「だ、だいたいっ、昇さんが私と王谷さんの関係を疑ってるって言うんなら、私だって昇さんとこの人の関係を疑います!秘書との不倫関係なんてよくある定番だし、」
「ちょちょちょっと待ってくださいよ萌さん!僕と駒井さんは決してそんな関係じゃないです!」
「じゃあどうしてわざわざこんなに綺麗な若い子なんですか?」
「えっ…、いや、秘書はほかにも何人もいるんです。たまたま今日一緒にいたのが駒井さんなだけで…っ」
「そんなの信じられません。私より断然綺麗で若くて可愛くてシゴデキみたいな女性を家に連れ込むなんてっ」
「本当にやましい関係は1ミリもないです!それにこう見えて彼女はそんなに若くないし、そもそもで言えば僕は若い女性には興味な……あ、いや!そういう意味じゃなくてっ…いや…あの…っ、すみません、えっと…」
熱でいつもより頭が回らず、半ばパニックになっていて何かを言う度に逆効果なボロが出てしまう。
「とにかく私は……ただショックなんです。たとえそれが昇さんの好意だったとしても…。そもそも、どうしてそこまでするんですか…だって元々私のことなんて別に」
「愛しているからに決まってるでしょう!」
昇の大きな声が部屋に響き、空気が一変した。
「僕は……愛してるんですよ萌さんを。ずっと…ずっと好きだったんですから……」
4人の中に沈黙が流れた。
なんとも言えない気恥しい空気が充満している。
バタンっ…!
「社長!」
「昇さんっ?!」
ついに限界が来たのか、火照った顔で昇がソファーに倒れ込んだ。
「あ、熱い……!こんなに熱があったなんて!」
「実は社長はよく、仕事で思い詰めている時などにも熱を出すんです。一睡すれば治るといつも本人は言っているので、今日も帰宅後、すぐに寝る予定だったのですが…」
「え……」
じゃあもしかして…昨晩と今朝の私の態度のせいで……?
そういえば、籍を入れる前にも1度こんな風に突然熱を出したことがあった。
確かにその時、こういうことはたまにあるから気にしないでほしいと笑って言っていたことを思い出す。
「あ、僕、氷枕でも作りましょうか?それから多分、ベッドに運んだ方がいいですよね?」
何故か謎の3人でバタバタと昇の介抱をし、2人は気まずそうに帰って行った。
当然、1番気まずいのは萌だった。
2人には何度も謝った。
こんな痴話喧嘩に巻き込んでしまうなんて冷静に考えると本当に無礼で申し訳ない話だ。