攣し、唇を離した。
「ぷはっ、す、凄いですわアル様♡」
「はぁはぁ、へ、変な言い方するな」
二人共息を切らしながら会話をしていると、ジブリールが間に割って入る。
「終わりです終わりです! ほら、ナーマ! 離れなさい!」
「あらあら、妬いちゃったのかしら?」
「べ、別にそんなんじゃありません! ただ、まだアルの魔力暴走が治まってないんです!」
「確かにそうですわね。流石の
「そうですよね、どうしたものでしょうか」
ジブリールとナーマの二人掛かりでの吸魔でも魔力暴走が治まらない。こんな事は今までになかったので今回の魔力暴走はアルの自我が残っていた事といい、何かしら特別なのか、アルがだんだんと
どちらにせよ吸魔を施さなければならないのだが、二人共既に限界まで魔力を吸っている。どうしたものかと考えていると、ずっと端の方で見ていたクレアがトコトコと近づいてきた。
「あの、ワタシに吸魔をさせてください!」
「クレア、気持ちは嬉しいのですが今回の吸魔は前回と違って闇魔力の吸魔なのです。純粋な聖魔力を持つクレアでは危険です」
「ですがジブリール様は吸魔をしているじゃないですか」
「私は天使なので毒である闇魔力を解毒出来るんですよ」
「でしたら問題ないかと思います。お忘れですか? ワタシはウリエル様と一体化したことに」
「そう言えばそうでした! 確かに今のクレアなら解毒も出来るはず!」
「そういうことです。なので今度はワタシが吸魔をしてみます」
そう言ってクレアはアルの目の前に立つ。
「本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思います。ただ……」
「ただ?」
「優しくシてくださいね?」
「言い方ぁ!」
「ふふ、ちゅっ」
「んっ!」
吸魔が始まるとクレアはアルの頭に腕を回して抱きしめる様に包み込んだ。時折身体がビクンと反応するがそれでも吸魔を止めない。それどころか激しくなっていき、最終的には身体全体を痙攣させて吸魔が終わった。
「はぁはぁ、んくっ、はぁはぁ」
「はぁはぁ、だ、大丈夫か?」
「は、はい。すごく激しかったですぅ」
「それはこっちのセリフだ」
やっとクレアの吸魔が終わり、様子を見ていたジブリールとナーマが近くに寄る。
「クレア、貴女って人は……」
「見かけによらず激しいのねぇ」
そう感想を口にする。他人が聞いたら勘違いをしてしまいそうだが、クレアには抗議する程の体力は残っていなかった。
そのお陰もあり、アルの魔力暴走が治まっていた。
「よかった、ようやく魔力暴走が治まりましたね」
「
またもや他人が聞いたら勘違いをしそうな発言をする二人に今度こそはとアルが突っ込む。
「だから誤解されるような言い方をするな! 吸魔をしただけだろ!」
「ですがアル様、以前ジブリールが言ったように吸魔には性的快感がありますのよ。そしてアル様は私達三人を腰砕けにした事実は変わりませんわ」
「それでも他に言い様はあるだろ!」
「それはクレアを見ても同じことが言えますの?」
ナーマは恍惚の表情を浮かべて倒れているクレアを指さす。その姿を見たアルは顔を引きつらせる。シスター服を着てビクビクと痙攣しながら幸せそうな表情で眠っている婚約者がそこに居た。
「えっと、
アルがそう言うとジブリールとナーマが可哀想な子を見る目でクレアを見る。一応一国の王女なのだがこんな醜態を晒してしまっていいのだろうかという考えはその場に居るクレア以外の三人の共通認識だった。
しばらくしてクレアが意識を取り戻すと三人から生暖かい視線を送られ戸惑うのだった。