私は二人を見送ったあとトトと会話をして、それから守備陣営の役割分担をした
底無しちゃんには少し、酷いと思いながらもあるお願いをした
きっとウミちゃんなら止めただろう
いや、今であればソラちゃんでも、きっとトトでも止めた
だが私は勝率をを少しでも上げる為に出来ることは全てしなければいけない
それがこの場で一番大人であり、元凶に関わる私のするべきことだからだ
それぞれがそれぞれに自身の役割を理解し、それに向けて調整に入り始めた頃に異変は起きた
「ねぇアカネ」
「どうかしたかい?」
襲撃に向けて最終調整を進めているとふと、トトが私を呼んだ
「こっちのカメラ、調子悪いみたいだよ」
「何だって?」
トトが指差すモニターに私は視線を落とす
「ほら、何も映ってない」
「……これは」
そこでは何十にも分割された画面の内左上の一つの映像が砂嵐になっていた
「あ! 次はこっちが……もしかして、壊されたのか……? 敵かもしれないよ」
画面を覗いていればまた一つ、画面が砂嵐になる
それと同時に一つの警備センサーも切れた
「うーん、これは不味いかもしれないな」
私は画面を確認しながらキーボードを叩く
その間にもこの拠点に向かってくる形で順々にカメラとセンサーが破壊されていく
だが破壊する人物どころか進軍する集団が画面に映ることもない
「どういうこと? 元々ここには進軍してくるって話だったし、日付もちょうど、予定どおりでしょ」
慌てる私を横目にトトは不思議そうに首を傾げる
「このカメラやセンサーがどこに仕掛けられているものなのかはトトも知っているだろう?」
「……この隠しシェルターの周辺一帯を監視する為のカメラとセンサーでしょ?」
「そう、その通り」
守備陣営をするにあたってトトにはこの施設の全てを説明してある
底無しちゃんにもしてはあるがそちらに関してはまぁ、理解しているかは分からないが
「シェルターを何個も用意しててその上そのすべてのシェルターの周りに監視カメラとセンサーを設置してる、なんて用意周到すぎて怖いぐらいだよねー」
トトは大袈裟に肩をすくめて見せる
「国の秘密に関わっているんだからそれぐらいはあたりまえ……いや、そういうことじゃなくて、この監視カメラやセンサーは勿論だがしっかり隠してあるんだよ、サイズも大きいものでもないし色んなところに色んな風に擬態なんかをさせているからいくら
探したとはいえ一つぐらい見つかったとして、こう何個もここに向かうまでにある全てが順々に見つかるものではない、ということだ」
そう、もし一つまぐれで見つけられたとして全てを自力で、それも取りこぼしなく見つけるのは人力ではほぼ不可能であると断言していい
「つまり、何が言いたいの?」
ずっと遠回しに言い続ける私に呆れた様子でトトが問い詰める
「……相手側にそういう索敵が得意な人物がいる、ということだ、そしてそういうのが得意な人物に一人心当たりがある、想像したくないが」
そう、想像したくないからこそずっと言葉にするのを勿体振っている
しかしそうも言っていられないのが事実だ
「だからー、それは誰なの? もったいぶってないで教えてよ」
トトも流石に我慢ならない様子でまた聞き返してくる
「ハイスコアラーの一人、フーカだよ」
私は覚悟を決めて言葉にする
「……ハイスコアラーって、マジかよ、ユウヒ一人相手に五人がかりでやっとだったのにそれプラスゾンビイーター軍って、無理ゲーじゃない?」
私の言葉を聞いてあからさまにトトは顔をしかめると近くにあった椅子にぼすっと勢いよく腰かけて苦言を呈する
「ああ、しかもユウヒのことがあるからな、彼女たちは仲がよかった、だからこそソラちゃんとウミちゃんのいるほうに行くと思って色々考えていたんだが、こっちがヤマトじゃないとなるとちょっと色々と改めないといけないね、彼女の異能を加味して、警戒体制を強化しよう、トトも……覚悟を決めておいてくれ、もうすぐ戦いは始まる」
ユウヒは誰にたいしても優しく、仲間を全て愛していた
本人の地の性格からそれに気付く子達は少なかったが
しかしそのなかでもフーカとは特段仲良くしていた記憶がある
フーカ自身は本心ではどう思っていたのか、そこまでは何となくしか分からないが傍目に見れば二人で話をしている時はどちらも楽しそうに見えた
だからこそ研究所に残り迎え撃つと思っていたのだがその予想は外れたようだ
私はトトに最後の確認をする
カメラとセンサーに頼れない今いつ敵襲が来るのか、推測でしか計れない
「そんなもの……もう覚悟なんてとっくにできてるよ」
トトは椅子に座ったままこちらを向いて当たり前、というようにしっかりと言ってのけた
「……そうか、それは心強いな」
本当に、今の子供達はみんな強い
私も負けてはいられない
覚悟を弱めないように嫌がるトトの頭をくしゃりと撫でてから私は短い残された時間のなか別の警戒体制を立てる為にパソコンに向かった