ヘザー・デュヴァル:
見た目は絶世の美少女、中身はアラサーのオッサン (ガラ悪し)な主人公その一。
クライヴの恋人兼おかんと化しているが、本人もまんざらではない。いや、むしろ、日に日に世話焼き女房感が増しているかもしれない。
中身もガワも家族運がなかったため、子だくさん一家にちょっと憧れていたり。
目下の悩みは、夜な夜なクライヴの抱き枕代わりにされていること。ゴリラ筋力+筋肉質故の高体温にさらされ、こちらの寝心地は結構イマイチ。
基本的には豪胆な性格だけど、元々が東京生まれ・東京育ちの都会っ子なため虫は割と苦手だったりする。
クライヴ・フリーリング (ライダー):
表情と漂うオーラがド陰気なことで定評のある、イケメンな主人公その二。
美人の婚約者が出来て、ちょっとは雰囲気が明るくなるかと思いきや、ほとんど変わっていない。ただ少しだけ、笑う回数は増えた――らしい。
将来、ヘザー似の子供が出来たらいいなと思う反面、趣味嗜好だけは似ないでくれと切に願っている――が、おそらく叶わないであろう。
目下の悩みは、用もないのにスタンリーがよく事務所へ遊びに来ること。頼む、帰ってくれ。
エグいビジュアルの幽霊を鼻で笑っていたヘザーが、クモ一匹に悲鳴を上げている姿にはちょっと脱力したそうな。
ティナ:
ヘザーに会いたいがために転職した、ちゃっかりメイド。
本当はクライヴに雇われる案も出ていたのだが、「雇っちゃったら、友達でいられねぇじゃん」というヘザーの正論により
現在の雇用主であるスタンリーのことは一応リスペクトしつつも、まあまあナメている側面もある。
とはいえ相手は色々雑な海賊モドキであるため、関係性はかなり良好。
スタンリーの一族からは「あのちゃらんぽらんを見放さないでくれて、マジ感謝」と思われている。
なお彼の一族が皆、真っ当な医者っぽいビジュアルだったため「旦那様は、何があってこうなったんでしょう?」というのが最近の疑問。
スタンリー・クレーン:
一つくくりにしたボサボサの黒い長髪+オッドアイ+眼帯+あごひげという、情報過多なオッサン。三十一歳独身。
ひいき目に見ても海賊な、みんなに愛されるお医者さんでもある。
横にも縦にも大きく、人込みで頭一つ飛び出るクライヴより更にデカい。
医者の癖に何故そんなに筋骨隆々なのかというと、趣味が登山という名のロッククライミングだから。
こんなのだが、治療は非常に懇切丁寧で分かりやすいという。ちなみに専門は内科。
クライヴたちのことをかなり気に入ったらしく、暇を見つけてはライダー探偵事務所にお邪魔して、クライヴにちょっかいを出している。
ヘザーは「もはやダチってかストーカーじゃん」と思っているが、面白いので放置しているらしい。
ウィリアム ”ビル”・ハーデンブルック:
茶髪の七三+隈の濃い灰色がかった目の、ひょろガリ不健康男性。享年三十五歳。
生前はそこそこ知られた画家でありつつ、オカルト界隈でも結構有名な在野の研究者だった。
言わばオカルト界のさかなクンさんである。
現在はジョンに (文字通り)おんぶに抱っこされつつ、見習い館長である彼の成長を見守り中。
ジョンが結婚して、独り立ちするまでは成仏する気ゼロである。
その後もちょくちょく、ヘザーたちと会っている様子。
ジョン・タッセル:
金髪巻き毛+爽やかな空色の瞳の、ちゃんとしたら結構イケメンな細身の二十三歳。
悪ぶっているが、育ちがいいため色々と詰めが甘いしお人よし。
分かりやすく美人が好きで惚れっぽい性格だが、現在は婚約者のダイアン一筋。
というか、危うく伯爵家と痴情のもつれを引き起こしかけた、という事実が若干トラウマになっている。
お坊ちゃんであるが物持ちがよく、愛用の財布や靴もかれこれ五年ほど使っている模様。
勉強は苦手だが、彼の性格を知り尽くしたビルによる教育のおかげで、館長として日々地道に成長中。
ダイアンの尻に完全に敷かれているものの、彼女より年上だったりする。
ダイアン・ブライト:
まっすぐな赤毛+鮮やかな緑の瞳の、いかにも利発そうな凛々しいお姉さん。二十一歳。
アーヴィング村で教師をしつつ、最近は花嫁修業と作家業も頑張る才女。
二作目でエログロ耽美ホラーな探偵モノを書いた結果、そっち方面の才能が大開花したそうな。
一応は恋敵であったヘザーに対しては、ド美少女過ぎて嫉妬の概念が特に芽生えなかったという。むしろ「え、本当に人なの? 妖精ではなくて?」と色々と創作意欲が掻き立てられていたらしい。
その結果、上記の探偵モノでもついつい、彼女がモデルである探偵助手のセクシー場面を盛り込みがち。
どこまで書いたらクライヴに怒られるのだろうか、と若干チキンレースの様相も見せているという。
なお、ジョン親子も村民も、彼女が村長の座を継ぐものだと認識している。
イーディス:
真っ白な長髪+真っ赤な瞳の、ガチで不思議な術が使えた魔女。享年二十三歳。
生前も死後も、「人のラブで飯が旨い」をモットーとしている。
ダイアンに呼ばれて以降、村民や旅行客からも、ちょいちょい恋のお悩みを打ち明けられて楽しい幽霊ライフを送っている模様。
アーヴィング村、そのうち「魔女の村」でなく「幽霊の村」になるのでは。
なお生前はお目にかかれなかったチョコレートがお気に召したらしく、チョコ系のお菓子を手土産にすると結構無理も聞いてくれる。
彼女から色々迷惑を被ったジョンも、ダイアンと大喧嘩した際にはチョコケーキを持参してお悩み相談をしたらしい。
ティモシー・アーチャー:
ふわふわの茶髪+黒いたれ目の、いかにも人当たりのよさそうな (ガワだけ)好青年。二十二歳。
いい学校を出て、実力で銀行の要職までもぎ取ったのに、やらかしちゃったお馬鹿さん。
彼の裁判では、被害者当人が減刑を願い出るという珍事があった、とまことしやかに囁かれている。
元々ジョンやダイアンとは仲が良かったものの、上昇志向の強すぎる父親の影響により、寄宿学校へ通い始めた辺りでぎくしゃくしちゃったらしい。
が、その親が今大変な目に遭ってるので、彼自身もだいぶ反省中。
彼の金もうけの才能自体はジョンもビルも買っているため、出所後は村に戻って来いよと熱烈アピールを日々受けている。本人は気持ち複雑だが、結構前向き。
ケイティ・マスベス:
金髪の三つ編み+淡い緑の瞳の、友人思いな資料館館員。二十歳。
本来は隣村の出身だが、イーディス愛をこじらせた結果、アーヴィング村に移住してきた。
そんなわけで親元から少し離れているため、ビルのことは第二の父のように慕っている。
死んだと思って内心かなり落ち込んでいたら、絵になって戻ってきた時は、泣き笑いで出迎えたらしい。
友人であるダイアンも、ジョンへの愛をこじらせすぎて夢女子と化していたため、こっそり恋路も応援していた。
なお、ケイティが資料館のあちこちにダイアンの著書を忍ばせていることを、ダイアン自身はまだ知らない。