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第11話 〈閑話〉神様の世界

 やぁ、みんな元気かい?ボクは神様だよ!今日は天界について詳しく教えちゃうね☆


 え、ボクの姿が全体的に白く光ってるしなんか眩しくて顔がよくわからないって?まぁ、神様ってそうゆうものだから気にしなくていいよ!



 では気を取り直して、まず天界って言うのはこの世に存在するありとあらゆる世界……所謂パラレルワールドを管理する場所なんだ。ここがちゃんと機能していないとそれぞれの世界達が崩壊しちゃうかもしれないから、とぉっっっても!重要な場所なんだよ!


 ちなみに天界にはたくさんの〈神〉達が存在していて、みんな役割分担しながら毎日忙しく働いているんだ!あ、実はボクはちょっと偉い立場の〈神様〉なんだよね。だからこっそり尊敬してもいいよ!どんとこい☆


 え?そんなにたくさん神様がいてややこしくないのかって?まぁ、神にも名前?っていうか、種類?があるから神様同士で間違えることはないんだけどね。


 あ、ほら……あそこにいるなんかしっとりしてるのは〈雨の神〉でカラッと陽気にしてるのが〈晴れの神〉。それと妙にうきうきしてるのが〈息吹の神〉で……え、みんな光ってて眩しいから違いがわからない?うーん、よく見たら違うんだけどなぁ。


 あ、〈出会いの女神〉がこっちを睨んでる!なにその女神らしからぬ表情……。まさかこれもわからないの?え、何かしたのかって?実はこの間、趣味のゲーム世界の制作に無断で〈女神の歌〉を使ったのがバレてから怒っちゃったみたいで口を聞いてくれないんだよ。ヒロインの設定に凄みを付けたかっただけなんだけどまさかこんなに怒るなんて思わなかったんだよね。今度謝っとこう……。


 えーと、それでなんだっけ。そうそう、とにかくたくさんの神様がいるわけ。ちなみにひとりだけの〈神〉もいれば、集団の〈神〉もいるんだ。あと、新人を育てるのも大事な仕事だよ!神って世界の歪みから生まれたりするんだけど放置して野良神になっちゃうと災いとか起こすから後始末が大変だからね。それにほら、新人がちゃんと育ったら仕事を任せてバカンスとか出来るし?


 あ、新人で思い出した……。〈輪廻の神〉の新人がやらかしてくれたおかげでボクの大切な(趣味の)世界は大変な目にあっているんだよ!ちゃんとマニュアル配ったのに読んでないってそれ〈神〉としてどうなの?!そのせいなのか魔王の世界にはバグで勇者が生まれていて、なぜか魔王と和解して仲良くしている世界になっちゃったよ!なんか平和だよ!


 まぁ、その新人の上司には抗議しておいたけど……どうしたってボクの大切な友達の魂はもう戻ってこない。あの子の激強な魂ならサクッと魔王を倒してまたこの天界にやってきてくれると思ったのに、このままではまた会えるかどうかもわからなくなってしまったんだ。


 だってあの子は、色んな手違いのせいでなんとボクの創造した世界に転生してしまったんだから。


 しかもなんの因果か悪役令嬢に転生してたなんて!その事実に気づいた時は驚いたのなんのって……とりあえず何の確認もせずにあの子の魂を勝手に転生させた新人はみんなのパシリに降格して減給処分だよね。


 それに、あの世界はまだ完成してないんだ!世界観的なラストをどうするか迷っていたのと、各攻略対象者のラストと悪役令嬢のラストをどう結びつけるかも悩んでいていいアイデアが浮かばなかったから保留のままにしていたんだよ。つまり、まだ安定していない世界なんだ。そんな不安定な世界にあんなに強い魂を転生させちゃうなんて────どんなバグが起こるかボクにもわかんなくなっちゃったよ!


 さらには、なぜかドラゴンの魂まで転生してるし……ほんとなんで?これもバグなのぉ?!


 そんなこんなで、今は落ち着いてその世界の監視をしているよ。悪役令嬢の守護精霊がドラゴンって、ゲーム世界の基本設定全部無視だけど仕方がないさ。あの子の魂にとっては現実の世界になってしまったんだしね。


 うん、それにしても……やっぱり未完成な世界だったからかそこいらでバグが起きているみたいだ。まさか“あの”キャラクターってば、性格変わってない?やっぱりこれもバグだろうか。


 気にはなるけれど、管理者は世界を見守るだけで手出しが出来ないんだ。それが例え自作の世界でもだよ。しかも、なんとあの子の魂が転生した時点でパラレルワールドのひとつとして認められちゃったんだよね。つまり、もう趣味の世界じゃなくなってしまったんだ。


 これだから縦社会は嫌なんだよ。


 だって、これだけは〈神〉の絶対の掟でありその掟を破れば存在を抹消されてしまう。〈神を従える神〉……〈全能神〉によって。それはボクを含め全ての〈神〉が対象なんだ。


 ボクに出来ることは、聖女……今はフィレンツェアか。その悪役令嬢の動向を見守る事くらいだね。




 でも、ボクの作った世界に転生したあの子の魂を理不尽に殺してなるものかとも思ってしまうんだよ。あの子の魂を見出したのは誰でもないボクなんだ。転生前に指切りもした。それならば、ボクにはそれなりの責務があると思っているんだ。



 なんとか〈神々〉の目をすり抜けられないか考えているんだけど……。これは誰にも内緒にしておいてね?











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