「嫌、でしたか?」
「嫌なわけないです…。あんなこと、初めて言われたから……嬉しくて、でもっ…恥ずかしかったんです……」
俯いていた赤い顔をゆっくり上げると、昇も少し火照った顔でこちらを真っ直ぐ見つめていた。
ドキッと大きく鼓動が跳ねる。
「萌さん。じゃあもう一度ちゃんと、言ってもいいですか?」
「え……あ……」
そんなに整った色っぽい顔で言われたら……
断れるわけないじゃん……
この人って無意識にこうなのかな……
その顔で、本当に言うの……?
「っ……はい。」
小さく頷くと、昇は目を逸らさないまま言った。
「愛してます、萌さん。
ずっと昔から、この世で一番、愛してます。
だからこの先の将来も…萌さんと一緒にいたい…」
「の、ぼるさ……っ」
キュッと締め付けられるような心臓の高鳴りと同時に、キスをされていた。
後頭部に昇の指が滑り、柔らかい唇が明らかに自分の唇に優しく押し付けられていた。
ゆっくりと離れていき、目と鼻の先で見つめられる。
その色気のある潤った目が細まったかと思えば、また唇が重ねられた。
「……っん、……」
突然の舌の感触に、思わずビクッと反応してしまう。
「あ…っ、すみません…つ、つい…っ」
その反応に昇が急いで離れた。
濡れた唇と、はだけたシャツから見える肌。
萌はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「これも、もう一度お願いします。」
一瞬驚いたように表情を変えた昇だったが、悩ましい笑みを浮かべてこう言った。
「……止まらなくなっちゃいますよ…」
「…いいです。」
すぐに、今度は噛み付くように唇を奪われた。
片手を握られ、もう片手で後頭部を押えられる。
そのままゆっくりと押し倒された。
互いの絡まる舌と、滾ってくる体温、大きくなる息遣い……
「ん…っ、は…ぁ……っ」
言った通り本当に止まることはなく、そのまま数分間もキスが続いた。
ようやく解放された時は、萌の全身の力は完全に抜けていて、トロンとした目で口から唾液を垂らしていた。
「も、萌さん……」
昇を見上げるその姿に、昇は全身の血流が速くなるのを感じ、喉を鳴らした。
つい手を伸ばしてしまったが、理性を振り絞って引っ込める。
本当は今すぐ萌を思い切り抱きたいと思っているが、本気で愛しているのは自分の方だけなので、内心は嫌に違いない。
もしかしたら優しい彼女はされるがままの可能性もあるが、だからと言って一方的に迫るのはただの強姦だ。
いくら抱きたくても、嫌がることは絶対にしたくないし、そもそもつい我慢できずにキスなんかしてしまったが、本音はこれすらも嫌だったかもしれないし。
「の、ぼるさん…?」
「っ……」
そんな顔で見つめないでほしい…!
理性が効かなくなりそうだ!
もう一度なんてせがまれたから調子に乗ってしまったが……
かなり深くて激しいキスをしてしまったんじゃないだろうか…?
手が早くて強引な男には絶対に思われたくない。絶対に嫌われたくない。
などとごちゃごちゃ考えながら、昇は気持ちを切り替えるため、軽く深呼吸をした。
「お腹、空きましたね。何か作りましょうか。」
「えっ?…あ、はい…」
切り替えが早すぎる昇に内心混乱したが、萌はキスしている最中、ある事に気付いていた。
硬いの当たってた……のに……
この人大丈夫なのかな…?
絶対にあのまま先に行くって覚悟してたのに……
そもそもキスだって、夫婦なのにようやく初めてなんて……
なんだかあまりにも自分たちの展開が遅くて悶々としてしまう。
そしてもう1つ萌は気がついてしまった。
自分はそのような展開に、少なからず期待をしていたのだと。