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第20話 相性①〜side秋斗〜

初めてセックスした次の日、陽向が体調を崩したらしい。


セックスをしたその日に連絡先を交換したものの、なかなか既読にもならず、返事もこないのにはかなり焦った。



もしかして昨日、そうとう痛かった?嫌だった?

俺と連絡すんのも嫌なのか?

ならそういえばいい。

スルーするとかどうかしてる。いや、いや待て。陽向の性格的に、スルーしたりするような奴じゃないはずだ……

ってあいつのこと、なんも知らないけれど……。


夕方になってやっと既読がついた時には、ほっとした。なんのほっとなのかはイマイチわかんないけど。


どんな体調なのか、熱がでてるのか?それとも尻が痛むのか?

聞き出そうにも「大丈夫です!」とスタンプで強制的に終わらされた。


てか、こういうメッセージのやり取りなんて、まともに誰かとしたことがないから、どんな事を送ったら良いのかわからない。

ただ、陽向からは一線を引かれているのだけはわかる。

気を遣った文章で、俺のことはこれ以上聞くな、と言った感じだ。

かといって、その週の金曜日に「体調崩してたし、次の月曜日やめとくか?」

と送ったら「体調もう大丈夫です!なので月曜日是非お願いします!」と返ってきた。

よくわからない。


そんなにセックスがしたいんだろうか?見た目からしたらそんな風には見えないけれど……

好きになった人にしか身体触らせたくない!好きな人としかキスもエッチもしない!みたいな夢見るタイプにみえるけどな?2回目のセックスまで俺として、大丈夫なのか?


はぁ、俺らしくもない。あいつのプライベートなんかどうだっていいだろ。

あいつが誰と付き合おうが、誰と……セックスしようが……。俺には、関係ない。







2回目、3回目と身体を重ねる度に、身体の相性が良いってこういうことか……?と実感した。

今までのセフレ相手にはない、全身を駆け巡る快感。

つい、もっと、もう一度、と求めてしまいそうになるほど、離れ難い密着感。

きっとそれは俺の独りよがりではないと思う。回数を重ねる度に、陽向の甘く高い声が俺の脳みそを痺れさせる。

このままあと数回でもしたら、中だけでもいけてしまうのではないか……というほど、陽向も感じているのがわかる。

男の身体は正直だから、わかりやすくて良い。




あの、連絡先を交換した日から、

陽向に毎日連絡をするのが日課になった。といっても、生存確認的な?「おはよう」「仕事いってくる」「休憩中」

「仕事終わった、お疲れ」こんな業務連絡ばかりだ。

まぁ、また体調崩されたら困るから、体調確認も兼ねてだ。

普通、こういうメッセージってどんなやり取りするんだろうか?よくわからないが、まぁ陽向から返ってくるメッセージもおんなじようなもんだ。

一昨日はたまには違う事でも送るか?と、セックスの時、何考えてんのか聞こうとしたが、「おやすみなさい」のスタンプが送られてきて、断念した。


仕事終わり、陽向からメッセージが送られてきていないかチェックするのがルーティーンのひとつになってきた。

まぁ、返信する前に、シャワーしたらへとへとでうっかり寝落ちしている事が多くて、返信が朝になる事も多い。


今まで関係をもった男達は、毎日毎日意味のわからない長文を送ってきたり、返信しないと勝手に怒り出したり、寝落ちしてたら、アホほどメッセージやら電話が入っていて、本気で恐怖だった。

 陽向は特段文句言う事もなく、ただ俺のメッセージにぽつぽつと返事をくれるだけだ。ってか、楽しいのか?それ?あいつも業務連絡とか思ってんのかな?

ま、それはそれで、お互い様か。






「秋斗、ちょっといい?」

水曜日。ディナータイムも終わり、片付けもひと段落した。

ワイングラスを磨いているとチーフの高橋さんが声をかけてきた?なんだろ?なんかミスった?

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